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早期警戒指標としての金融動向指数

2011年3月
鎌田康一郎*1
那須健太郎*2

要旨

本稿で紹介する『金融動向指数』は、伝統的な景気循環理論をベースとして開発された金融危機に対する早期警戒指標である。『金融動向指数』では、複数の金融指標からジュグラー・サイクルを抽出し、それらを先行指標と遅行指標に分類する。その後、分類毎に集計して、最終的に先行指数と遅行指数を算出する。本稿では、わが国のデータを用いて、実際に『金融動向指数』を作成した。分析の結果、同指数が今回の世界金融危機の発生をおよそ1年前から予想していることが示された。もっとも、この結果は、リアルタイム推計に伴う不確実性と政策判断の遅れの可能性を考慮していない。こうした問題を克服するために、本稿では、『金融動向指数』の予想指数を導入する。わが国のデータに基づくテスト結果によると、この予想指数は、早い段階から今次世界金融危機の予兆を捉えており、高いパフォーマンスを示している。

本稿の作成過程で、日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。この場を借りて、深く感謝の意を表したい。もちろん、あり得べき誤りは筆者に属する。なお、本論文の内容や意見は、筆者個人に属するものであり、日本銀行および金融機構局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融機構局 E-mail : kouichirou.kamada@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融機構局 E-mail : kentarou.nasu@boj.or.jp

日本銀行から

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