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ベイジアンVAR-GMMによるニューケインジアン・フィリップス曲線の日米比較

2022年3月22日
大石凌平*1
黒住卓司*2

要旨

本稿では、ベイジアンVAR-GMMによってニューケインジアン・フィリップス曲線の複数の定式化を推定し、世界金融危機以降におけるわが国と米国のインフレ動学を比較する。この推定手法を用いることで、フィリップス曲線に現れる予想をVARから導出し、インフレ予想の形成に関する明示的な分析を行う。疑似周辺尤度を用いて、わが国は可変な需要の弾力性の定式化が、米国は粘着情報の定式化が選択された。これら選択された定式化から、わが国は米国と比べて、インフレ予想形成における持続性が高く、トレンド・インフレ率は低いことが示された。以上の結果を踏まえると、これまでのわが国における弱めのインフレ動向は、値上げに敏感な消費者の購買姿勢を映じた企業の慎重な価格設定行動のもと、インフレ率が低位にとどまり、持続性の高いインフレ予想形成を通じて低い予想インフレ率、ひいては低いトレンド・インフレ率を生じ、それらが翻ってフィリップス曲線を通じてインフレ率に下押し圧力をかけたためと考えられる。

JEL 分類番号
E31、C11、C26、C52

キーワード
ニューケインジアン・フィリップス曲線、インフレ予想形成、可変な需要の弾力性、VAR-GMM、ベイズ手法

本稿の作成にあたり、青木浩介氏、小枝淳子氏、新谷元嗣氏、中島上智氏、渡辺努氏、渡部敏明氏、および日本銀行スタッフから有益なコメントを頂戴した。ただし、本稿のありうべき誤りは全て筆者ら個人に属する。なお、本稿に示される内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行及び企画局の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行企画局 E-mail : ryouhei.ooishi@boj.or.jp
  2. *2日本銀行企画局 E-mail : takushi.kurozumi@boj.or.jp

日本銀行から

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