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株式リターンのグローバル共動性:傾向と決定要因

2018年4月11日
稲葉圭一郎*

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿は、37の先進・新興諸国を対象に、1996~2015年における株式リターンのグローバル共動性を分析している。同共動性は、新興諸国に比べて、先進諸国においてより強いが、新興諸国においては、その強さがサンプル期間を通じてより増している。全サンプル国のうち23ヶ国において、こうした共動性には、サンプル期間を通じて強まっていくトレンドがあり、7ヶ国においては、逆に、弱まっていくトレンドがある。各国共動性の程度の決定要因は、固定的な個別効果の他、国毎・時点毎に異なる値をとる諸変数である。こうした変数には、各国における、国際貿易・国際金融の開放性、景気の状況、制度的な不透明性が含まれる。これらの要因は、「情報生産と共動性」理論と整合的に作用している。また、各国における金融政策や資本管理に関する指標が、「グローバル金融循環」仮説の政策的含意である「金融政策のジレンマ」を支持するかたちで、各国共動性の程度を説明する。

JEL分類番号
F3, G1, O1
キーワード
金融グローバリゼーション、国際分散投資、株式市場の共動、情報生産と共動性、グローバル金融循環
  • 日本銀行国際局 E-mail : keiichirou.inaba@boj.or.jp

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