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金融市場・金融政策における指標金利の役割:動学的一般均衡モデルによる分析

2012年12月28日
須藤直*1

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿では、金融市場・金融政策などマクロ経済における指標金利の役割について、インターバンク金利・貸出金利を組み込んだニューケインジアン動学的一般均衡モデルを用いて理論的・定量的に検証している。モデルにおける市場金利は、借り手のバランス・シートおよび金融市場に存在する情報の非対称性の度合いに影響を受けるが、指標金利は、経済主体に対して経済情勢についての追加的な情報を伝達し、意思決定を変化させることで、バランス・シートや情報の非対称性の度合いに影響を与え、マクロ経済変数を動かしてゆく。例えば、指標金利が市場の摩擦の緩和や将来の景気予測の精緻化に資する場合には、市場金利のスプレッドの縮小を通じた景気拡張効果や、景気予測と実際の景気の実現値の乖離を狭めることを通じた経済安定化効果が見込まれる。他方で、指標金利にノイズが含まれている場合などには、政策金利の水準が望ましい水準から乖離することなどから、経済に対して撹乱効果を与える。

  1. *1日本銀行金融機構局 E-mail : nao.sudou@boj.or.jp

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