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日本の構造問題と物価変動:ニューケインジアン理論に基づく概念整理とマクロモデルによる分析

2012年3月16日
齋藤雅士*1
笛木琢治*2
福永一郎*3
米山俊一*4

要旨

本稿では、日本の長期デフレの要因について、国内の構造問題との関係に焦点を当てて、ニューケインジアン理論に基づく概念整理と、マクロモデルによる定量的分析を行う。本稿の分析で用いるマクロモデルは、ニューケインジアン理論に依拠しつつ実証性も重視した中規模の動学的一般均衡モデル「Medium-scale Japanese Economic Model (M-JEM)」である。分析からは、構造問題に関わる要因が、1990年代半ば以降のインフレ率の低下に相応に寄与していたことが示唆された。

本稿は、第4回東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局共催コンファレンス「日本の物価変動とその背景:1990年代以降の経験を中心に」(2011年11月24日開催)における報告論文を加筆・修正したものである。指定討論者の岩本康志氏(東京大学)をはじめ、参加者から多くのコメントを頂いた。また、本稿の作成過程では、青木浩介氏(東京大学)、および門間一夫氏、前田栄治氏、関根敏隆氏をはじめとする日本銀行のスタッフからコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、ありうべき誤りは筆者らに属する。本稿で示された内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行および調査統計局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局(元・調査統計局) E-mail : masashi.saitou@boj.or.jp
  2. *2日本銀行総務人事局(元・調査統計局)、インディアナ大学
  3. *3日本銀行金融市場局(元・調査統計局) E-mail : ichirou.fukunaga@boj.or.jp
  4. *4日本銀行調査統計局 E-mail : shunichi.yoneyama@boj.or.jp

日本銀行から

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