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『金融経済統計月報』の見直しと『日本銀行統計季報』の発刊について

2004年 7月16日
日本銀行調査統計局

はじめに

日本銀行では、5年前に従来の『経済統計月報』を『金融経済統計月報』へと大幅に見直しました。その際、この統計書の編集方針として、(1)日本銀行の作成統計の公表媒体、(2)日本銀行以外の機関が作成・公表している統計(他機関作成統計)も含む幅広い金融経済統計を網羅した統計書、(3)最近の景気動向を把握するための資料、の3点を基本に据えました。

しかしながら、最近『金融経済統計月報』のユーザーの皆様から寄せられる様々なご意見、改善提案などを踏まえると、近年のインターネット利用環境の急速な進展の中で、世の中のニーズが大きく変化しており、現状の編集方針に基づく『金融経済統計月報』の内容が、そうした変化に対応できていないように窺われます。このため、現在の統計書の編集方針を時代のニーズにかなうように、発行形態や頻度、掲載内容を見直そうと考えています。

見直しの基本方針

まず、従来の編集方針の「(1)日本銀行の作成統計の公表媒体」という位置付けに関しては、現在では事実上その必要性はかなり小さくなっていると考えております。すなわち、日本銀行では、従来は作成統計の公表媒体として各種公表資料とともに『金融経済統計月報』を利用しておりましたが、その後のインターネット利用環境の整備が進展していることを踏まえ、1999年12月からインターネット・ホームページを統計の公表媒体の中核に据え、日本銀行の作成・公表統計については、原則として利用可能な全てのデータをホームページに掲載することとしました。現在では、ユーザーの多くの方がインターネット・ホームページから直接統計データを入手するようになり、統計書を公表計数の確認のために利用するというユーザーはかなり減少しています。その一方で、「長期時系列データを一覧できる統計書」に対するニーズが少なからず見られます。

次に、従来の編集方針の「(2)他機関作成統計も含む幅広い金融経済統計を網羅した統計書」という位置付けについてですが、この点の必要性も相当程度低下してきていると思われます。すなわち、最近は、日本銀行のみならず数多くの統計作成機関において統計の公表媒体としてインターネットの活用が一般化してきました。このため、統計ユーザーは、統計書がなくても、インターネットを通じて様々な統計データを自由にダウンロードして利用できるようになっています。

最後に、従来の編集方針の「(3)最近の景気動向を把握するための資料」というニーズについては、現在もなお、かなり根強いものがあるように窺われます。その一方で、日本銀行に対して、「現行の統計書は分厚すぎて持ち運びには不便である」との声が少なからず寄せられています1

  1. 現在の『金融経済統計月報』は年間平均335ページ、特別掲載の多い月は400ページ程度とかなり大部のものとなっています。

こうした環境変化の下でのニーズの変化を踏まえ、日本銀行では、紙ベースの「統計書」を作成する意義を再検討した結果、上記のような「最近の景気動向を把握するためのハンディな統計書に対するニーズ」および「長期時系列データを一覧できる統計書に対するニーズ」という2種類のニーズに応えるために、統計書を見直すことが適当なのではないかと考えています。

具体的には、現在の『金融経済統計月報』という分厚い紙ベースでの統計書に代えて、ユーザーニーズ別に2種類の統計書の作成、すなわち前者のニーズに応える月次の統計書として現状の『金融経済統計月報』の掲載内容を見直し拡充する一方で、後者のニーズに応える統計書として『日本銀行統計季報』を新規に発刊することを考えております。

新『金融経済統計月報』について

短期的な経済動向の把握のために主要な統計指標を網羅したハンディな統計書に対するニーズに応えるため、現在の『金融経済統計月報』の巻頭に掲載している「日本銀行関連指標」および「主要金融経済指標」の部分を拡充したうえで、引き続き『金融経済統計月報』として発刊します。なお、サイズは、ユーザーの「持ち運びやすさ」に配慮し、従来のA4版からB5版に縮小します。

具体的な掲載内容(案)については、別添1 (PDFファイル、10KB) をご参照ください。

現状の「主要金融経済指標」は「実体経済」の動向を把握するための主要データはほぼ網羅していますが、「金融」のデータについては、重複を避けるために「主要金融経済指標」には掲載していないデータが存在しています。見直し後の新『金融経済統計月報』では、従来掲載されていなかった金利や株式・債券の発行額・売買額等の金融データを中心に拡充します。また、海外統計についても、現在の米・ユーロエリア・独・英に加えて、日本経済に対する影響度の大きい中国・韓国・台湾などを追加掲載します。

現在の『金融経済統計月報』から新ベースの統計書への切替えに伴い、内容的に重複する『主要統計ハンドブック———日本銀行関連指標および主要金融経済指標』は廃刊する予定です。

なお、この統計書の内容は、インターネット・ホームページ上にも掲載するとともにデータを随時更新して参りますので、ユーザーは、いつでも最新の「金融経済統計月報」のデータを利用することも可能です。

『日本銀行統計季報』について

日本銀行では、インターネットを通じた統計情報の提供を基本に据えてその充実に努めてきていますが、一方で長期時系列データを一覧できる統計書に対するニーズ2に応えるための統計書として、新たに「日本銀行統計季報」を発刊します。

この統計書では、これまで「金融経済統計月報」に掲載しておりました日本銀行の作成統計に加え、最近、日本銀行が作成を開始した統計も追加掲載することで統計のカバレッジを拡充します3。同時に、データの掲載期数についても時系列データを長期化する形で内容を拡充し、年4回、「日本銀行統計季報」として作成します。なお、サイズは、現在の金融経済統計月報と同じA4版とします。

具体的な掲載内容(案)については、別添2 (PDFファイル、7KB) をご参照ください。

掲載期数は原則として、「月次統計については年次データ30年、月次データ直近12ヶ月」、「四半期統計については年次データ30年、四半期データ直近12四半期」を掲載する方針です。

発行時期は、原則として1、4、7、10月の下旬までに公表される統計を取り込み翌月初とします。

なお、「日本銀行統計季報」の掲載内容につきましても、新しい『金融経済統計月報』と同様に、インターネット・ホームページ上にデータファイルを掲載します。

  1. 2これまで「ホームページでは一覧性がないため長期の構造変化を把握するには統計書の方が便利」といった声や、「様々なユーザーにいつでも情報を閲覧・提供できる体制を整えておきたい」といった図書館等などにおけるニーズなどに配慮したものです。
  2. 3なお、クロスセクション・データについては、掲載容量上の制約などから、ユーザーからのニーズの強い「資金循環統計」および「BIS関連統計」を除き、原則として掲載しない予定です。

パブリック・コメントの受付について

今回の変更に関してご意見・ご要望等がありましたら9月3日(金)までに下記宛てに書面または電子メールにてお寄せいただきますようお願いします。私どもでは、頂いたご意見・ご要望を踏まえてその内容を十分に検討したうえで、改めて最終方針を公表したいと考えております。最終方針を公表する際には、皆様からのご意見等についても併せてご紹介させて頂く予定ですので、匿名をご希望の方はご意見をお寄せ頂く際にその旨をお書き添え下さい。

あて先

日本銀行 調査統計局 統計企画担当

  1. (1)郵送:〒103-8660 東京都中央区日本橋本石町2−1−1
  2. (2)FAX:03−5203−7436
  3. (3)電子メール:post.rsd1@boj.or.jp(件名「金融経済統計月報の見直しに関する件」)

参考情報

現在の『金融経済統計月報』に掲載されている他機関作成統計(「主要経済指標」掲載分を除く)について、インターネット等で入手可能なデータのアドレス等を別添3 (PDFファイル、19KB) にまとめました。今後各統計をご利用になる際の参考としてご利用ください。

以上