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「短観(全国企業短期経済観測調査)」のFAQ

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2018年12月
日本銀行調査統計局

目次

質問一覧

1. 「短観」全般に関するQ&A

2. 判断項目に関するQ&A

3. 計数項目に関するQ&A

4. 物価見通しに関するQ&A

5. 統計の正確性に関するQ&A

6. 統計の公表に関するQ&A

7. その他のQ&A

回答一覧

1. 「短観」全般に関するQ&A

1-1. 「短観」の調査目的や調査項目は何ですか。

「短観」は、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としており、業況等の現状・先行きに関する判断(判断項目)、事業計画に関する実績・予測(計数項目)および物価の見通しという企業活動全般に関する項目について、全国の調査対象企業に四半期ごとに実施する統計調査(ビジネス・サーベイ)です。海外でも"TANKAN"の名称で広く知られています。

1-2. 法的根拠はあるのですか(回答義務はあるのですか)。

「短観」は、統計法(平成19年法律第53号)に基づいて、日本銀行が行う統計調査です。調査対象企業に回答義務はありませんが、「短観」の場合、調査対象企業のご理解とご協力により、毎回殆どの企業にご回答頂いています。

なお、同法の規定により、調査対象企業からご回答を受けた内容については、その秘密を厳正な管理によって保護します。

1-3. 「短観」の調査結果からどのようなことが分かりますか。

「短観」の特徴は、企業活動全般を的確に把握する観点から、企業の経営環境に対する見方を問う「判断項目」に加えて、売上高や設備投資額、新卒採用者数等の定量的な「計数項目」(年度計数)をあわせて調査していることです。これらの調査項目について、先行きの予測(「判断項目」における「先行きの状況」、「計数項目」における計画値)を調査している点も大きな特徴です。また、調査の歴史が長く、同一の調査項目について長期にわたるデータが蓄積されている点も利用上のメリットと言えます。

このため、その時々の景気実態や企業活動について、「判断項目」と「計数項目」を組み合わせたり、過去の類似局面と比較するなどして、ユーザー一人一人が様々な目的に応じた分析を行うことが可能です。

こうした特長から、短観は、わが国の経済物価情勢を把握するための指標の一つとして活用されています。

業況判断DI(製造業・大企業)と景気基準日付
  • 短観の業況判断DIと内閣府による景気基準日付を比較したグラフ。製造業・大企業の業況判断DIは、過去の景気の転換点をほぼ的確に捉えていた様子が確認できる。
短観とGDPの設備投資
  • 短観の全規模全産業と金融機関の合計ベースの設備投資額とGDPの名目民間企業設備投資のグラフ。両者の前年比は概ね一致していることが確認できる。

なお、「短観」の集計結果は、あくまで調査対象企業からの回答を集計したものであり、日本銀行の景気判断や予測を示すものではありません。

1-4. 「全国短観」の調査対象を教えてください。

「全国短観」の目標母集団は全国の資本金2千万円以上の民間企業(金融機関を除く)とし、調査母集団は総務省・経済産業省「経済センサス」をベースとしています(現行約22万社)。調査母集団から、業種別・規模別に設けた区分毎に、統計精度等に関する一定の基準を満たすよう、調査対象企業(現行約1万社)を抽出しています。

集計値は31の業種(製造業17業種、非製造業14業種)および3つの規模(大企業、中堅企業、中小企業)(注)の計93層について公表していますが、統計の精度向上を目的として、調査対象企業の選定(標本設計)や母集団合計の推計値の算出に際しては、より細かな区分(計400層弱)を設けています。調査対象企業は調査母集団の更新にあわせて見直すこととしています。直近の見直しの詳細は、「短観調査対象企業の定例見直し」(2018年3月)をご覧ください。

この他、金融機関については、「全国短観」を補完する標本調査と位置付け、調査を行っています(1-5.参照)。

  • (注)「全国短観」では、総務省が告示する「日本標準産業分類」をベースに、製造業を17業種、非製造業を14業種に区分しています。また、資本金を基準にして、下図のように、大企業、中堅企業、中小企業の3つの集計規模区分を設けています。
表 集計規模区分
資本金
大企業 10億円以上
中堅企業 1億円以上10億円未満
中小企業 2千万円以上1億円未満

1-5. 金融機関はどのような扱いになっていますか。

金融機関については、2004年3月調査以降、「全国短観」を補完する標本調査と位置付け、調査を行っています(注)

目標母集団は、全国の雇用者数10名以上の民間金融機関とし、調査母集団は総務省・経済産業省「経済センサス」をベースとしています(現行約3,000社)。

調査対象企業の選定に際しては、調査母集団を(1)「都市銀行・信託銀行等」、(2)「地方銀行・第二地方銀行協会加盟銀行」、(3)「信用金庫等」、(4)「系統金融機関等」、(5)「金融商品取引業」、(6)「保険業」、(7)「貸金業等」に区分し、統計精度等に関する一定の基準を満たすよう、調査対象企業(現行約200社)を抽出しています。

調査対象企業は、上記7つの業態に分類していますが、母集団合計の推計値については、業態を跨ぐような再編があっても、安定的な公表区分を確保できるよう、「銀行業(上記の(1)+(2))」、「協同組織金融業(同(3)+(4))」、「金融商品取引業」、「保険業」および「貸金業等」の5区分で公表しています。その際、大企業、中堅企業、中小企業といった集計規模区分は設けていません。なお、金融機関についても、調査対象企業の選定や母集団合計の推計値の算出に際しては、統計精度の向上を目的として、より細かな区分(計20層程度)を設けています。調査対象企業は「全国短観」にあわせて見直しています。直近の見直しの詳細は、「短観調査対象企業の定例見直し」(2018年3月)をご覧ください。

  • (注)1989年11月調査(現在の12月調査)から2003年12月調査までは、「主要短観」の補完調査との位置付けで、金融機関に対する設備投資調査を行っていました。2004年3月調査では、この位置付けを変更するとともに、調査対象とする業態・項目を拡充しました。

1-6. 「短観」の調査方法を教えてください。

「短観」は、所定の調査表を用いて、書面およびオンラインにより調査しています。書面調査表およびオンライン調査に必要なID等は、調査対象企業に郵送により配付されます。なお、調査対象企業は、あらかじめ、書面調査またはオンライン調査のどちらか一方を選択することになっています。

オンライン調査は、2011年3月調査から開始しています。「全国短観」におけるオンラインによる回答率は、約4割(2018年6月時点)となっています。

1-7. 「短観」の歴史を教えてください。

現在、国内外で様々な企業活動の実態に関する調査(ビジネス・サーベイ)が実施されていますが、このうち「短観」は最も歴史の古い調査の一つです。国内最初のビジネス・サーベイは、日本興業銀行(当時)が、1951年に西独(当時)のIFO経済研究所の「景気テスト」を手本に開始した「産業界の短期観測」ですが、日本銀行では、これを継承・改定した上で、1957年に「主要短観」を開始しました。その後、1974年には「全国短観」を開始し、2004年には「全国短観」の大幅な見直しとともに「主要短観」を廃止して、現在に至っています。この間、その時々の経済実態等を反映させる形で、調査対象企業や調査項目の見直し等を行ってきています。

1957年 8月
「主要企業短期経済観測調査」(主要短観)を開始(524社<製造業346社、非製造業178社>を対象とする(注)四半期調査)。
1960年 5月
「中小企業の業況予測調査」を開始(2,666社<製造業・中小企業のみ>を対象とする半期調査)。
1962年 5月
「中小企業の業況予測調査」を半期調査から四半期調査に変更。
1966年11月
「中小企業の業況予測調査」を「中小企業短期経済観測調査」(中小短観)に改称。
1974年 5月
「中小企業短期経済観測調査」の調査対象企業(製造業・中小企業のみ)に、製造業(大企業、中堅企業)と非製造業(大企業、中堅企業、中小企業)を追加し、「全国企業短期経済観測調査」(全国短観)として調査を開始(対象は5,596社<製造業4,243社、非製造業1,353社>)。
1983年 5月
非製造業を中心に「全国短観」の調査対象企業を大幅に追加(5,181社→7,035社<うち非製造業:1,287社→3,141社>)。
1989年11月
「主要短観」の補完調査として「金融機関の設備投資調査」を開始(対象は207社)。
1993年11月
非製造業を中心に「全国短観」の調査対象企業を大幅に追加(7,376社→10,011社<うち非製造業:3,386社→5,822社>)。
1997年 3月
「全国短観」と「主要短観」の調査項目を統一(これに伴い「主要短観」の調査項目は半減)。
1999年 3月
「全国短観」の調査対象企業を追加する(9,129社→9,433社)とともに、公表データを拡充したほか、「全国短観」を調査の中心として位置付け(「主要短観」を参考計数の扱いに変更)。
2001年 3月
調査項目の追加(ソフトウェア投資額)
2004年 3月
「全国短観」の集計規模区分の基準を雇用者数基準から資本金基準へと見直し、調査対象企業の追加(8,204社→10,562社)および調査項目の見直しを行ったほか、「主要短観」を廃止、金融機関調査を「全国短観」を補完する標本調査へ位置付け。
2007年 3月
調査対象企業の定例見直し(9,789社→11,026社)
2010年 3月
調査対象企業の定例見直し(10,116社→11,684社)
2014年 3月
調査項目の見直し(調査項目の一部廃止、「物価見通し」を新設など)
2015年 3月
調査対象企業の定例見直し(10,312社→11,126社)
2017年 3月
調査項目の追加(研究開発投資額)
2018年 3月
標本設計方法を変更(層化抽出の基準を、「全国短観」では雇用者数から売上高に、「金融機関調査」では総資産から雇用者数に、それぞれ変更)するとともに、調査対象企業の定例見直しを実施(全国短観:10,645社→10,020社、金融機関調査:196社→210社)
  • (注)当時は、原則として、「資本金1億円以上の上場企業(金融・保険業を除く)のうち、各業種の動向を概ね反映する主要企業」を対象としていました。

1-8. 日本銀行の支店でも短観(「支店短観」)を公表していますが、本店(調査統計局)が公表する「短観」との相違点は何ですか。

日本銀行では、本店(調査統計局)が全国分を「短観」として公表していますが、各支店においても、それぞれの管内の調査対象企業の集計値(以下、「支店短観」)を公表しています(公表資料は、各支店のホームページ等でご覧頂けます)。

本店が公表している全国分の「短観」と各支店が公表している「支店短観」の違いは、主に以下の2点です。

(1)調査対象

「短観」の標本設計(調査対象企業の選定)は、全国ベースの業種・規模の分布のみを基準としているため、地域(支店)毎にみた業種・規模の分布は考慮していません。こうした点を補うため、「支店短観」では、全国分の「短観」が調査・集計対象としていない先(大手企業の出先事業所など)も一部含めている場合があります。

(2)集計方法

「短観」の計数項目は母集団合計の推計値である一方、「支店短観」の計数項目は単純集計値です。

「支店短観」をご利用頂く際には、上記のような本店が公表している全国分の「短観」との違いをご理解頂いた上で、当該地域の経済動向を把握するための一つの参考材料としてご覧頂ければと思います。また、上記の理由から、各支店が公表するDIや計数の水準同士を厳密に比較することが適当でない点にもご留意願います(「短観」と「支店短観」とを比較する場合も同様です)。

2. 判断項目に関するQ&A

2-1. DIはどのようにして算出するのですか。

判断項目については、調査対象企業からの回答(選択肢1~3)を、以下のように算出される「DI」(ディフュージョン・インデックス<Diffusion Index>)という指標に加工・集計して、公表しています。

DI(%ポイント)=「第1選択肢の回答社数構成比(%)」-「第3選択肢の回答社数構成比(%)」

例えば、収益を中心とした全般的な業況に関する判断を示す「業況判断DI」は、「1. 良い」、「2. さほど良くない」、「3. 悪い」という3つの選択肢の中から1つを回答して頂き、それぞれの回答社数の構成比を計算した上で、「1. 良い」の社数構成比から「3. 悪い」の社数構成比を引いて算出しています。

具体例として、3つの選択肢の回答社数構成比について、「1. 良い」が30%、「2. さほど良くない」が60%、「3. 悪い」が10%の場合、「業況判断DI」は、「30%-10%=20%ポイント」となります。

なお、公表区分ごとのDI変化幅をみると、一見整合的でないケースもあります。例えば、下図のケースでは、全産業の「最近」から「先行き」にかけての変化幅はそれぞれ「0」ですが、内訳である製造業では「+2」、非製造業では「+1」と変化しています。

これは、DIを算出する際、「1. 良い」および「3. 悪い」と回答した社数構成比を整数化(小数点第1位を四捨五入)しており、「製造業」、「非製造業」、「全産業」の各区分において整数化を行う結果、四捨五入のずれが生じているためです。

(具体例)業況判断DI(%ポイント)
表 (具体例)業況判断DI(%ポイント)
最近 先行き 変化幅
(先行き-最近)
製造業 20
(30%-10%)
22
(28%-6%)
+2
非製造業 18
(25%-7%)
19
(24%-5%)
+1
全産業 20
(28%-8%)
20
(26%-6%)
0

また、DIの算出においては、企業規模の大小に基づくウェイト付けを行っておらず、いわば1社1票の単純平均の形をとっています。

2-2. 判断項目の回答をDIという指標に加工・集計するのは何故ですか。

集計データの利用に当たっては、それぞれの選択肢(1~3)の回答社数構成比をそのまま利用することもできますが、例えば、長期の動きを時系列でみる場合などには、やや煩雑な面があります。そこで、これらの複数のデータの動きを一目で把握できるように、DIという一つの指標に集約したものを公表しています。

2-3. DIにはどのような利用方法がありますか。

判断項目については、「最近(調査回答時点)の状況」および「先行き(3か月後)の状況」を調査しており、DIも「最近DI」および「先行きDI」の形で算出しています。「先行きDI」の動きには、景気の状況や業種などに応じてある程度癖がある点には留意が必要ですが、企業が現状と比べ先行きをどのように展望しているかを推し量る材料になります。

また、DIと関連する計数項目(「業況判断DI」と「経常利益」・「売上高経常利益率」、「生産・営業用設備判断DI」と「設備投資額」など)を組み合わせて分析したり、足許と過去の類似する景気局面のDIを比較するなど、ユーザーの様々な目的に応じた分析を行うことが可能です。

2-4. 個別のDIをみる際にはどのような留意点がありますか。

例えば、需給・在庫に関するDIには、(1)国内での製商品・サービス需給判断(「需要超過」-「供給超過」)、(2)海外での製商品需給判断(「需要超過」-「供給超過」)、(3)製商品在庫水準判断(「過大~やや多め」-「やや少なめ~不足」)、(4)製商品の流通在庫水準判断(「過大~やや多め」-「やや少なめ~不足」)の4つがあります。

このうち、(3)については、回答企業自身の製商品在庫の過不足についての判断を回答して頂く一方、(1)、(2)、(4)については、回答企業の主要製商品・サービスの属する業界の需給および流通在庫の過不足についての判断を回答して頂くことになっています。従って、これらのDIを利用する際には、企業自身ないし業界という定義の違いにご留意願います。

また、(1)借入金利水準判断(「上昇」-「低下」)、(2)販売価格判断(「上昇」-「下落」)、(3)仕入価格判断(「上昇」-「下落」)の3つについては、水準(レベル感)ではなく変化の方向性を企業に回答して頂いています。「短観」のDIの多くは水準の判断を示していますが、これらのDIは、変化の方向性に関する判断を示している点にご留意願います。

このほか、一部のデータ系列については、集計方法の見直し等に伴う不連続が生じています。詳細は、「『短観』の解説 [PDF 717KB]」をご参照ください。なお、時系列統計データ検索サイトでは、ユーザーの利便性等を考慮し、連続した系列として取り扱っていますので、ご留意ください。

3. 計数項目に関するQ&A

3-1. 母集団合計の推計値とは何ですか。どのようにして算出するのですか。

「短観」の目的は、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することですが、仮に全ての企業を対象とした調査(「全数調査」、「悉皆調査」)を行おうとすると、調査対象となる全ての企業に負担をおかけすることになるほか、日本銀行でも調査対象企業の情報管理に莫大なコストがかかり、集計・公表にも時間を要するため、景気の実態を機動的に把握することは困難です。

従って、調査母集団(「短観」の場合、総務省・経済産業省「経済センサス」のうち、資本金2千万円以上の民間企業)から、統計精度等に関する一定の基準を満たすよう、標本(調査対象企業)を抽出し、その抽出率に応じて、調査対象企業からの回答の集計値を膨らませる形で母集団全体の集計値(母集団合計)を推計する手法をとっています。こうして算出された値が「母集団合計の推計値」です。このように、標本から得られる情報を用いて目標母集団の情報を推し量る調査を、一般に「標本調査」と言います。

母集団合計の推計値の算出例

調査母集団200社から50社を抽出して売上高を調査したところ、50社の売上高合計(単純集計値)が150だった場合、母集団合計の推計値は以下のように算出されます。

母集団合計の推計値=(150/50)×200=600

(1社当たりの平均売上高)×(調査母集団の企業数)=(200社の売上高の推計値)

「短観」では、「計数項目」について、業種・規模別の区分(計400弱の推計層)ごとに母集団合計の推計値を算出し、それらを合算して全体の推計値を集計しています。

3-2. 調査対象企業から回答が得られなかった場合には、どのように集計していますか(欠測値補完の方法について教えてください)。

2004年3月調査以降、「計数項目」のうち、「年度計画」については、調査対象企業から回答が得られなかった場合、当該企業の直近の回答値を個別に代入(欠測値補完)した上で、集計を行っています。

新年度(X+1年度)計数を入手できない場合、直近(X年度)の計数を代入し、集計対象とします。
新年度計数を入手できない場合の欠測値補完方法を示した図。詳細は本文のとおり。

また、6月調査以降、当年度(X年度)計数が入手できない場合は、前回調査の集計に使用した当年度の計数を代入します。
当年度計数を入手できない場合の欠測値補完方法を示した図。詳細は本文のとおり。

2003年12月調査までは、調査対象企業から回答が得られなかった場合、当該企業を除く企業の回答値から母集団合計の推計値を算出していました。このため、結果的には、未回答企業の回答値に、その企業が属する推計層の平均値を代入して集計を行うのと同じ扱いとなっていました。

この場合、未回答となった企業の本来の回答値が、推計層の平均値と乖離していると、母集団合計の推計値が実体から乖離してしまう可能性があります。

このような問題意識から、代替手法について検討を行った結果、「年度計画」については、当該企業の直近の計数を代入した方が、より的確な集計値を得られる可能性が高いことが判明しました(検証方法については、「『全国企業短期経済観測調査』における欠測値補完の検討」(2001年8月)を参照)。これに基づき、2004年3月調査以降は、「当該企業の直近の計数を代入する」方法に変更しています。

3-3. 調査対象企業から得られた回答が著しく大きな変動をした場合には、どのように集計していますか(外れ値対応の方法について教えてください)。

2010年12月調査以降、「売上高」、「経常利益」、「当期純利益」、「設備投資額」、「ソフトウェア投資額」について、母集団合計の推計値の前年比や修正率に対する影響が著しく大きい回答値が外れ値として検出された場合には、当該回答値は調査母集団を代表していないため、その影響を取り除く処理(外れ値対応)を行った上で集計しています。

例えば、新年度(X+1年度)計数が前年と比べて著しく大きく、外れ値として検出された場合、直近(X年度)の計数を代入します。
新年度計数が外れ値として検出された場合の補完方法を示した図。詳細は本文のとおり。

また、6月調査以降、当年度(X年度)計数の修正が著しく大きく、外れ値として検出された場合、前回調査の集計に使用した当年度の計数を代入します。
当年度計数が外れ値として検出された場合の補完方法を示した図。詳細は本文のとおり。

外れ値対応は統計精度を一段と高める統計作成上の技術的な対応です。外れ値となるデータは極めて稀にしか発生しません。

外れ値の取扱いの詳細は、「『短観』の解説」や「ビジネスサーベイにおける外れ値対応―全国企業短期経済観測調査(短観)のケース―」(2010年7月)をご参照ください。

3-4. 「短観」の前年比、修正率をみる際にはどのような留意点がありますか。

「短観」では、ある年度の計数を、前年度の3月調査から翌年度の6月調査まで、計6回調査していますが、翌年度の6月調査をもって、当該年度の実額(母集団合計の推計値)を確定しています。

例えば、下図の通り、X年6月調査で、X-1年度計数(実額)を確定させていますが、これに伴い、X-1年度計数の前年比が確定するとともに、X年度計数の前年比を算出する際の「分母」も確定します。

従って、例えば、X年度計数の前年比をみる際には、X年3月調査とその他の調査(X年6月調査~X+1年6月調査)において、「分母」(X-1年度計数)が異なる点にご留意願います。

X-1年度、X年度計数の前年比を算出する際の「分子」、「分母」

前年比を算出する際の分子、分母の計数を示した図。詳細は本文のとおり。

  • (注)上記(1)~(6)は、当該年度の計数について、何回目の調査であるかを示しています。

また、「修正率」は、以下の通り、「前回調査の母集団合計の推計値」と「今回調査の母集団合計の推計値」を比較して算出しています。

修正率=(今回調査の母集団合計の推計値-前回調査の母集団合計の推計値)÷前回調査の母集団合計の推計値×100

この場合、必ずしも「前回調査の前年比」+「今回調査の修正率」≒「今回調査の前年比」の関係が成り立つ訳ではありません。というのも、上記の通り、3月調査とその他の調査では、前年比を算出する際の「分母」が異なるため、例えば、「6月調査において、前年比の伸び率が3月調査よりも高く(低く)なっているのに、修正率をみると、3月調査に比べて下方(上方)修正されている」といった、一見すると整合的でないケースが生じることがあります。

(例(1))製造業・大企業の設備投資額(X年度)
表 (例(1))製造業・大企業の設備投資額(X年度)
X年3月調査 同6月調査
前年比(%) +2.3 +7.7
修正率(%) -0.5
(例(2))製造業・大企業の経常利益(X年度)
表 (例(2))製造業・大企業の経常利益(X年度)
X年3月調査 同6月調査
前年比(%) +3.6 -0.3
修正率(%) +1.6
(例(1)の計算式)

3月調査の前年比=105,958億円(3月調査のX年度計数)÷103,615億円(3月調査のX-1年度計数)×100-100=2.3%

6月調査の前年比=105,472億円(6月調査のX年度計数)÷97,902億円(6月調査のX-1年度計数)×100-100=7.7%

6月調査の修正率=[105,472億円(6月調査のX年度計数)-105,958億円(3月調査のX年度計数)]÷105,958億円(3月調査のX年度計数)×100=-0.5%

3-5. 「事業計画の前提となっている想定為替レート」(対米ドル円レート)はどのようにして算出するのですか。

DIのように1社1票として回答値を単純平均するのではなく、各企業からの回答値(調査表上の調査項目名は「輸出に際しての為替レート」)を当該企業の輸出額(円ベース)を用いて加重平均した値を算出しています。なお、想定為替レートの集計に当たっては、「輸出額」と「輸出に際しての為替レート」の両項目とも回答した企業の回答値のみが、集計に用いられます。

具体的には、下式の通り想定為替レートを算出しています。

各公表区分の想定為替レートの計算式。想定為替レートは、推計層ごとの為替レート×輸出額の母集団合計に関する推計値の総和を、推計層ごとの輸出額の母集団合計に関する推計値の総和で除して、算出している。

3-6. 「設備投資額」のデータを利用する上で、注意すべき点はありますか。

「設備投資額(含む土地投資額)」の年度計画について、調査回ごとの平均的な修正パターンをみると、例えば、大企業では、初回調査(3月調査)から6月調査にかけて、計画未定の案件が確定したり、前年度案件のずれ込み分が上乗せされる等の要因から上方修正され、12月調査から実績調査(翌年6月調査)にかけて、工事の遅れや案件の繰り延べ等を背景に翌年度へずれ込むことで、下方修正される傾向がみられます。

これに対し、中小企業では、年度計画を事前に策定していない企業が多く、案件が実際に実施されるごとに、設備投資額に計上される傾向があるため、同じく過去の平均的なパターンでは、初回調査(3月調査)から実績調査(翌年6月調査)まで、ほぼ一貫して上方修正される傾向がみられます。

こうした修正パターンは過去の平均的な姿であり、年によってはこれと大きく異なるケースも存在しますが、設備投資計画の計数をみる場合には、こうした修正パターンの癖に注意を払う必要があります。

(1)大企業
  • 大企業・製造業の設備投資額(含む土地投資額)の年度計画の前年度比のグラフ。詳細は本文のとおり。
  • 大企業・非製造業の設備投資額(含む土地投資額)の年度計画の前年度比のグラフ。詳細は本文のとおり。
  • 大企業・全産業の設備投資額(含む土地投資額)の年度計画の前年度比のグラフ。詳細は本文のとおり。
(2)中小企業
  • 中小企業・製造業の設備投資額(含む土地投資額)の年度計画の前年度比のグラフ。詳細は本文のとおり。
  • 中小企業・非製造業の設備投資額(含む土地投資額)の年度計画の前年度比のグラフ。詳細は本文のとおり。
  • 中小企業・全産業の設備投資額(含む土地投資額)の年度計画の前年度比のグラフ。詳細は本文のとおり。

なお、「短観」では、調査対象企業に、「設備投資額」として、「リース資産への新規計上額(過年度分を除く)および土地の新規取得を含む有形固定資産への新規計上額(除却・償却前ベース)」を回答していただいています。これには、中古品のリース資産や有形固定資産への新規計上額も含まれます。こうした点で、GDP統計における「民間企業設備投資」とは異なりますので、ご留意ください。

3-7. 「ソフトウェア投資額」のデータを利用する上で、注意すべき点はありますか。

「短観」では、調査対象企業に、「ソフトウェア投資額」として、「ソフトウェア投資額のうち、リース資産への新規計上額を含む無形固定資産への新規計上額」を回答して頂いています。これは、わが国において、IT(情報通信技術)関連投資が広がりをみせる中、コンピューター・プログラム等のソフトウェアについても、設備投資に含めて調査した方が、経済の実態をより的確に捉えられる、との判断に基づくものです。

なお、「短観」の「ソフトウェア投資額」と、GDP統計における「コンピュータ・ソフトウェア」とは、ベースが異なりますのでご留意ください。

3-8. 「研究開発投資額」のデータを利用する上で、注意すべき点はありますか。

「短観」では、本邦企業の国内拠点における研究開発機能の重要性が高まっているなか、2017年3月調査より、「研究開発投資額」の調査を開始しました。「研究開発投資額」の定義としては、「損益計算書を作成する場合の研究開発費」を回答して頂いています。

2008SNAに対応した国民経済計算では、研究開発投資額を主に研究開発にかかった費用から推計する仕組みとなっていますが、厳密には「短観」の「研究開発投資額」とは異なりますので、ご留意ください。

「研究開発投資額」の調査に関する詳細については、「『全国企業短期経済観測調査』の見直しに関する最終案」(2016年12月)および「『全国企業短期経済観測調査』の見直し方針 ―ご意見のお願い―」(2016年6月)をご覧ください。

4. 物価見通しに関するQ&A

4-1. 「物価見通し」では、消費税はどのように取り扱われていますか。

調査対象企業に配付する調査表(および記入要領、記入例)に、「消費税など制度の変更の影響を除いてご回答ください」と明記しています。

4-2. 「『企業の物価見通し』の概要」に掲載されている「見通しの平均」とはどのようなものですか。

「見通しの平均」は、各選択肢の値(例えば、「+15%程度」であれば「+15%」、「+6%程度以上」であれば「+6%」と仮定)を選択肢毎の社数構成比(「分からない」、「イメージを持っていない」を除く)でウェイト付けした加重平均値です。

4-3.「物価見通し」のデータを利用する上で、注意すべき点はありますか。

「物価見通し」では、「販売価格の見通し」と「物価全般の見通し」の2項目に関する「1年後」、「3年後」、「5年後」の見通しについて、それぞれの選択肢の中から回答企業の判断に最も近いものを選択して頂いています。ただし、「販売価格の見通し」では現在の水準と比べた変化率をご回答頂いている一方、「物価全般の見通し」では各時点の前年比をご回答頂いており、両者のベースは異なりますのでご留意ください。

5. 統計の正確性に関するQ&A

5-1. 統計調査には誤差がつきものと思われますが、「短観」の誤差にはどのような類のものがありますか。

「短観」を始めとする標本調査には、標本誤差と非標本誤差という2種類の誤差が発生し得ます。

標本誤差とは、母集団の全数について調査を行わず、一部(標本)のみを対象に調査を行うことにより生じる誤差のことです。例えば、ある調査母集団から抽出した標本(調査対象企業)が、偶々当該調査母集団の平均的な企業よりも大きな企業ばかりであったとしたら、そこから得られる売上高や設備投資額等の母集団合計に関する推計値は、真の値(全数調査を行った場合に得られるであろう集計値)よりも大きくなってしまう(過大推計となってしまう)はずです。このような誤差を標本誤差といいます。

また、調査対象企業から回答が得られない場合や、誤った計数が回答された場合なども、そこから得られる母集団合計の推計値は、真の値から乖離してしまう可能性があります。こうした標本誤差以外の全ての誤差を非標本誤差といいます(非標本誤差は、標本調査だけでなく、全数調査においても発生し得るものです)。

非標本誤差には、例えば次のようなものが存在します。

  • 回答を得られなかったことにより生ずる誤差(非回答誤差)
  • 回答者の誤りによる誤差
  • 目標母集団と調査母集団の乖離に関する誤差(カバレッジ誤差)
  • データ処理の際の誤りによる誤差
  • 調査表のデザイン・内容等による誤差

なお、短観については、毎調査回、「調査全容」において、統計精度の基準の一つとしている「売上高の標準誤差率」(詳細は5-2を参照)を、業種・規模別に公表しています。また、売上高と設備投資額の相対誤差に関する分析も行っています。詳細は、「『経済センサス』を受けた短観の標本設計見直しについて」をご参照ください。

5-2. 標本誤差を低減させるためにどのような措置をとっていますか。

「短観」では、調査母集団のベースとしている総務省・経済産業省「経済センサス」の実施にあわせて、調査対象企業の見直しを行っています。直近では2018年3月に見直しました。

その際には、以下のような統計精度等に関し一定の基準を設け、標本誤差の低減を図っています(金融機関については、別途基準を設けています)。

  1. (1)製造業・非製造業×大企業・中堅企業・中小企業の6区分について、売上高の標準誤差率(標本推定量の変動係数<標本平均の標準偏差/母集団平均>。標本調査による推計値と真の値との乖離の程度を相対的に示す指標)が、目標の範囲(製造業3%、非製造業5%)内に収まっていること。
  2. (2)各業種区分について、売上高の標準誤差率が、概ね目標の範囲(10%程度)内に収まっていること。
  3. (3)推計層ごとの標本抽出率が、目標の基準(0.5%以上)を達成していること。
  4. (4)資本金および売上高でみた調査対象企業の分布が、調査母集団の企業の分布から乖離していないとみなし得ること。

調査対象企業の見直しに際しては、上記の基準を達成するように調査対象企業を抽出しています。詳細は、「『短観』の解説 [PDF 717KB]」をご参照ください。

なお、こうした調査対象企業の見直しを行っても、倒産や合併等による調査対象企業数の減少により、次回の見直しまでの間に、標本誤差が増大する可能性があります。このため、定期的(原則として年1回)に上記の統計精度のチェックを行い、統計精度が低下している場合には、3月調査時に、新たな調査対象企業を追加しています。

5-3. 非標本誤差を低減させるためにどのような措置をとっていますか。

調査対象企業から調査表を回収できない(無回答)場合や、調査表を回収した場合でも全部または一部の調査項目の回答欄に記載がない(無記入)場合は、日本銀行では、次のとおり、回答率を高めるよう努めています。

  • 調査表の回収基準日(詳細は7-2.を参照)の前後に、必要に応じて、調査表を回収できていない先(無回答先)に対し、回答をお願いする葉書を送付
  • 回収基準日以降、無回答先に対し、電話により回答を依頼
  • 調査表を回収した後、無記入項目の有無を確認し、無記入項目がある場合は、電話により当該項目の回答を依頼

このほか、ご回答頂くに当たって、精緻な計数の回答が難しい場合には、概数(例えば、公式な予測計数が固まっていない場合には、その時点での社内の目標や感触を大まかに計数化したもの、日本基準とは異なる会計基準に準拠した計数など)の記入をお願いするなどして、計数の入手に努めています。

なお、ご回答頂いた内容については、回答者の誤解や記入ミスなどにより、誤りが存在している可能性があります。日本銀行では、こうした誤りを低減するため、記入要領や記入例を作成して周知に努めているほか、誤りの可能性のある回答値については、必要に応じて回答者に電話で確認を行うなど、誤回答の防止に注力しています。

上記の対応にもかかわらず回答を得られなかった場合には、より的確な集計値が得られるよう、統計作成上の手法である「欠測値補完」を行っています(詳細は3-2.を参照)。

5-4. 企業の合併・分社があった場合、「短観」ではどのような対応をとっているのですか。

「短観」の調査対象企業が合併・分社した際には、原則として、以下のような措置をとっています。

合併のケース

合併前の中核企業(売上高の最も大きい企業)が調査対象企業であった場合のみ、合併後の企業を調査対象とする。例えば、調査対象企業同士の合併の場合、および調査対象企業がより売上高の小さい非調査対象企業と合併する場合は、合併後の企業を調査対象企業とする。一方、調査対象企業が売上高の大きい非調査対象企業と合併する場合は、合併後の企業を調査対象企業としない(調査対象であった企業を調査対象から削除する)。

分社のケース

分社後の中核企業(売上高の最も大きい企業)のみを調査対象とする。

ただし、「分社後の中核企業と同一の推計層内に別の分社企業が存在する場合」で、「当該企業を取り込んだ方が、売上高または設備投資額の母集団合計の推計値に与える影響度(変動幅)が小さい場合」には、中核企業に加え、中核企業以外の分社企業も調査対象として取り込む。

また、「短観」の母集団合計の推計値に一定基準以上の大きな影響を与えるケース(大型の合併・分社等)が発生した場合の対応(例外ルール)として、(1)分配法、(2)分社企業の事後的な取り込み、の2点を導入しています。

合併・分社の取扱いの詳細は、「『短観』の解説 [PDF 717KB]」をご参照ください。

6. 統計の公表に関するQ&A

6-1. 公表までの主な事務の流れを教えてください。

毎調査回とも、公表日(原則、4月初、7月初、10月初、12月央)の1か月程度前に、所定の調査表を調査対象企業(現行約1万社)に郵送またはオンラインで提供し、回答をお願いします。

回答済みの調査表は本店(調査統計局)に返信され、回答データがシステムに入力・格納されます。その後、本支店の担当部署では、必要に応じて、電話ヒアリング等を通じて、頂いた回答内容を確認しています。

さらに、本店では、各担当部署が内容を確認した回答の精査を行い、最終的な調査結果を集計します。

なお、機密管理の観点から、最終的な集計結果については、公表当日になるまで、誰一人としてアクセスできないような体制を敷いています(7-1.参照)。

6-2. 「短観」の集計結果については、どのような資料がどのような媒体で入手できますか。

現在、対外公表している集計結果および提供媒体は、以下の通りです。

集計結果
  1. (1)概要(主要項目の集計結果を掲載した資料<日本語版、英語版>)
  2. (2)要旨(「概要」から一部計数を抜粋した資料<日本語版、英語版>)
  3. (3)業種別計数(主要項目の業種別計数を掲載した資料<和英併記>)
  4. (4)「企業の物価見通し」の概要(物価見通しの主要な集計結果を掲載した資料<日本語版、英語版>)
  5. (5)調査全容(詳細なデータを収録した資料<和英併記>)
  6. (6)時系列データ(詳細な時系列データを掲載した資料<日本語版、英語版>)
提供媒体

インターネット・ホームページ((1)~(6)を提供)

日本銀行本店情報ルーム((1)~(4)を提供)

なお、(5)については、統計書の形でも入手できます(有償)。詳しくは刊行物・パンフレット一覧をご覧ください。

6-3. 過去の公表データを遡って知りたいのですが、長期時系列データはありますか。

日本銀行の「時系列統計データ検索サイト」に掲載しています。

同サイトは日本銀行ホームページの「統計」欄からご利用頂けます。

6-4. 集計値以外の関連情報では、どのようなものが公表されているのですか。

「短観」では、ユーザーの利便性や透明性を高める観点から、集計結果だけでなく、以下のような関連情報も公表しています。いずれもインターネット・ホームページ上に掲載しています((1)、(2)、および(4)の一部については、英語版もホームページ上に掲載しています)。

  1. (1)「短観」の解説(一般的な解説資料)
  2. (2)「短観」の調査表(実際に調査対象企業に送付している調査表)
  3. (3)記入要領・記入例(調査表に同封する企業向けの記入上の留意事項)
  4. (4)「短観」の見直し等に関する公表資料

6-5. 「短観」の公表日時は事前に決まっているのですか。

「短観」の公表日時は、事前に公表しています。

具体的には、日本銀行作成の他の主要統計とあわせて、6月末頃および12月末頃に、それぞれ先行き12か月間の公表日程をインターネット・ホームページに公表しています。また、公表時刻については、午前8時50分に統一しています。

6-6. 「短観」の公表時刻は何故午前8時50分なのですか。

「短観」の公表結果は、わが国の金融資本市場の取引が活発化する午前9時より前に公表することとしているものです。

6-7. 「短観」の公表資料には集計結果が掲載されるのみで、計数の解説等がないのは何故ですか。

集計結果の解釈は、統計の作成者ではなく、統計のユーザーが行うものとの考え方に基づくものです。このため、統計の公表に際して集計結果に関する解釈や判断を示さないこととしています。

私どもとしては、このFAQを始めとして、「短観」の作成方法に関する解説情報等を提供することで、「短観」の集計結果を理解頂き易くするよう努めて参ります。

なお、「短観」を始め、統計に関する日本銀行としての解釈や、それらを踏まえた金融経済情勢に関する判断については、政策委員会・金融政策決定会合での議論を踏まえて公表している「経済・物価情勢の展望」等をご覧ください。

6-8. 公表値に誤りが発見された場合には、どのような措置をとっていますか。

公表済みのデータに訂正が必要な場合には、原則として、速やかに訂正データを作成・公表しています。ただし、調査対象企業が公表後に回答値を修正した等の場合には、原則としてデータの訂正を行いません。

6-9. 「短観」に関する照会はどこにすればよいですか。

「短観」に関するお問い合わせは、下記のいずれかにお願いします。

  1. (1)情報サービス局統計照会窓口(Tel : 03-3279-1111)
  2. (2)調査統計局経済統計課企業統計グループ(同上、内線4023)

また、本FAQに対するご意見や、他に取り上げて欲しい事項等については、電子メールで「post.rsd5@boj.or.jp」までお願いします。

7. その他のQ&A

7-1. 「短観」では、どのような機密管理体制を敷いているのですか。

統計作成プロセス全般にわたる厳格な機密管理は、統計の信頼性確保や不正利用の防止といった観点から、重要な事項です。また、統計法の規定により、日本銀行に対し、調査対象企業から回答を受けた秘密事項を厳正な管理によって保護すべきことが義務付けられています。

このため、「短観」では、公表前の集計結果や個別企業の計数(個票データ)等について、機密管理に関する内部ルールを定め、厳格な機密管理を行っています。

具体的には、「短観」の調査期間中は、作業エリアを物理的に隔離するとともに、作業エリアへの部外者の立ち入りを制限しています。また、「短観」の作成担当者を限定したうえで、機密情報については、施錠保管(紙ベース)、パスワード管理(電子ベース)等により厳格に取り扱っています。

また、「短観」の集計結果は、公表当日までは誰一人としてアクセスできない体制となっており、公表当日も、公表時刻(午前8時50分)前に公表資料を取り扱える者を事前に限定しています。

7-2. 調査対象企業が「短観」の調査表を日銀に回答するに当たり、日本銀行の側で回収基準日(締切日)を設定しているのですか。

設定しています。

「短観」の回答期間(調査表の送付日から公表日までの間)は通常約1か月間ですが、「短観」の調査表に回答し、日本銀行に送付して頂く期限(回収基準日=締切日)は送付日の2週間程度後になるのが通例です。これは、調査表を受け取った企業が記入に要する期間と、日本銀行において調査表の内容確認等に要する期間を勘案して設定しています。

回収基準日は調査回毎に決め、調査対象企業にはその日を目途に回答するようお願いしているため、調査表の回収は回収基準日を挟んだ前後数日間に集中する傾向があります。

なお、調査表の回収は、公表日の前営業日まで行っています。