「国債決済関連計数」の公表について
2001年 2月15日
2001年 4月27日改訂
日本銀行金融市場局
- (注)本統計の最新の情報については、解説をご覧下さい。
日本銀行では、平成13年1月分より、国債決済に関する次の計数の公表を開始します(注1)。
- (1)時間帯毎決済件数・金額
- (2)決済所要時間
- (3)国債決済の不処理(フェイル)の発生状況に関するアンケート調査結果
- (注1)国債移転登録・振決口座振替における決済状況については、「決済動向」をご参照下さい。
1.公表の目的
日本銀行では、平成13年1月に、日本銀行当座預金決済および国債決済のRTGS化を実施しました。
このうち、国債決済に関しては、RTGS移行後の決済環境下における決済リスクの軽減、決済の円滑性の確保を図る観点から、(a)決済金額を小口化するとともに、朝方からできるだけ速やかに決済を行う、(b)国債決済の不処理(以下、「フェイル」と言います。)の発生を容認する、(c)ネッティングにより決済量の削減を図る等の市場慣行が導入されました。これらの市場慣行は、「国債決済RTGS化に関する研究会」(事務局・日本証券業協会)での検討を経て、日本証券業協会の定めるガイドライン(「国債の即時グロス決済に関するガイドライン」(注2))として取り纏められたものですが、特に(a)、(b)の市場慣行の導入に当たり、同研究会より、日本銀行による標記計数の調査・公表に関する実施要望が出されました。また、同様のニーズは、日本銀行とオペ対象先金融機関との意見交換会でも聞かれたところです(注3)。
日本銀行では、こうした市場参加者からの要望を踏まえ、国債決済関連のデータ整備を図り、各市場慣行の定着状況を判断する材料の提供を通じて、国債決済の円滑化に資するため、標記計数を調査・公表することとしたものです。
- (注2)日本証券業協会のウェブサイト(http://www.jsda.or.jp/)(外部サイトへのリンク)から入手可能です。
- (注3)日本銀行金融市場局マーケット・レビュー2000-J-2「国債市場の情報整備─オペ対象先との意見交換会での議論の概要─」(2000年11月号)をご参照下さい。
2.公表の頻度
月次(翌月第8営業日目に公表)。
3.公表計数の内容
(1)時間帯毎決済件数・金額
日本銀行金融ネットワークシステム(以下、「日銀ネット」と言います。)を利用して行われる国債資金同時受渡(以下、「国債DVP」と言います。)について、時間帯毎(午前9時以降1時間毎。ただし、午後4時以降(注4)は一括します。)の決済件数・金額(いずれも月中合計値)を掲載します。
なお、本計数は、日銀ネットから取得したデータに基づき作成したものです。
- (注4)因みに、日銀ネット国債系のオンライン入力締切時刻は以下のとおりです。
(a)通常日(国債発行のない日)
午後4時30分
(b)利付国債以外の国債(割引国債、割引短期
国債および政府短期証券)のみの発行日
午後5時30分
(c)利付国債の発行日
午後6時
- (b)、(c)は、オンラインにより資金の払込を行う国債の発行・
払込が即時化されるまでの経過措置です。
(2)決済所要時間
日銀ネットを利用して行われる国債DVP決済に要する時間に関する計数を掲載します。
具体的には、日銀ネットを利用して国債DVP決済を行う際に、国債の渡し方が国債受渡依頼の電文を送信してから、受け方が資金受渡依頼の電文を送信するまでの時間について、その平均値(決済1件当たり。月中平均値)と時間毎の件数(月中合計値)(注5)の分布を掲載します。
なお、本計数は、日銀ネットから取得したデータに基づき作成したものです。
(3)国債決済の不処理(フェイル)の発生状況に関するアンケート調査結果
フェイルの発生状況に関する計数を掲載します。本計数は、国債振替決済制度の直接参加者のうち、日銀ネット(国債資金同時受渡システム)(以下、「日銀ネット国債DVPシステム」と言います。)を利用している金融機関等(母集団は約340先<平成13年1月現在>)を対象としたアンケート調査の結果を集計したものです。
本計数に関する留意事項は、次のとおりです。
- イ、フェイルとは、国債の受け方が、その渡し方から予定されていた決済日が経過したにもかかわらず、対象債券を受け渡されていないことを言います(注6)。
- ロ、対象となる取引は、取引当事者間の約定において、日銀ネット国債DVPシステムを利用することとされているすべての決済(国債振替決済制度の口座振替については、自己口のほか、預り口および信託口にかかる決済を含みます。)です。つまり、国債と資金を同時に決済するDVP取引のすべてが対象となります(注6)。
- ハ、フェイルの「合計件数」および「額面総額」は、アンケートの回答先(=国債の受け方)が当月中にフェイルを受けた件数および額面総額を合計したものです。
- ニ、フェイルの「平均期間」は、アンケートの回答先において当月中に解消されたフェイルにつき、当該フェイルが発生してから解消されるまでの日数(継続日数)を平均したものです。同様に「最長期間」は、当月中に解消されたフェイルのうち、継続日数が最長となったものの値です(いずれも営業日ベース)。
- ホ、バイ・インとは、フェイルを解消するため、日本証券業協会・統一慣習規則第4号の規定に従い、対象債券または同種債券を市場価格で買い入れることを言います。「バイ・イン合計件数」は、アンケートの回答先が当月中に行ったバイ・インの件数を合計したものです。
- ヘ、「国債DVP(移転登録・口座振替)」は、登録国債の国債登録簿における登録記名者の変更(移転登録)および国債振替決済制度の参加者帳簿における口座振替のうち、国債DVP取引によるものを言い、本統計では件数・金額(額面総額)のそれぞれについて、月中合計値(注7)を掲載します。これらの計数は、国債DVP取引のボリューム感を把握するための参考計数です。
- (注5)決済所要時間毎の決済件数には、オペ等の日本銀行等が相手方となる取引に伴う決済は含まれません。また、国債の受け方の入力により起動される決済(いわゆる「逆引き決済」)は集計対象となりません(このため、(3)で掲載される「国債DVP(移転登録・口座振替)」の件数とは一致しません)。
- (注6)上記の日本証券業協会「国債の即時グロス決済に関するガイドライン」(外部サイトへのリンク)をご参照下さい。
- (注7)日銀ネットにより処理された決済に関するデータであり、フェイルの発生により決済が行われなかったものは含みません。
以上
本件に関する照会先
日本銀行金融市場局金融市場課
市場企画グループ(菅野、河西、加藤<毅>)
TEL:03-3277-1272
E-mail:post.cmmd2@boj.or.jp