広義流動性の見直しについて
2018年8月9日
日本銀行調査統計局
マネーストック統計の「広義流動性」およびその内訳項目について、見直しを実施しましたのでお知らせいたします。
「広義流動性」は、原則として3年に1度を目処に、定例的に見直しの要否を精査し、改定を実施しています。これに加えて、金融経済構造が変化する中、統計精度の改善余地が大きいことが判明した場合に、その都度見直しを行うことにしています。今回は、統計精度の改善余地が大きいことが判明した都度行う見直しです。
今回の見直しでは、2003年4月~2018年6月までの計数を改定しました。この結果、広義流動性の前年比が- 0.9~+0.9%P修正されました。改定後の計数や、改定前後の比較については、以下をご覧ください。
- 公表資料(2018年7月速報)
- 時系列統計データ検索サイト
- 改定前後の計数比較(図表1~4) [PDF 160KB]
主な見直しの内容は、以下の通りです。
投資信託
- 「投資信託」については、「国内銀行の資産・負債(信託勘定)」と「不動産投資信託の状況」により発行総額を算出したうえで、非通貨保有主体である金融機関等の保有分を控除することにより、計数を算出しています。この際、金融機関等の保有分については、「国内銀行の資産・負債等(銀行勘定)」の基礎資料や個別金融機関のバランスシート等を用いて算出しています。
- 今回は、資金循環統計の改定を踏まえた金融機関保有分の見直しなどを行いました。まず、一部の金融機関について、財務諸表において国内籍投資信託とみなすべき商品がより広範囲に及ぶことが判明したため、これを反映させました。次に、非通貨保有主体であるファンド・オブ・ファンズの保有分について、基礎資料を投資信託協会の資料に変更することが統計精度の改善に資すると判明したため、見直しを実施しました。
- 計数は、マネーストック統計の始期(2003年4月)まで遡って改定しました。
金銭の信託
- 「金銭の信託」については、通貨保有主体が保有する「合同運用指定金銭信託」、「貸付信託」、「指定単独運用金銭信託」、「特定金銭信託」(証券投資信託を含まない、いわゆる「特金」)、「金銭信託以外の金銭の信託」の信託元本のほか、「包括信託」(2種類以上の財産を1つの信託行為によって引き受ける信託)の一部(実質的に特定金銭信託等と同等とみなせるもの)を計上しています。
- 今回の見直しでは、「国内銀行の資産・負債(信託勘定)」に計上されている「包括信託」から、実質的に特定金銭信託等と同等とみなせる部分を推計する方法を精緻化しました。
- 計数は、マネーストック統計の始期(2003年4月)まで遡って改定しました。
金融機関発行CP
- 「金融機関発行CP」については、通貨保有主体の保有分を、国内銀行等や保険会社、持株会社の発行総額から、金融機関保有分を控除して算出しています。近年、速報値と確報値が大きく乖離する場面がみられることなどから、見直しを行いました。
- 主な見直しとしては、速報値の基礎資料の変更です。従来、速報段階では、国内銀行等の発行額については各銀行等から日本銀行に報告される速報値を利用して算出していましたが、見直し後は、証券保管振替機構の銘柄情報を利用する形に変更しました。こうした見直しによって、速報値と確報値の乖離が大きく縮小しました。
- 計数は、マネーストック統計の始期(2003年4月)まで遡って改定しました。
照会先
調査統計局経済統計課金融統計グループ
Tel : 03-3279-1111(内線 3812)