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産業間転職と要求されるタスクについて

2014年9月30日
近藤絢子*1
永沼早央梨*2

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿は、産業間転職者数と転職後賃金の決定要因を推計することを通じて、産業間労働移動を妨げている要因を検証した。その結果、要求されるタスクの違いが産業間転職に伴う収入減の大きな要因であり、こうした収入減への懸念が産業間転職を妨げていることがわかった。一方、前職の産業と取引の多い産業に転職する傾向も観察されたが、これは転職後賃金とはあまり相関していなかった。また、産業の生産性を示す指標は産業間の転職者数や転職後の賃金に大きな影響を与えていなかった。さらに、結婚や出産などを理由に前職を退職した労働者は、転職後の賃金の低下幅が相対的に大きいにも拘わらず、要求されるタスクが異なる産業に転職する傾向がみられる。このように、前職の退職理由によっては、異なるタスクを要求する職に就く確率と、その収入減の大きさが相関していないケースもあることがわかった。

  1. *1横浜国立大学 E-mail : akondo@ynu.ac.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : saori.naganuma@boj.or.jp

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