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卸売物価指数(WPI)の平成7年(1995年)基準改定について

1997年12月12日
日本銀行調査統計局

日本銀行から

 以下には、本文のみ掲載しております。「改廃品目一覧」等を含む全文は、こちら (ntwpi01.pdf 103KB / ntwpi01.lzh 175KB[MS-Word、MS-Excel]) から入手できます。

1.改定の趣旨

 卸売物価について、わが国の経済・貿易構造の変化に対応するため、基準時およびウエイト算定年次を平成2年から同7年へ更新するとともに、指数精度の一層の向上を図る観点から、採用品目の見直し等を行うこと。

昭和56年3月、統計審議会は、経済指数の基準時およびウエイト算定年次について、「原則として、5年ごとに更新する」旨を答申。

2.改定の具体的な内容

(1)基準時およびウエイト算定年次の更新

 基準時およびウエイト算定年次をいずれも平成2年(1990年)から平成7年(1995年)に更新。

基準時の更新:平成2年平均=100 → 平成7年平均=100

ウエイト算定年次の更新:平成7年中の取引額に基づきウエイトを算定

(2)採用品目の見直し

 採用品目数は合計(総合卸売物価ベース)で前回比114品目増加し、1,427品目となった。

改廃品目数

平成7年
基準
(A)
平成2年
基準
(B)
(A)-(B)
新規 廃止 統合 分割
国内卸売物価 971 945 + 26 + 54 - 25 - 15 + 12
輸出物価 209 184 + 25 + 52 - 17 - 12 + 2
輸入物価 247 184 + 63 + 67 - 6 0 + 2
総合卸売物価 1,427 1,313 +114 +173 - 48 - 27 + 16
表 前回の改廃品目数
(前回) (1,313) (1,253) (+ 60) (+175) (-122) (- 8) (+ 15)

 採用品目に関する主な見直しのポイントは以下の2点。

  1. (1)輸出物価、輸入物価については、近年のアジア経済の工業化等による輸出入構造の変化に対応して、採用品目を見直し、充実化を図った。特に、輸入物価については、衣類や家電製品等を重点的に取り込んだ。
  2. (2)各物価指数とも、この5年間で新たに登場した商品や取引額の急増した商品を取り込んだほか、従来品目として採用できていなかった商品の一部も、調査先の協力等により今回新たに採用した。

 主な改廃品目例は以下のとおり(○印は新規採用、×印は廃止)。

(1)国内卸売物価

  • 電気機器 ‥‥‥ ○基地局通信装置、○カーナビゲーションシステム、○液晶デバイス、×扇風機
  • 加工食品 ‥‥‥ ○そう菜、○すし・弁当、○緑茶飲料
  • 繊維製品 ‥‥‥ ×綿かなきん
  • 窯業・土石製品‥ ×うわ薬

(2)輸出物価

  • 電気機器 ‥‥‥ ○電子機器用コネクタ、○超小形電動機
  • 化学製品 ‥‥‥ ○キシレン、○スチレンモノマー
  • 一般機器 ‥‥‥ ○冷凍機、○業務用エアコン、×タイプライタ
  • 金属・同製品‥‥ ×金属洋食器
  • 繊維品 ‥‥‥‥ ×毛糸

(3)輸入物価

  • 機械器具 ‥‥‥ ○オーディオ、○ルームエアコン、○電子レンジ
  • 繊維品 ‥‥‥‥ ○ブラウス、○Tシャツ
  • 化学製品 ‥‥‥ ○酸化チタン、○酢酸ビニルモノマー、○循環器官用薬
  • 食料品・飼料‥‥ ○トマト加工品、○アイスクリーム
  • 金属・同製品‥‥ ○ボルト・ナット、○金属製管継手

(3)ウエイトの変更

 各指数の総合卸売物価に占めるウエイトは、国内卸売物価が減少した一方、輸出物価、輸入物価がそれぞれ増加。

 各物価指数ごとにウエイトの変化を見ると、輸出物価においては、海外現地生産へのシフトを背景に「輸送用機器」のウエイトが、また輸入物価では、円高および市況安を背景に「石油・石炭・天然ガス」のウエイトがそれぞれ大幅に減少している一方、これに代わって、輸出物価では「電気機器」等の、また輸入物価では「機械器具」等のウエイトが増加している点が特徴。

ウェイトの変化

対総合ウェイト(千分比) ウェイトの増減した主な類別
平成7年
基準
(A)
平成2年
基準
(B)
(A)-(B) 増加 減少
国内卸売物価 792.86 796.76 -3.90 加工食品
電力・都市ガス・水道
電気機器
鉄鋼
一般機器
繊維製品
輸出物価 119.35 116.90 +2.45 電気機器
一般機器
化学製品
輸送用機器
精密機器
輸入物価 87.79 86.34 +1.45 機械器具
その他産品・製品
繊維品
石油・石炭・天然ガス
金属・同製品
総合卸売物価 1,000.00 1,000.00 0    

(4)分類編成の一部変更

 輸出物価および輸入物価の「産業別分類指数」の廃止

輸出物価および輸入物価の特殊分類である「産業別分類指数」については、分析上のニーズが低下していることから、前回(平成2年)基準改定以降、物価指数月報・年報による公表を中止していたが、この間、特に公表の再開、あるいは指数作成の継続に対する要望がなかったことから、今回指数の作成を取止め、廃止することとした。

なお、同指数については、廃止した後も、基本分類を組み替えることにより作成することが可能である。

 一部類別の名称変更

輸入物価の類別「金属」の名称を「金属・同製品」に変更する。これは、新規品目(ボルト・ナット、建具用取付具、手持工具、金属製管継手)の採用に伴い、商品群および小類別として「金属製品」を新設したことに合わせたものである。

3.接続指数の作成

 前回と同様、次の2種類を作成。

  1. (1)平成7年基準接続指数
    —— 平成7年基準指数をベースに国内卸売物価、輸出物価、輸入物価および総合卸売物価について、それぞれ総平均および各分類の指数系列ごとにリンク係数(年平均)を用い、原則として昭和35年1月まで遡及。
  2. (2)総合卸売物価・戦前基準指数
    —— 戦前基準指数(昭和9〜11年=1)をベースに総平均および各分類の指数系列ごとにリンク係数(年平均)を用い、平成7年1月以降について平成6年12月までの戦前基準指数に接続して作成。

4.平成7年基準指数への切り替えについて

 平成2年基準指数の作成、公表は、平成9年11月分までとし、9年12月上旬分以降は平成7年基準指数のみを作成、公表する。

以上