決済動向の見直しについて
1998年 6月10日
日本銀行信用機構室
1.見直しの内容
- (1)日銀当座預金受払計数を往復ベースから片道ベースに変更。
——これまでは、個々の事務処理の件数・金額(振替であれば引落処理と入金処理の合計)を往復ベースとして採用。これに対して、今後は、実際の資金移動と整合的である決済指図の件数・金額(振替であれば、入金または引落のいずれか)を片道ベースとして採用(別紙参照)。 - (2)国債移転登録、振決口座振替の決済状況およびそれぞれにおけるDVP決済状況を月中合計ベースから1営業日平均ベースに変更。
- (3)上記変更は98年 6月公表分から実施。
2.見直しの理由
- (1)日銀当座預金受払計数
- イ.決済関連統計作成用のデータベースの整備が進み、片道ベース化の前提となる決済指図の件数・金額について長期時系列を継続的かつ容易に把握可能な環境が整ったこと。
- ロ.海外の決済関連統計においては、当座預金受払を片道ベースで計上することが主流となっていること。
- (2)国債移転登録、振決口座振替の決済状況
国債の決済データは、従来の五・十日決済を反映して月中合計ベースの計数を採用してきたが、一昨年来のローリング決済化に伴い、他のデータ同様、1営業日平均ベースとすることがより適当となったこと。
以上
別紙
片道ベース化の基本的な考え方
片道ベース化に当たっての基本的な考え方は、以下のとおりです。
振替
振替については、これまで、当預の引落と入金の合計(下図<1>と<2>)を往復ベースの決済計数として採用してきたが、片道ベース化に当たっては、実際の資金移動(下図<3>)のみに着目し、これを決済金額(件数)として計上。
小切手による振替
小切手による振替については、これまで、決済金額・決済件数ともに引落と入金の合計(下図<4>+<5>+<6>)を往復ベースの決済計数として採用してきた。今回、片道ベース化にするに当たっては、決済金額は、実際の資金移動(下図<7>)のみを計上し、決済件数は、実際の引落件数(=小切手枚数=支払指図の件数<下図<4>+<5>>)に着目し、これを決済件数として計上。
集中決済<手形交換、為替決済、外為円決済、金先決済>
集中決済については、これまで、当預の引落と入金の合計に通り勘定の受払の合計を合算したもの(下図<8>+<9>+<10>+<11>)を往復ベースの決済計数として採用(ただし、為替決済は通り勘定が存在しないため、下図<8>+<9>のみ)。今回、片道ベース化するに当たっては、RTGS化(2000年末までを目標)以降、各民間集中決済システムごとに「受皿口座」を開設すること(この結果、下図<10>、<11>が実線化する)を先取りし、為替決済も含め、引落と入金の合計(下図<10>+<11>)を決済金額(件数)として計上。
その他<オペ代金の決済、銀行券受払等>
その他については、当預の引落と入金がそれぞれ独立した決済となっているので、片道ベース化に当たっては、これまで同様、引落と入金の合計(下図<12>+<13>)を決済金額(件数)として計上。
以上