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マネーストック統計のFAQ

2024年8月
日本銀行調査統計局

目次

マネーストック統計に関するQ&A

マネーストック統計の利用方法等に関するQ&A

マネーストック統計に関するQ&A

1. マネーストック統計とは何ですか。

マネーストック統計とは、「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」を示す統計です。具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(=金融機関・中央政府以外の経済主体)が保有する通貨量の残高を集計しています。
通貨(マネー)としてどのような金融商品を含めるかについては、国や時代によっても異なっており、一義的に決まっているわけではありませんが、我が国の場合、対象とする通貨の範囲に応じて、M1、M2、M3、広義流動性といった4つの指標を作成・公表しています。

2.マネーストック統計にはどのような指標がありますか。

マネーストック統計には、通貨の範囲に応じてM1、M2、M3、広義流動性の4つの指標があります。これらの指標の定義は、次の通りです。

M1
=現金通貨+預金通貨(預金通貨の発行者は、全預金取扱機関)
現金通貨=日本銀行券発行高+貨幣流通高
預金通貨=要求払預金(当座、普通、貯蓄、通知、別段、納税準備)-調査対象金融機関保有小切手・手形
M2
=現金通貨+預金通貨+準通貨+CD(預金通貨、準通貨、CDの発行者は、国内銀行等
<マネーサプライ統計のM2+CD対象預金取扱機関と一致>)
M3
=現金通貨+預金通貨+準通貨+CD(預金通貨、準通貨、CDの発行者は、全預金取扱機関)
広義流動性
=M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債
  • 上記は、いずれについても、居住者のうち、一般法人、個人、地方公共団体などの保有分が対象。

M1は、最も容易に決済手段として用いることができる現金通貨と預金通貨から構成されています。

M3は、M1に準通貨やCDを加えた指標です。準通貨の大半は、定期預金ですが、定期預金は解約して現金通貨や預金通貨に替えれば決済手段になる金融商品で、預金通貨に準じた性格を持つという意味で準通貨と呼ばれています。

M2は、金融商品の範囲はM3と同様ですが、預金の預け入れ先が限定されています。

広義流動性は、M3に何らかの「流動性」を有すると考えられる金融商品を加えた指標です。このため、金融商品間の資金の流出入(例えば、投資信託を解約して銀行預金に振り替える)があった場合でも、その影響を受けないといった特色があります。

3.日本銀行は、マネーストック統計のどの指標を中心にみていくのですか。

マネーに関する分析、評価にあたっては、これまで同様、M1、M2、M3、広義流動性の各指標を点検していく方針です。

なお、経済・物価情勢の展望(展望レポート)ではM2の動きを記述していますが、これは、従来から説明していたM2+CDの後継指標であるためです。M3については、長期の時系列が存在しないことや、ゆうちょ銀行の業務の性質など、分析、評価する上で考慮すべきポイントがあるため、今後蓄積されるデータもみながら、分析を行っていきたいと考えています。

4. 公表時期はどうなっていますか。

マネーストック統計は、月次で集計しており、対象月の翌月第7営業日に平残の速報を公表しています(3、9月分は、金融機関からのデータ入手が遅れるため、翌月第9営業日の公表)。また、対象月の翌々月第7営業日には、平残および末残の確報を公表しています(2、8月分は翌々月第9営業日の公表)。

公表資料は、公表日の午前8時50分に、本ホームページに掲載されています(時系列統計データ検索サイト上の時系列データは、同日の午前8時50分頃更新されます)。

5.データは日本銀行のホームページのどこに掲載されていますか。

マネーストック統計は、マネーストックに掲載しています。時系列データは、時系列統計データ検索サイトに掲載しています。

6.データはいつまで遡ることができますか。

現在のマネーストック統計のデータは、2003年4月分まで遡ることができます。

また、2008年4月分まで公表されていたマネーサプライ統計のデータの始期は、指標毎に以下のようになっています。

M1 ・・・・・・・・・・
平残 1963年1月、末残 1955年 1月
M2+CD ・・・・・・・・
平残 1967年1月、末残 1955年 1月
M3+CD ・・・・・・・・
平残 1996年1月、末残 1971年12月
広義流動性 ・・・・・・・
平残 1980年1月

7.マネーサプライ統計からマネーストック統計への変更点は何ですか。

マネーストック統計は、2008年に見直しが行われた際、各指標の対象金融商品の範囲や通貨発行主体の範囲が見直されたほか、通貨保有主体の範囲や一部計数の推計方法が変更されました。具体的には、次のとおりです。

(通貨保有主体の範囲)

マネーサプライに含まれていた、証券会社、短資会社および非居住者が、マネーストックでは通貨保有主体から除外されています。

(指標の範囲)

マネーストックでは、上記通貨保有主体の範囲の変更のほか、各指標の通貨発行主体の範囲や各指標に含まれる金融商品の範囲についても変更されています。具体的には、以下のとおりです。

「M1」

マネーストックの「M1」は、マネーサプライの「M1」に含まれる「M2+CD対象金融機関」の預金通貨のほか、ゆうちょ銀行、農業協同組合、信用組合などを含む全ての預金取扱機関の預金通貨が対象になっています。

「M2」

通貨保有主体の変更に伴い、マネーストックの「M2」からは非居住者預金が除かれています。それ以外は、マネーサプライの「M2+CD」の範囲と同じです。

「M3」

通貨保有主体の変更に伴い、マネーストックの「M3」からは非居住者預金が除かれています。それ以外は、マネーサプライの「M3+CD」から「金銭信託」を除いた範囲と同じです。

「広義流動性」

マネーストックでは、「投資信託」に私募投信を含めるほか、「銀行発行普通社債」を追加しています。一方、「債券現先・現金担保付債券貸借」を集計対象から除外しています。

(その他の変更点)

マネーサプライに含まれている、ゆうちょ銀行の保有現金や未払利子相当額を控除するなどしているほか、現金通貨残高、金融機関保有小切手・手形残高(預金からの控除分)などの推計方法を見直しています。

このように、M2はマネーサプライ統計の「M2+CD」と、M3はマネーサプライ統計の「M3+CD」から「金銭信託」を控除した計数と、それぞれ対象金融資産(非居住者円預金を除く)および通貨発行主体が一致しており、系列の段差は、通貨保有主体の範囲と一部の計数作成方法の違いによるものとなっています。一方、M1はマネーサプライ統計の「M1」と通貨発行主体の範囲が異なり、広義流動性は、マネーサプライ統計の「広義流動性」と対象金融資産の範囲が異なっています。この結果、マネーストック統計とマネーサプライ統計において、M2および「M2+CD」と、M3および「M3+CD-金銭信託」の系列の段差は比較的小さく、M1および広義流動性の系列の段差は比較的大きくなっています(『マネーストック統計の遡及計数の公表等について』参照)。

ちなみに、マネーサプライ統計においても定義の変更があり、1998年4月には、調査対象金融機関の範囲が拡大されました。その際には、「M1」と「M2+CD」の2指標に、外国銀行在日支店、外資系信託銀行、信金中央金庫の預金が追加され、「M3+CD」には、上記のほかに、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会の預金が追加されました。

また、広義流動性については、2000年6月に、広義流動性の内訳計数の公表を開始した際に、1996年1月分まで遡って、各コンポーネントの作成方法の見直し等を実施しました。このため、マネーサプライ統計の広義流動性には、以下の3系列のデータがあります。

表 マネーサプライ統計の広義流動性
期間 対象金融機関 作成方法
(1)データ始期~1999年3月 範囲拡大 見直し
(2)1996年1月~1999年3月 範囲拡大 見直し
(3)1998年4月~2008年4月 範囲拡大 見直し

8.マネーストックに統計名称を変更した理由は何ですか。

2008年に見直しが行われた際、海外で一般に使われている統計名称を踏まえて変更しました。海外でも、当初はMoney supply(通貨供給量)という統計名称が使われていましたが、経済全体に流通している通貨量は、金融機関の与信行動と企業や家計などの通貨需要の相互作用によって決まるとの認識から、次第に、Money stock(通貨残高)、Monetary aggregates(通貨集計量)といった統計名称で呼ばれるようになりました。

9.マネーストック統計の系列をマネーサプライ統計の系列と接続してもいいですか。

7.マネーサプライ統計からマネーストック統計への変更点は何ですか。」で示したように、マネーストック統計は、マネーサプライ統計から定義等の変更が行われています。このため、同じ定義に基づく長期の連続した残高データを作成することはできません。

ただし、定義等の変更を踏まえたうえで長期時系列データを作成する一例として以下のような方法が考えられます。なお、この方法で作成した残高で前年比の系列を作成すると、2004年4月以降はマネーストック統計の前年比、それ以前はマネーサプライ統計の前年比をつないだものと同じとなります(季調済データでも、同前期比を用いた同様の方法が考えられます)。

(例)マネーストック統計「M3」に接続されるマネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」(接続計数)の作成方法(マネーストック統計「M2」とマネーサプライ統計「M2+CD」の接続も同様の考え方)

2002年4月~2003年3月の場合

・2003年3月の接続計数を作成

Y(2003年3月)

 =X1(2004年3月)× X2(2003年3月)÷ X2(2004年3月)

  • Y:マネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」(接続計数)
  • X1:マネーストック統計「M3」
  • X2:マネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」

1998年4月~2002年3月の場合

・2002年3月の接続計数を作成

Y(2002年3月)

 =Y(2003年3月)× X2(2002年3月)÷ X2(2003年3月)

  • Y:マネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」(接続計数)
  • X2:マネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」

1996年1月~1998年3月の場合

・1998年3月の接続計数を作成

Y(1998年3月)

 =Y(1999年3月)× X3(1998年3月)÷ X3(1999年3月)

  • Y:マネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」(接続計数)
  • X3:マネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」(旧)

マネーサプライのM3+CD-金銭信託の実額と、マネーストックのM3の実額とを水準比較したグラフ。後者が僅かに低いが、いずれも同様の推移を辿っている。

なお、データについては、時系列統計データ検索サイトにおいて、「時系列統計データ検索・グラフ>全時系列統計データの検索>データコードの直接入力」を選択し、以下のデータコードを入力することで、検索を行うことができます。

<マネーストック統計「M3」とマネーサプライ統計「M3+CD-金銭信託」を接続する場合>
データコード 系列名称
MD02'MAM1NAM3M3MO M3/平/マネーストック
MD02'MAMS3ANM3 (更新停止)M3+CD-金銭信託/平/マネーサプライ(2008年4月まで)
MD02'MAMS1ANM3 (更新停止)旧M3+CD(新)-金銭信託/平/マネーサプライ(1999年3月まで)
<マネーストック統計「M2」とマネーサプライ統計「M2+CD」を接続する場合>
データコード 系列名称
MD02'MAM1NAM2M2MO M2/平/マネーストック
MD02'MAMS3ANM2C (更新停止)M2+CD/平/マネーサプライ(2008年4月まで)
MD02'MAMS1ANM2C (更新停止)旧M2+CD/平/マネーサプライ(1999年3月まで)

10. 季節調整値はありますか。

マネーストック統計の原計数(収集計数を単純に集計したものを原計数と呼びます)には、季節的な変動が含まれているため、実勢の動きを把握しにくいことがあります。このため、以下の系列については、原計数(残高および前年比)のほかにも、季節的な変動を取り除いた季節調整済計数(残高および前月比年率)を作成・公表しています。

平残:M2、M3、M1、現金通貨、預金通貨、準通貨、広義流動性

末残:M3、M1

季節調整の詳細な内容については、マネーストックの「見直し等のおしらせ」に掲載しているマネーストック関連計数の季節調整値改定をご覧ください。

11.マネーストック統計について、もっと詳しく知りたい場合は、どのような資料をみればよいでしょうか。

日本銀行調査統計局では、マネーストック統計に関する解説資料として、『マネーストック統計の解説』を公表しています。同資料では、統計の内容や作成方法、利用上の留意点等について詳しく解説しています。

12.通貨保有主体、通貨発行主体とは何ですか。

通貨保有主体とは、通貨量を集計する際の集計対象となる保有者(経済主体)のことを示しており、我が国の場合、一般法人(金融機関以外の法人)、個人、地方公共団体・地方公営企業がこれに該当します。
通貨発行主体とは、マネーストック統計の対象金融商品を発行している経済主体のことを指します。原則としては、非通貨保有主体が通貨発行主体になりえますが、指標毎に定義が異なっています。M1とM3の場合は、日本銀行と全預金取扱機関が該当し、M2の場合は、日本銀行、国内銀行<除くゆうちょ銀行>、外国銀行在日支店、信用金庫、信金中央金庫、農林中央金庫、商工組合中央金庫が該当します。広義流動性の場合は、国(国債)、非居住者(外債)なども通貨発行主体に含まれます。

13.マネーストック統計の各指標について、通貨保有主体別の内訳(例えば、法人、個人等)をみることはできますか。

マネーストック統計のうち、M3の内訳項目の預金通貨、準通貨、CDについては、さらに通貨保有主体別内訳として一般法人、個人の保有残高を公表しています(地方公共団体・地方公営企業については、合計から一般法人、個人を差し引くことで算出可能)ので、これらが利用可能です。

上記以外の指標については、主体別の内訳は作成・公表していません。

14.マネーストック統計のM3について、通貨発行主体の業態別内訳(例えば、国内銀行、信用金庫等)をみることはできますか。

国内銀行(除くゆうちょ銀行)、外国銀行在日支店、信用金庫に関しては、その基礎資料(マネーストック関連調査表のうち預金、現金、貸出金調査表)の調査項目毎に、集計値を「預金・現金・貸出金」として公表しています。したがって、これらの計数を利用して、一部の通貨発行主体について、内訳を作成することは可能です。

しかし、その他の業態別計数については、公表データから作成することは困難です。

15.定額貯金はマネーストック統計に含まれていますか。

通貨保有主体が保有する定額貯金は、預金取扱機関が発行した定期性預金の一つとして、M3の準通貨に含めています。

16.マネーストック統計各指標の統計精度は高いと考えてよいでしょうか。

マネーストック統計のうち、M3に含まれる現金通貨、預金通貨、準通貨、CDは、多くはマネーストック関連調査表として収集している計数を集計することによって作成していることから、その統計精度はかなり高いものになっています。

これに対して、国債などの広義流動性のコンポーネントについては、推計で計数を作成している部分が多くなっていますので、M3と比較すると、精度は相対的に低くなっています。

なお、平残速報計数については、公表タイミングが原則翌月第7営業日と極めて早いこともあり、入手可能なデータが限られていますので、広義流動性だけでなく、M3においても推計誤差が含まれています。

17.計数の遡及訂正は行われるのですか。

計数の遡及訂正は、以下の場合に行われます。

(定例的な訂正)

マネーストック統計は、確報確定後も、基礎資料の入手等に伴い定例的に次表のタイミングで計数が遡及訂正されます。

表 定例的な訂正
1、7、10月の公表日 最新月から遡って、8ヶ月前の計数まで修正される可能性があります。
2、8月の公表日 最新月から遡って、6ヶ月前の計数まで修正される可能性があります。
3、4、6、9月の公表日 最新月から遡って、3年前の計数まで修正される可能性があります。
3月の公表日 季節調整替えに伴い、季節調整済計数がデータ始期に遡って修正されます。
上記以外の月の公表日 最新月から遡って、4ヶ月前の計数まで修正される可能性があります。

(金融機関からの誤報告等があった場合の訂正)

金融機関からの誤報告等が発見された場合、速やかに計数の訂正を行っています。原則として、計数入手後もっとも近いマネーストック統計の公表日に過去3年程度を目途に計数の訂正を行っています。ただし、計数の訂正幅がM3残高(M2対象金融機関の誤報告等の場合はM2残高)の0.1%に満たない場合は、例年3月または9月の公表日に訂正を行うことがあります。

(広義流動性の改定)

広義流動性(M3以外の部分)については、推計精度の改善余地が大きいことが判明したつど見直しを行うことに加えて、2004年6月以降、原則として3年に1度を目処に、定例的に改定の可否について精査し、必要に応じて改定を行うこととしています。詳細については、マネーストックの「見直し等のお知らせ」をご覧ください。

マネーストック統計の利用方法等に関するQ&A

18.マネーストックと実体経済、物価はどのような関係にありますか。

マネーストックは、通貨の量を示す指標の一つです。通貨が様々な経済活動に使われるものであること、また、物価は基本的には、モノやサービスと通貨との関係を示すものであることを踏まえれば、マネーストックと実体経済や物価との間には何らかの関係があると考えられています。ただし、マネーストックの動きは、経済取引以外にも、いざと言う時のための備えとして金融資産を持つといった人々の行動や、マネーストックの対象となっている金融資産とそうでない金融商品との間の預け替えなど、様々な要因の影響を受けます。このため、マネーストックと実体経済・物価との関係は、短期的にはかなり不安定であり、これらが異なった動きをすることも少なくありません。

19.日本銀行の金融政策とマネーストック統計はどのような関係にありますか。

日本銀行は、金融政策を決定するに当たって、金融や経済の実態についてさまざまな角度(実体経済、物価、金融面)から検討を行っています。このうち金融面からの検討に際しては、マネーストック統計を判断材料(指標)の一つとして利用しています。

これは、マネーストックが、マクロの金融情勢を表わす代表的な指標の一つであると考えられているためです。

なお、日本銀行は、マネーストックを、金融政策の目標あるいは金融調節の操作対象としている訳ではありません。

20.マネタリーサーベイ統計とは、どのような関係ですか。

マネーストック統計と最も関連が深い統計には、「マネタリーサーベイ」があります。

「マネタリーサーベイ」は、IMFが採用している国際基準に基づき、日本銀行と預金取扱機関の諸勘定を統合・調整したバランスシートです。なお、統合・調整とは、金融機関預金など金融機関相互間の債権債務を相殺するほか、勘定科目を合算、分割することを意味します。本統計における負債については、現金通貨、預金通貨、準通貨+CDといった流動性別内訳が示されていますが、これらは、マネーストック統計のM3(末残)の内訳項目と一致します。一方、資産については、対外資産あるいは国内信用(政府向け、その他金融機関向け、地方公共団体向け、その他部門向けの内訳が存在)といった区分で表示されています。

21.マネタリーベース統計とは、どのような関係ですか。

マネタリーベース統計(算式は以下の通り)は、「日本銀行が金融部門を含めた経済全体に供給する通貨量」を集計した統計であるのに対し、マネーストック統計は、「金融部門(通貨発行主体)から経済全体に対して供給される通貨」を集計した統計です。両者とも、通貨量を表わす統計ですが、通貨の発行主体(日本銀行か、日本銀行を含む金融機関全体か)や通貨の保有主体(マネタリーベース統計は金融機関を含むが、マネーストック統計は金融機関を含まない)の範囲が異なります。この結果、マネタリーベース統計に含まれる、日銀当座預金や金融機関の保有現金(「銀行券」と「貨幣」)は、マネーストック統計には含まれません。

マネタリーベース=「日本銀行券発行高」+「貨幣流通高」+「日銀当座預金」

なお、日本銀行では、マネタリーベース統計のほかにも「マネタリーベースと日本銀行の取引」統計を作成・公表しています。これは、日本銀行が供給する通貨量が、どのような取引を通じて供給されたかを示しており、月末残高と月中取引額の計数を公表しています。

22.資金循環統計とは、どのような関係ですか。

資金循環統計は、一国全体の金融活動や金融資産・負債を経済主体(部門)別、金融商品(取引項目)別に記録している統計です。これに対して、マネーストック統計は、そのうちの「一般法人・個人・地方公共団体等の通貨保有主体」が保有する現金通貨や預金通貨等の「通貨」に対応する資産を集計した統計です。このため、マネーストック統計は、資金循環統計における金融資産負債残高表の部分集合と位置づけることができます。

もっとも、残高の評価方法が資金循環統計では原則時価ベース、マネーストック統計では原則額面ベースとなっているほか、部門・取引項目についても若干の相違があり、両統計の対応する計数を比較しても必ずしも一致しません。

また、マネーストック統計の分析に資金循環統計を利用する場合には、(1)マネーストック統計は平残計数が中心となっているのに対して、資金循環統計の残高は末残であること、(2)マネーストック統計は月次統計であるのに対して、資金循環統計は四半期統計であること、(3)マネーストック統計の平残速報値が原則翌月の第7営業日に公表されるのに対して、資金循環統計は当該四半期の約3ヶ月後の公表であること、等に留意する必要があります。

23.「貸出・預金動向(速報)」統計とは、どのような関係ですか。

「貸出・預金動向(速報)」は銀行の資産である貸出(平残)、および、負債である実質預金(表面預金平残から小切手・手形平残を除いた預金)+CD(平残)を月次で集計した統計です。このうち実質預金+CDの基礎資料は、マネーストック統計のM3速報値の作成にも利用されています。

「貸出・預金動向(速報)」の実質預金+CD(3業態・信金計)は、(1)現金通貨を含んでいない、(2)金融機関預金、政府関係預り金および非居住者預金を含んでいる、(3)集計対象が都銀、地銀、第2地銀の3業態および信金のみに限定されているという点でマネーストック統計のM2と異なっています(なお、「貸出・預金動向(速報)」では、2008年1月分以降、ゆうちょ銀行等を含む「その他国内対象銀行」の実質預金+CDの計数を3業態・信金の計数とは別に公表しています)。