日本は今なお熟練労働集約的な財を純輸出しているか?
2014年1月31日
清田耕造*1
要旨
日本は今なお熟練労働集約的な財を純輸出しているのだろうか?本論文は、この疑問を、ヘクシャー=オリーン・モデルの要素コンテンツ・アプローチにもとづき、1980年から2009年までの過去30年のデータを用いて明らかにしようと試みたものである。分析には、経済産業研究所が整備する日本産業生産性データベース(JIP データベース)を利用した。結果は衝撃的である。1980年から2009年までの間、日本は一貫して熟練労働集約的な財を純輸出していることが明らかになった。ただし、その程度は1994年をピークに低下を続けており、2000年代は既に1980年代の水準を下回っていることも明らかになった。これらの結果は、日本が熟練集約的な財に対する比較優位を失いつつあることを示唆している。
本稿は、東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局第5回共催コンファレンス「グローバル化と日本経済の対応力」(2013年11月28日)における報告論文を加筆・修正したものです。本論文を作成するにあたり、コンファレンスの指定討論者である伊藤匡氏(日本貿易振興機構アジア経済研究所)、およびコンファレンスの参加者から貴重なコメントを頂戴しました。また、慶應義塾大学産業研究所のセミナー(2013年11月11日)において、野村浩二氏(慶應義塾大学産業研究所)、三橋平氏(慶應義塾大学商学部)、宮川幸三氏(慶應義塾大学産業研究所)からも有益なコメントを頂戴しました。記して謝意を表します。なお、本論文に残る全ての誤りは、筆者に帰するものです。
- *1慶應義塾大学産業研究所 E-mail : kiyota@sanken.keio.ac.jp
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