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証券金融取引におけるヘアカットの定量分析―国債レポ取引を中心に―

2022年5月23日
鈴木一也*1
笹本佳南*2

要旨

本稿では、金融庁と日本銀行が本邦に所在する金融機関から収集している証券金融取引(レポ取引と証券貸借取引)の個別データを用いて、これまで明らかにされていなかった国債や株式を用いた取引の市場構造及びヘアカットについて定量的な分析を行っている。特に、国債レポ取引について、取引主体のほか、取引種類等をコントロールしたパネルデータ分析を行い、ヘアカット設定のメカニズムについて詳細な分析を行った。分析結果は総じて頑健であり、国債の信用度、国債残存期間、為替リスクの有無など、信用・価格変動リスク、流動性リスクに影響する説明変数がヘアカットの設定に大きな影響を与えていることが確認された。このほか、多くの先と取引するネットワークの中心に近い金融機関ほど、資金・証券の運用・調達ニーズの効率的なマッチングを通じて、ヘアカット率を低く設定する傾向があることが示された。この結果は、取引する国債の信用度や為替レートの安定性、取引ネットワーク上で重要な役割を担う金融機関の存在が、国債レポ市場の機能度に強い影響を与えることを示している。

JEL 分類番号
D80、E43、G10、G20、L14

キーワード
証券金融取引、レポ取引、ヘアカット、ネットワーク分析

本稿の作成に当たり、大谷聡氏、神原崇行氏、長野哲平氏、永幡崇氏、藤田研二氏、宮川大介氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。なお、本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行金融市場局 E-mail : kazuya.suzuki@boj.or.jp
  2. *2日本銀行金融市場局 E-mail : kana.sasamoto@boj.or.jp

日本銀行から

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