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財・サービス価格の統合:わが国におけるFD-ID型物価指数の作成

2021年1月8日
井上萌希*1
川上淳史*2
高川泉*3
中野将吾*4
増島綾子*5
武藤一郎*6

要旨

生産者物価指数(Producer Price IndexPPI)の主な利用目的の1つとして、一国全体の財・サービスの需給動向を適切に表す集計化物価指数としての役割が挙げられる。この点、わが国における現状のPPIは、(1)財とサービスに関する指数が別々に作成・公表されており、それらを包含した経済全体の物価変動圧力を把握できない、(2)需要段階の異なる品目をグロス取引額のウエイトで加重平均した「総平均指数」として集計化する結果、生産フローの川上ステージの価格変動の影響を過大評価してしまう、といった課題を抱えている。こうした課題を克服するため、本稿では、わが国の財・サービスに関するPPIの品目指数を、産業連関表の生産フローに準拠し、最終需要(Final DemandFD)ステージと4つの中間需要(Intermediate DemandID)ステージに最適に分類し、重複を排除して集計した「FD-ID型物価指数」を作成した。同指数を用いると、財・サービスを包含したわが国経済全体の価格変動圧力を把握できるようになるほか、生産フローの川上から川下にかけての価格変動の波及プロセスを、財とサービスにまたがる形で捉えることができる。本稿では、わが国におけるFD-ID型物価指数の作成方法と、作成された指数の性質について、詳しく解説する。

キーワード
生産者物価指数(PPI)、FD-ID型物価指数、産業連関表、財・サービス価格の統合、重複カウント問題

JEL 分類番号
C82、E31

本稿の作成過程では、東京大学の青木浩介氏、慶應義塾大学の白塚重典氏のほか、神山一成、中山興、中島上智、東将人、守屋邦子の各氏をはじめとする日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。また、吹田昂大郎氏からは、計数作成にご協力を頂いた。米国のFD-ID型物価指数の作成方法に関しては、米国労働統計局の国際協力プログラムを通じて、Bill Thompson氏、Bonnie Murphy氏、Greg Kelly氏、Jeffrey Hill氏、Jonathan Weinhagen氏、Tim Wu氏をはじめとする労働統計局の多くのスタッフから、多岐にわたる詳細な情報提供を受けた。記して感謝の意を表したい。ただし、あり得べき誤りはすべて筆者達個人に属する。本稿で示されている見解は、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : moegi.inoue@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : atsushi.kawakami@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局(現・金融機構局) E-mail : izumi.takagawa@boj.or.jp
  4. *4日本銀行調査統計局 E-mail : shougo.nakano@boj.or.jp
  5. *5日本銀行調査統計局 E-mail : ayako.masujima@boj.or.jp
  6. *6日本銀行調査統計局(現・金融研究所) E-mail : ichirou.mutou@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
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