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長期停滞と家計の金融資産選択:日本の場合

2016年3月28日
青木浩介*1
アレキサンダー・ミカリデス*2
カリン・ニコロフ*3

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

日本家計は株式参加率が低く、その金融資産ポートフォリオにおいては株式の割合が低く貨幣の割合が高い。本稿ではその原因を考察するために、家計のライフサイクルにおける貨幣・債券・株式の3資産選択決定モデルを構築し、カウンターファクチュアル・シミュレーションによる分析を行った。その結果、上記の日本家計の資産選択の特徴は主に、(1)期待株式超過収益率が低い、(2)インフレ期待が低い、(3)株式市場への参入固定費用が高いという3つの要因によって説明できることが示された。

本稿は、コンファレンス「物価変動とその中での経済主体の行動変化」(東京大学金融教育研究センターと日本銀行調査統計局の共催コンファレンス第6回)で報告された論文を改訂したものである。本稿の作成にあたっては、コンファレンス討論者のチャールズ・ユウジ・ホリオカ氏をはじめ、平形尚久、小野有人、篠潤之介、安井洋輔の各氏から貴重なコメントをいただいた。また、阿部修人、山田知明の両氏からは家計の所得プロフィールのデータを共有させていただいた。福井真夫、川邉美帆、寺本和弘の各氏はリサーチ・アシスタントとして素晴らしい仕事をしていただいた。記して感謝したい。本稿のさらなる改訂版は、著者のウェブページで公開される。本稿は日本学術振興会科学研究費基盤研究S「長期デフレの解明」(課題番号:24223003)の研究活動の一環として作成された。また、青木は東京大学金融教育研究センターからの研究助成についても感謝したい。なお、本稿中の意見・解釈にあたる部分は筆者ら個人に属するものであり、欧州中央銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1東京大学 E-mail:kaoki@e.u-tokyo.ac.jp
  2. *2インペリアル・カレッジ・ビジネス・スクール E-mail:a.michaelides@imperial.ac.uk
  3. *3欧州中央銀行 E-mail:kalin.nikolov@ecb.int

日本銀行から

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