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新興国における供給ショックの国際波及

— 3カ国DSGEモデルによるインフレーションの分析 —

2012年7月13日
岩崎雄斗*1
河合正弘*2
平形尚久*3

要旨

本稿の目的は、新興国の高インフレと先進国の低インフレという現象と、先進国の中でも日本の低インフレ—あるいはデフレ—というインフレ率に関する二つの違いが観察されていることを踏まえ、新興国における供給能力の強化という正の供給ショックが、新興国と先進国のインフレ率にどのような影響を及ぼしうるのかを考察することである。これらの点を分析するため、動学的・確率的一般均衡(DSGE)モデルを構築し、新興国(中国)の供給ショックが、先進国(米国・日本)の経済変数—とりわけインフレ率—に及ぼす効果について考察した。分析の結果、貿易構造や為替制度における先進国間(日米間)の違いは、新興国の供給ショックに対する波及に影響を与え、他の先進国に比べ日本のインフレ率を大幅に引き下げる効果を持つことが示された。このことは、新興国の供給能力の強化という日・米が共通に面するショックであっても、日米両国のもつ貿易構造や為替制度の違いから、そのショックがもたらすデフレ圧力は日本の方が大きいことを示唆している。

本稿は、第4回東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局共催コンファレンス「日本の物価変動とその背景:1990年代以降の経験を中心に」(2011年11月24日開催)における報告論文を加筆・修正したものである。指定討論者の松林洋一氏(神戸大学)をはじめ、参加者から多くのコメントを頂いた。また、本稿の作成過程では、青木浩介氏(東京大学)、および西村清彦氏、前田栄治氏、関根敏隆氏をはじめとする日本銀行のスタッフからコメントを頂いた。記して感謝の意を表したい。ただし、ありうべき誤りは筆者らに属する。本稿で示されている見解は、日本銀行、調査統計局およびアジア開発銀行研究所の公式見解を示すものではない。

  1. *1元・調査統計局
  2. *2アジア開発銀行研究所 E-mail : mkawai@adbi.org
  3. *3元・調査統計局 E-mail : naohisa.hirakata@boj.or.jp

日本銀行から

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