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ホーム > 調査・研究 > ワーキングペーパー・日銀レビュー・日銀リサーチラボ > 日本銀行ワーキングペーパーシリーズ 2013年 > (論文)無形資産を考慮した企業のデフォルト率の推計
2013年10月22日
土屋宰貴*1
西岡慎一*2
本稿では、企業経営にとって重要とされながらも、客観的な評価が難しかった無形資産が、企業のデフォルト率に与える影響を定量的に分析した。無形資産として「企業の技術力」と「経営者の資質」を採り挙げた。これらは、個別企業ごとに数値化されたデータが利用可能である。分析の結果、(i)企業のデフォルト率には、財務情報に加えて、これらの無形資産が統計的に有意な説明力を有している、(ii)無形資産を加えたモデルは、財務情報のみを用いたモデルよりもデフォルト率の推計精度が高く、その精度の差は概ね統計的に有意である、(iii)無形資産の変化が企業のデフォルト率に及ぼす影響の大きさは、財務情報の変化が及ぼす影響と比べて遜色ないことがわかった。本稿の結果を踏まえると、企業のデフォルト予測の精度を向上させるためには、無形資産を考慮することも有益である可能性がある。このため、客観的な評価が可能なかたちで無形資産に関する情報を整備していくことは、企業の信用リスクを評価していくうえで重要と考えられる。
キーワード
推計デフォルト率、無形資産、ロジット・モデル、ブートストラップ法
本稿の作成にあたり、日本銀行のスタッフから数多くの有益な示唆を受けた。記して感謝したい。もちろん、有り得べき誤りはすべて筆者達に帰するものである。また、本論文の内容や意見は、筆者達個人に属するものであり、日本銀行および金融機構局の公式見解を示すものではない。
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