このページの本文へ移動

外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイ(2001年4月中取引高調査)について:日本分集計結果

2001年10月10日
日本銀行金融市場局

日本銀行から

 以下には、本調査の概要および調査結果の主要点を掲載しています。本調査のデータを含む全文は、こちら(deri0104.lzh 295KB[MS-Word, MS-Excel])から入手できます。

1.本調査の概要

 日本銀行では、このほど、わが国における外国為替市場および店頭(OTC)デリバティブ市場の取引高(2001年4月中)に関する調査を実施した。本調査は、各国中央銀行等が、国際決済銀行(BIS)の取りまとめの下で、3年毎に自国・地域の外国為替(外為)市場およびデリバティブ(派生商品)市場の取引高等について同時に実施しているものである(注1)

 今回の調査は、日本銀行を含む48か国・地域の中央銀行等により、約2,800の金融機関等を対象に実施された(注2)

 今回調査において、日本では、本邦銀行等237行庫、外資系銀行・信託81行、本邦証券会社4社、外資系証券会社10社、外為ブローカー10社を調査対象とした(注3)

 本調査を取りまとめているBISは、参加各国・地域の調査結果を集計し、グローバル・ベースでの外為・デリバティブ取引高の合算統計を日本分調査結果と同時に公表した(原文はBISのホームページ(外部サイトへのリンク)より入手可能)。

 本調査では、取引をその内容により外為取引は3種類、デリバティブ取引は5種類に分類し(注4)、それぞれについて、通貨別、取引相手先別、国内外別に集計している。なお、本邦に所在する調査対象先相互間の取引高については、二重計上を調整している(海外との取引については、BISがグローバル・ベースでの合算統計を作成する際に調整するため、BIS公表のグローバル・ベースの合算統計と各国の公表結果の単純合計とは一致しない)。

  • (注1)BIS取りまとめによる同時調査は、外為取引高については86年から、デリバティブ取引高については95年から開始されている。
  • (注2)参加国・地域については別添 2のとおり。
  • (注3)外為ブローカーについては外為取引に関してのみ調査を行っている。
  • (注4)<外為取引>
    ・スポット、フォワード、為替スワップ
    <デリバティブ取引>
    ・FRA(金利先渡し取引)、金利スワップ、金利オプション・・・・・・・(金利関連デリバティブ取引)
    ・通貨スワップ、通貨オプション・・・・・・・(外為関連デリバティブ取引)

2.BISサーベイ調査結果の主要点

I.外為取引(スポット、フォワード、為替スワップ合計ベース)

  1. (1)1営業日平均総取引高は(注5)、1,468億米ドルと、前回調査(98年4月分:1,358億米ドル)に比べ+8.1%の増加となった。
  2. (2)取引相手先別では、インターバンク取引が増加(+13.6%)したのに対し、対顧客取引は減少(-13.4%)した。
  3. (3)取引形態別では、スポット取引が大幅に減少(-35.8%)し、シェアも全体の4分の1まで低下(前回:42.2%→今回25.0%)。これに対し、フォワード取引は増加(+13.1%)、為替スワップはインターバンク取引に牽引されて大幅な増加(+47.8%)となった。
  4. (4)本邦・外資系金融機関別では、本邦金融機関がインターバンク、対顧客取引共に減少し、全体で-25.5%の大幅減。一方で、外資系金融機関は対顧客取引が減少(-14.6%)したものの、インターバンク取引の増加が著しく(+50.6%)、全体では+38.0%の大幅な増加となった。この結果、本邦金融機関のシェアは約3割まで低下(前回:47.1%→今回:32.5%)。
  5. (5)取引通貨別の構成をみると、ドル/円取引が7割弱と引き続き大宗を占めたものの、ユーロ/ドル取引やその他通貨取引の増加を映じて、前回調査時よりもそのシェアを低下させた(前回75.9%→今回69.2%)。
  6. (6)インターバンク取引に占めるブローカー経由取引のシェアは若干低下(前回:36.8%→今回:32.3%)。もっとも、スポット取引においては、電子ブローカー経由取引のシェア上昇を受け、ブローカー経由取引全体のシェアも6.8%ポイントの増加となった。また、ブローカー経由のスポット取引に占める電子ブローカー比率は約9割にまで上昇。
  7. (7)取引高上位10先および同上位20先が取引全体に占めるシェアはともに上昇しており、引続き上位行への取引集中化傾向が窺える。
  • (注5)以下、ブローカー経由の海外間取引を除くベース。

II.デリバティブ取引(FRA、金利スワップ、金利オプション、通貨スワップ、通貨オプション合計ベース)

  1. (1)金利関連取引と外為関連取引を合計したわが国デリバティブ市場の取引高(1営業日平均、以下同)は、217億米ドルと、前回調査比-48.5%の減少となった。
  2. (2)うち、金利関連取引は157億米ドル(前回調査比-50.3%)、外為関連取引は59億米ドル(同-43.2%)。
  3. (3)金利関連取引の内訳をみると、FRA(金利先渡し取引)が11億米ドル(同+8.6%)、金利スワップが126億米ドル(同-28.7%)、金利オプションが21億米ドル(同-83.8%)。外為関連取引の内訳は、通貨スワップが6億米ドル(同-50.0%)、通貨オプションが54億米ドル(同-42.2%)。
  4. (4)金利関連取引について金利別にみると、円金利関連が全体の82.7%(同+1.6%ポイント)を占めた。
  5. (5)外為関連取引について通貨別にみると、ドル/円取引が全体の81.7%(同-10.2%ポイント)を占めた。
  6. (6)本邦・外資系金融機関別では、本邦金融機関の取引シェアが上昇(前回40.8%→今回68.0%)した一方、外資系金融機関の取引シェアが低下(同59.2%→同32.0%)。
  7. (7)内訳をみると、本邦金融機関では、金利関連取引の減少幅(前回調査比-5.0%)が外為関連取引(同-38.8%)よりも小さい。他方、外資系金融機関では、金利関連取引の減少幅(同-79.5%)が外為関連取引(同 -47.6%)よりも大きい点が目立つ。
  8. (8)取引相手先別の動向をみると、インターバンク取引が164億米ドル(同-31.0%)となった一方、対顧客取引が53億米ドル(同-71.2%)となった。
  9. (9)国内・外別にみると、国内との取引が3割弱(想定元本では60億米ドル、同-47.9%)、海外との取引が7割強(想定元本では156億米ドル、同-48.7%)と前回とほぼ同じ。
  10. (10)デリバティブ市場全体における取引の集中度についてみると、上位10先で全取引の72.8%、上位20先で全取引の91.0%を占めており、引続き前回比上昇。

(参考) 今回は、電子取引システムを通じた取引についての調査も行われた。直物取引、為替スワップ、金利関連デリバティブについて通貨別・金利別に調査した。

以上


(別添1)

I.外為取引高計表(スポット、フォワード、為替スワップ合計ベース)(注1)

(図表1)東京外為市場の1営業日平均総取引高

  • 図表1
  • (注1)前回調査(98年4月)の計数は、一部計数の修正から、98年9月発表時の計数とは必ずしも一致しない。
  • (注2)ブローカー経由の海外間取引を除くベース
  • (注3)ブローカー経由の海外間取引を含むベース
  • (注4)「インターバンク取引」とは、本調査対象金融機関同士の取引。また、「対顧客取引」はそれ以外の取引(=本調査対象金融機関と対象外金融機関および非金融機関顧客との取引)
  • (注5)「国内」とは調査対象先と本邦居住者との取引。また「海外」とは調査対象先と本邦非居住者との取引。

(図表2)インターバンク取引・対顧客取引の取引形態別1営業日平均取引高

  • 図表2
  • (注)合計は、「ブローカー経由の海外間取引」を除くベース。

(図表3)本邦・外資系金融機関別の取引動向

  • 図表3
  • (注)合計は、「ブローカー経由の海外間取引」を除くベース

(図表4)通貨別取引動向

  • 図表4
  • (注1)各々上段が全取引高に占める当該ペアの取引高シェア、中段が本邦金融機関の取引高に占める当該ペアの取引高シェア、下段が外資系金融機関の取引高に占める当該ペアの取引高シェア。
  • (注2)1995年4月中、1998年4月中のユーロ計数は「独マルク+仏フラン+ECU+その他EMS通貨の合計」。

(図表5)インターバンク取引に占めるブローカー経由取引比率

  • 図表5
  • (注)( )内はスポット取引に占める電子ブローカー取引の比率。

(図表6)外為取引集中度

  • 図表6

II.デリバティブ取引高計表(FRA、金利スワップ、金利オプション、通貨スワップ、通貨オプション合計ベース)

(図表7)取引形態別取引動向

  • 図表7

(図表8)金利関連取引の金利別シェア

  • 図表8
  • (注1)( )内はシェアの前回調査比増減差。
  • (注2)( )内の計算に利用した1998年4月中のユーロ金利計数は「独マルク+仏フラン+ECU+その他EMS通貨の合計」。

(図表9)外為関連取引の通貨別シェア

  • 図表9
  • (注1)( )内はシェアの前回調査比増減差。
  • (注2)( )内の計算に利用した1998年4月中のユーロ関連計数は「独マルク+仏フラン+ECU+その他EMS通貨の合計」。

(図表10)本邦・外資系金融機関別取引動向

  • 図表10

(図表11)取引相手先別取引動向

  • 図表11

(図表12)デリバティブ取引集中度

  • 図表12

(参考)電子取引システムを通じた取引(取引総額に占める割合)

  • 参考

(図表注:全図表に共通)

  1. 95年4月中取引高には、証券会社の通貨オプションは含まれていない。
  2. 各計表で、内訳項目と合計の不一致は、単位未満の四捨五入によるもの。

(別添2)

参加国・地域一覧(太字は今回新たに参加した国・地域)

オーストリア、オーストラリア、ベルギー、バーレーン、ブラジル、カナダ、スイス、チリ、中国、コロンビア、チェコ、ドイツ、デンマーク、スペイン、フィンランド、フランス、英国、ギリシャ、香港、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、イスラエル、インド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルグ、メキシコ、マレーシア、オランダ、ノルウェー、ニュージーランド、ペルー、フィリピン、ポーランド、ポルトガル、ロシア、サウジアラビア、スウェーデン、シンガポール、スロベニアスロバキア、タイ、トルコ、台湾、米国、南アフリカの計48か国・地域。