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新型コロナウイルス感染症拡大前後のオンライン消費動向の分析

2022年3月30日
中島上智*1
高橋優豊*2
八木智之*3

要旨

わが国のオンライン消費は、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、顕著に拡大した。もっとも、どのような家計がオンライン消費を拡大したのか、また、このオンライン消費の拡大が一時的か持続的かについてなど、明らかにされていない点が多い。そこで、本稿では、総務省「家計消費状況調査」のオーダーメード集計データと、マネーフォワード社の家計簿アプリデータを用いて、感染症拡大前後のオンライン消費の動向について実証分析を行う。2020年12月までのデータを用いて分析を行った結果、幅広い年齢層・所得層でオンライン消費が増加しているほか、新たにオンライン消費を始めた家計も多いことが分かった。限られたサンプル期間での結果であることに留意は必要であるが、新たにオンライン消費を始めた家計の多くが、その後もオンライン消費を継続していることも踏まえると、感染症拡大を機にしたオンライン消費の拡大は持続性が高い可能性がある。わが国の家計行動が持続的に変化していくのか、またこうした変化がわが国経済にどのような影響を及ぼすのか、注視していくことが重要である。

JEL 分類番号
D12、E21

キーワード
オンライン消費、新型コロナウイルス感染症、オルタナティブデータ

本稿の内容は、東京大学金融教育研究センター・日本銀行調査統計局第9回共催コンファレンス「ウィズコロナ・ポストコロナの日本経済」(2021年11月29日開催)で報告された。本稿の作成に当たり、青木浩介氏、稲次春彦氏、亀田制作氏、桜健一氏、高富康介氏、長野哲平氏、西村清彦氏、渡辺努氏、および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。本稿の結果の一部は、統計法に基づいて、独立行政法人統計センターから「家計消費状況調査(平成27年~令和2年)」(総務省)のオーダーメード集計により提供を受けた統計成果物を基にしている。また、マネーフォワード社より、本稿の研究目的のために、個人が特定できない形に加工された統計情報の提供を受けた。なお、本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行、総務省、独立行政法人統計センター、およびマネーフォワード社の見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局 E-mail : jouchi.nakajima@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : masato.takahashi@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局 E-mail : tomoyuki.yagi@boj.or.jp

日本銀行から

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