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【講演】内外経済の下振れと金融緩和

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アジア調査会における講演

日本銀行副総裁 山口 廣秀
2012年9月24日

目次

  1. 1.はじめに
  2. 2.海外経済の現状と先行き
  3. 3.日本経済の現状と先行き
  4. 4.日本銀行の金融政策運営
  5. 5.おわりに

1.はじめに

日本銀行の山口でございます。本日は、アジア調査会の特別講演の場にお招き頂き、幅広い分野でご活躍されている会員の皆さまを前にお話しさせて頂く機会を賜りまして、誠にありがとうございます。

当調査会は、1964年から半世紀の長きにわたって、アジア・太平洋地域に関する様々なテーマについての調査・研究を通じて、この地域における相互理解の深耕と、そのもとでの調和のとれた発展に貢献してこられました。1964年と言えば、東京オリンピックが開催された年であり、日本がOECDに加盟した年です。この年から日本の貿易収支ははっきりとした黒字に転じ、一昨年までの47年間、黒字が続きました。1964年という年は、日本経済にとってひとつの節目であったと言えるように思います。

この年の9月には、東京でIMF・世銀総会が開催されました。それから半世紀が経ち、日本経済は大きく発展し、グローバル化の中で、日本と世界の繋がりも一段と密接になっています。再来週の火曜日、10月9日から、東京で2度目のIMF・世銀総会が開催されます。日本銀行は、財務省とともに、ホスト国としての準備を進めています。世界中からの参加者・関係者は約2万人に上ると予想され、世界経済や金融などをテーマに数々の会議やセミナーが開催されます。日本経済を改めて知ってもらうには、実際に日本を見てもらうのが一番です。皆様の中にも既にご参加を予定されている方もおられると存じますが、ぜひ活発な交流の機会として頂ければ幸いです。

本日、私からは、「内外経済の下振れと金融緩和」というテーマでお話ししたいと考えています。前半では、世界経済および日本経済の現状と先行きについて概観します。後半では、そうした内外経済の状況を踏まえた日本銀行の金融政策運営についてご説明します。予めポイントを申し上げますと、以下の5点に纏められるかと思います。第1に、海外経済をみると、欧州債務問題の影響により、各地で製造業を中心に企業マインドが慎重化しており、減速の度合いをやや強めています。先行きの不確実性も依然として大きいと考えています。第2に、こうした海外経済の減速の背景を考えるうえでは、欧州債務問題の影響ばかりに着目するのではなく、より大きな視点で捉えた方が良さそうです。すなわち、「大いなる安定(Great Moderation)」と呼ばれた2000年代半ばにかけての時期に、先進国ではバブルが生じ、その崩壊後のバランスシート調整に今なお苦しんでいる一方で、新興国では、「大いなる安定」を支えた一因である低賃金労働力の供給余地が乏しくなる中、経済成長と物価安定の両立を図ることが難しくなっている、という大きな構図を念頭に置く必要があるということです。第3に、日本経済は、本年前半は高めの成長を実現してきましたが、海外経済の弱い動きを反映して、持ち直しの動きが一服しています。先行きも、当面、横ばい圏内の動きにとどまるとみられます。第4に、日本銀行は、こうした景気見通しの下振れに対応し、先行きの経済が「物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく」という軌道を踏み外すことのないよう、先週の金融政策決定会合において、金融緩和を一段と強化しました。第5に、日本経済がデフレから脱却するためには、このような金融面からの下支えに加えて成長力強化の取り組みを行い、緩和的な金融環境を活かしていくことが重要です。以上をご説明したうえで、今回の金融緩和を巡って聞かれる幾つかのご質問にお答えしたいと思います。

2.海外経済の現状と先行き

それでは、海外経済の現状から話を始めます。足もとの海外経済は、減速した状態がやや強まっています。世界経済は、これまで減速した状態が続いてきましたが、ここへきて、多くの国・地域で、製造業を中心に減速の度合いが強まっているように窺われます。

欧州経済の現状

まず、欧州経済をみますと、現状、景気後退局面にあります。国際金融資本市場において政府債務を巡る懸念が意識されるようになって既に3年が経過しましたが、現在、問題は、EUやIMFからの支援を既に受けているギリシャ、ポルトガル、アイルランドにとどまらず、スペインやイタリアといった南欧の大国にも波及しています。これらの国々では、国債利回りの上昇、すなわち国債価格の下落に伴い、金融機関の資産内容が悪化し、資金調達コストの上昇や資金繰りの不安定化に繋がっています。その結果、企業や家計が直面する金融環境が悪化し、経済活動を委縮させる圧力となっています。こうした実体経済の悪化や金融システム不安は、歳入の減少や金融機関への支援負担増を通じて財政問題にフィードバックされていきます。このようにして、欧州では周縁国を中心に、財政、金融システム、実体経済の間の悪循環が作動しています。このため、欧州経済の低迷は長引いており、ここへきてマインド面を中心にドイツなどのコア国へも波及しています。ユーロ圏経済は3四半期連続のマイナス成長となっています。

この間、欧州当局は、様々な政策対応を講じてきました。本年7月には、スペインの金融機関への資本注入のための金融支援策が取り纏められましたし、今月初には、欧州中央銀行が、残存期間1〜3年の国債を予め金額に上限を設けることなく買入れる新たなプログラムの導入を打ち出しました。ただし、欧州中央銀行は、国債の買入れを開始するに当たって、当事国が財政再建に関してEUやIMFの監視を受けること等を条件としています。これらの政策対応の結果、銀行間の資金調達市場では安定が維持され、国際金融資本市場全体としてみても、投資家のリスク回避姿勢はやや後退しています。

欧州中央銀行等による政策対応は、財政、金融システム、実体経済の間の悪循環を抑えていくために必要不可欠なものです。しかし、欧州債務問題の根本的な解決には、財政の持続性が懸念されている国において、財政再建、中長期的な成長力の強化、金融システムの安定強化などを進めていくことが必要です。また、欧州全体としては、各国の財政や銀行監督の統一を図っていくことが、避けては通れない課題です。これらはいずれも、容易に解決が図られるものではなく、その進捗を巡って不透明感の強い状況が続くことが予想されます。

欧州債務問題に伴うリスクには、財政、金融システム、実体経済の悪循環が作動するもとで、実体経済の低迷が長く続くリスクと、金融システム不安から金融危機が発生するリスクとがあります。最近の欧州情勢の動きを一言でいえば、各種の政策対応により金融危機が発生するリスクが後退した一方で、コア国への波及など実体経済の低迷が長く続くリスクは引き続き大きい、と纏められると思います。

米国経済の現状

次に、米国です。米国経済は、自動車販売をはじめ個人消費が緩やかに増加しており、住宅市場でも持ち直しの兆しがみられるなど、全体として緩やかな回復基調を続けています。もっとも、雇用の改善は緩慢であり、欧州経済の調整が長引く中で、このところグローバルに活動する製造業を中心にマインドが慎重化し、設備投資の増勢が鈍化しているなど、弱めの動きもみられています。

こうした状況を踏まえ、FRBは先般、政策金利の誘導目標を0〜0.25%に据え置くとともに、政策金利を例外的に低い水準とする期間について、従来、「少なくとも2014年遅く(late 2014)まで」としていた見通しを、「少なくとも2015年央(mid-2015)まで」に変更しました。また、物価の安定が維持されるもとで労働市場の見通しが十分に改善されるまでの間、エージェンシーMBSと呼ばれる政府系金融機関が発行する住宅ローン担保証券を毎月400億ドル買入れることも決定しました。

米国では、住宅バブルが崩壊したことに伴う家計のバランスシート調整が、相応に進捗してきているとはいえ、なお根強く残っています。そうしたもとで、欧州債務問題の影響に加えて、いわゆる「財政の崖(fiscal cliff)」について解決の目途が立っていないことや、やや長い目でみた財政再建の不確実性も意識されるようになっていることが、企業や家計のマインドの慎重化を通じて、当面、景気の抑制要因として働き続ける可能性が高いとみられます。米国経済は先行き、緩和的な金融環境にも支えられ、回復を続ける見込みですが、当面の回復ペースは、緩やかなものにとどまると考えられます。

中国経済の現状

続いて中国です。中国経済は、高めの成長を続けながらも、減速した状態が長引いています。この背景としては、欧州向けの輸出が落ち込んでいることに加え、これまでの金融引き締めや不動産取引抑制策の影響から、民間不動産投資などが減速してきたことが指摘されます。国内外の最終需要が鈍化するもとで、このところ素材産業など幅広い分野で在庫調整圧力が強まっており、製造業の生産にも波及してきています。

中国では、政策当局が金融緩和やインフラ投資の前倒しなど政策対応を実施しており、その効果が顕在化していけば、徐々に成長ペースを高めていくとみられていました。この想定自体は今でも維持できると思いますが、減速は予想以上に長引いており、景気が減速した状態から抜け出す時期が後ずれすることは確実です。原因としては、最大の貿易相手である欧州経済の予想以上の低迷が挙げられますが、より構造的な問題もあるように思います。ひとつは、政策当局が成長の方向にアクセルを踏むことを躊躇しているようにみえることです。これは、リーマン・ショック後の大規模な財政出動や金融緩和が、物価の上昇や不動産価格の高騰に繋がった苦い経験があるためと考えられます。物価の安定と成長の両立は、多くの新興国・資源国に共通の課題です。この点は、次の話題の中で詳しくお話しします。また、中国は、長年公共投資や設備投資に偏った成長を続けてきた結果、素材産業などが構造的な過剰投資の問題を抱えており、需要と供給のバランスが崩れやすいことも原因と考えられます。中国が高度成長から持続性ある安定成長に移行していく過程で、投資と消費、内需と外需、都市と農村、沿海部と内陸部のバランスをどう変化させていくのか、なかなか答えを見出し難いことが、景気の先行きの不確実性を高めているように思います。

世界経済の大きな構図

以上、欧州、米国、中国と個々にみてきましたが、それだけでは世界経済の全体像はみえません。先進国に共通する課題、新興国が抱える課題など、世界経済の大きな構図の中で理解すべき要素もあるように思います。

まず、先進国共通の課題を考えるために、「大いなる安定」と呼ばれた2000年代半ばにかけての時期に遡りたいと思います。当時、新興国の台頭や金融技術革新など、様々な好条件が重なったこともあり、高成長、低インフレ、低金利という、極めて良好な経済状態が長期間にわたって続きました。そのもとで、経済の先行きに関して楽観的な見方が世界的に拡がり、米欧では、投資ブームや耐久消費財需要の盛り上がりが発生しました。金融面では、金融機関のリスクテイク姿勢が前傾化し、信用の急膨張、レバレッジの急拡大が生じました。要するに、実体経済と金融の両面で行き過ぎが生じたということであり、こうした行き過ぎは、リーマン・ショックにより引導を渡されるかたちで修正されることになりました。

その後、米欧をはじめとする先進国が経験していることは、大規模なバブルが崩壊し、金融危機が起きると、経済の調整は長期にわたり、その間は低成長を余儀なくされるという、過去の歴史において度々繰り返されてきた事象です。米国の場合、サブプライム・ローン問題などで家計のバランスシートが大きく傷ついたことが米国経済の回復を緩慢なものとしています。欧州の場合には、「ユーロフォリア」——これは「ユーロ」と「ユーフォリア(幸福感)」という2つの言葉から作られた造語ですが——と呼ばれる楽観的な雰囲気の中で、ギリシャなどにおける放漫な財政運営や南欧の過剰な不動産投資などが生じ、政府や金融機関のバランスシートに深刻な問題を残しました。バランスシートの調整過程では、景気は思うように回復しません。上に弾みにくく、下に落ち込みやすい経済が長期間続くことになります。この事実を認識しないと「これだけの政策対応をしてなぜ成長率が高まらないのか」、「なぜ失業率は下がらないのか」というフラストレーションが表面化しやすくなります。米国にしても、欧州にしても、なおバランスシート調整過程における「普通の成長ペース」が見極められていないようにみえます。そのことは、経済政策への期待の高まりや、社会的な不安・不満といった難しい問題を生じさせているように思います。少し言い過ぎかもしれませんが、スペインの若者の失業率の高さを巡る不満、ギリシャの財政緊縮に反対するデモ、米国の財政運営を巡る度重なる対立などは、こうした観点からみると、ある意味共通項があるように思います。少なくとも、米欧において結果的に中央銀行への依存が強まっているということは、明白な傾向であると思います。

この間、中国をはじめとする新興国経済は、リーマン・ショック直後には、先進国経済の大幅な落ち込みの影響を受けることになりましたが、その後は、旺盛な国内需要を背景に早い段階で成長率を回復し、高めの成長を続けてきています。先進国が金融緩和を継続し、潤沢な資金供給を行っているもとで新興国への資金流入が続いていることも、新興国の内需を後押しする方向に働いてきたと考えられます。近年、世界経済の成長に対する先進国の寄与は顕著に低下し、新興国の寄与が高まっています。IMFの数字によれば、世界のGDPに占める先進国と新興国の割合は、過去30年間に、7対3から5対5へと大きく変化しています。

このように世界経済の牽引役となっている新興国経済ですが、リーマン・ショック以降、新しい課題に直面しています。それは、高成長と物価の安定の両立です。「大いなる安定」を支えたひとつの重要な要素は、豊富で安価な労働力を背景とした新興国経済の工業化によって、世界の供給力が飛躍的に高まったことです。しかし、それに伴い新興国における需要が高まったことで、資源価格や食料品価格には上昇圧力が加わり続けることになりました。また、例えば中国では、内陸の発展が進む中で、農村部から都市部への人口流入により労働力の増加を賄うという構図がこのところ変化してきています。この先は、全体としての労働人口も減少しますので、これまでよりも労働供給が不足しやすくなり、この面からも物価上昇圧力がかかると考えられます。

現在、新興国では、欧州をはじめとする先進国からの景気減速圧力に対応して、金融緩和などの政策対応を進めていますが、物価上昇圧力がかかりやすいため、思い切った対応は採りづらい状況にあります。こうした国々でいつ頃政策効果が現れ成長ペースが高まるか、そのタイミングには不確実性があります。このところ、穀物価格が急騰していることもあって、成長と物価安定の両立は、引き続き新興国経済の課題になると考えられます。

このように、世界経済は、欧州債務問題の影響と、各国・地域が抱える固有の要因、すなわち先進国におけるバランスシート調整、新興国における持続的な成長パスの模索という、それぞれに大きな課題とが複合的に作用するかたちで、減速した状態をやや強めています。先行きは、先ほどご説明したとおり、米国経済が緩やかな回復を続け、中国において政策効果が徐々に顕在化してくるもとで、次第に減速した状態から脱していくと考えられますが、そのタイミングは後ずれしています。

3.日本経済の現状と先行き

次に、日本経済についてお話しします。今ほどご説明したとおり、海外経済は、減速した状態がやや強まっています。このため、わが国の輸出や鉱工業生産は弱めとなっています。実質輸出は、欧州や中国向けの弱さから、5月以降4か月連続で前月比マイナスとなっており、そうしたもとで鉱工業生産は、4〜6月期に続き7月の4〜6月対比もマイナスとなっています。一方で、国内需要については、復興関連需要などから、底堅い動きを続けています。公共投資は明確に増加を続けており、設備投資も、企業収益が改善するもとで、緩やかな増加基調にあります。個人消費は、雇用環境が改善傾向にあるなかで、底堅く推移していますし、住宅投資も持ち直し傾向にあります。ただ、このところ個人消費で弱めの指標も一部にみられます。天候要因による部分もありますが、生産の弱さから製造業中心に時間外賃金が伸び悩んでいることや、夏のボーナスが減少したことが、所得面から消費を抑える方向に寄与している可能性もあります。また、エコカー補助金の受付が先週末で終了しましたが、直前にかけて駆け込みがみられなかった点は、終了後に補助金に代わるキャッシュバックを行ったり、人気の高い低燃費タイプの新型車を投入するといった販売側の対応が予想されている面もあるにせよ、需要の先食いが限界にきているとみるべきかもしれません。設備投資についても、基調としては増加を続ける可能性が高いと思いますが、グローバルな企業マインドの悪化の影響が出てこないか、注意してみていく必要があります。全体として、内需は底堅さを維持するとみられますが、外需の不振を補って、さらに景気を持ち上げるほどの力は期待しにくいように思います。

このように、わが国の景気は、本年前半は堅調な内需を背景に高めの成長を実現してきましたが、海外経済の動きを反映して、持ち直しの動きが一服しています。当面、景気は横ばい圏内の動きにとどまるとみられます。また、物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、概ねゼロ%となっていますが、既往の原油価格の下落が下押し要因となり、7月は−0.3%となりました。当面、消費者物価の前年比はゼロ%近傍で推移するとみられます。

この間、リスク要因をみても、欧州債務問題、米国経済の回復力、新興国・資源国の物価安定と成長の両立など、世界経済を巡る不確実性が引き続き大きいほか、金融・為替市場動向が景気・物価に及ぼす影響には、注意が必要と考えています。

4.日本銀行の金融政策運営

包括的な金融緩和政策

以上の内外経済の状況を踏まえて、日本銀行の金融政策運営に話題を進めたいと思います。

日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識し、強力な金融緩和を推進しています。強力な金融緩和については、現在、「包括的な金融緩和政策」という枠組みのもとで行っていますので、まず、この枠組みについて簡単にご説明しておきたいと思います。

包括的な金融緩和政策の導入は2010年10月であり、導入から約2年を迎えようとしています。導入の基本的な理由は、政策金利が実質的にゼロ%まで低下している中で、さらなる緩和効果を生み出すためです。枠組みの内容は、第1に、政策金利である無担保コール市場のオーバーナイト物の金利、つまり借入期間が一日というごく短期の金利を、実質的にゼロ%と言える0〜0.1%に誘導しています。第2に、「資産買入等の基金」と名付けた金融資産の買入れプログラムを導入し、そのもとで長期・短期の国債のほか、CP、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資法人投資口(J-REIT)といったリスク性資産を幅広く買入れています。これは、長めの市場金利やリスク・プレミアムへの働きかけを通じて、金融緩和が企業の資金調達コストにまでしっかりと波及するよう促す措置です。第3に、こうした実質的なゼロ金利政策や金融資産の買入れ等の措置を通じた強力な金融緩和を、当面、消費者物価の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで継続すると約束しています。このように、中央銀行が金融緩和政策を長期間にわたって継続すると約束することによって、長めの金利を含むイールドカーブ全体を押し下げる力が働くことになります。

金融緩和の強化を行った背景

日本銀行は、先週の金融政策決定会合において、金融緩和を一段と強化しました。具体的には、第1に、資産買入等の基金を、70兆円程度から80兆円程度に10兆円程度増額することにしました。その際、買入れを完了する時期を半年延長し、来年12月末まで買入れを続けることにしました。また、第2に、長期国債をより確実に買入れていくため、これまで0.1%に設定していた入札下限金利を撤廃することとしました。

こうした決定の背景となる経済・物価情勢をみますと、先ほどご説明したとおり、海外経済が減速した状態がやや強まっている中、わが国の景気は、持ち直しの動きが一服しており、当面、横ばい圏内の動きにとどまるとみられます。また、消費者物価の前年比は、当面、ゼロ%近傍で推移するとみられます。この間、世界経済を巡る不確実性、金融・為替市場動向が景気・物価に及ぼす影響などのリスク要因にも、注意が必要と考えています。

日本銀行はこれまで、景気の先行きについて、やや長い目でみれば、国内需要が底堅さを維持し、海外経済が減速した状態から次第に脱していくにつれて、緩やかな回復経路に復していく、と判断してきました。また、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、徐々に緩やかな上昇に転じ、2014年度以降、遠からず1%に達する可能性が高い、と考えていました。

しかし、足もとの経済・物価情勢を踏まえますと、「海外経済が減速した状態から次第に脱していく」時期や「わが国経済が緩やかな回復経路に復していく」時期は、ともに後ずれすると見込まれます。どの程度遅れるかは、中国をはじめ海外経済を巡る不確実性が高い状況が続くもとで明確ではありませんが、概ね半年程度ではないかと思います。このままでは、日本経済がこれまで想定してきた「物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく」という軌道を踏み外しかねない状況にあります。それを避けるためには、このタイミングで金融緩和を一段と強化することが適当と判断しました。日本銀行が今回の措置を含め強力な金融緩和を推進することにより、長い目でみた景気・物価の見通しを、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくという軌道に戻していくというのが、今回の措置の狙いです。

金融緩和の強化の内容

先ほども触れましたとおり、今回、「資産買入等の基金」の枠を10兆円程度と大幅に増額することにしました。現下の経済・物価情勢に関する認識のもとで、長い目でみた経済・物価の見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくという軌道を踏み外さないようにするためには、大きな金額が必要と考えたためです。増額の対象については、リスク性資産という選択肢もありますが、現在わが国では、投資家の不安心理やリスク回避姿勢からリスク・プレミアムが拡大するような状況にはないため、短期国債および長期国債としました。これらを、それぞれ5兆円程度増額することにより、イールドカーブ全体にわたって金利低下を働きかけることとしました。わが国の資金調達構造をみますと、長期の社債やモーゲージローンの割合が高い米国と異なり、期間3年以下の貸出等の割合が高いという特徴があります。とりわけ期間1年未満のものは、新規貸出の約3分の1を占めているほか、長期貸出でも変動金利のものが存在します。こうした企業金融の構造やイールドカーブ全体への影響、さらには金融機関の資金調達上の安心感を考えますと、残存3年までの長期国債と短期国債とをバランスよく買入れていくことが、金融緩和効果のさらなる浸透を図るうえで有効と考えています。

次に、基金の積み上げ完了時期については、従来は来年6月末としていましたが、来年12月末まで延長しました。経済情勢を踏まえれば、基金を積み上げる期間についてもより長くし、先ほどご説明した「金融緩和を長期間にわたって継続する約束」を補強することが適当と判断しました。

さらに、これまで長期国債や社債の買入れについては、入札下限金利を0.1%としてきましたが、これを撤廃することにしました。日本銀行が金融緩和を進める中で、現在3年までの長期国債の発行入札金利や市場取引の実勢レートは、しばしば0.1%を下回っています。このため、長期国債の買入れなどにおいて、応札総額が買入予定額に満たない、いわゆる「札割れ」が生じていました。これ自体は、金融緩和がそれだけ強力に浸透していることの表れですが、金融資産の買入れをより確実に行うために、下限金利を撤廃することとしました。基金の増額と下限金利の撤廃を組み合わせることで、金融緩和の効果はより強力に発揮されると考えています。

現在、基金の買入残高は約60兆円ですので、今後、来年末80兆円程度に向けて、従来予定していた積み上げペースを加速させながら、さらに約20兆円の金融資産を積み上げていくことになります。日本銀行は、こうした基金の着実な積み上げを通じて、今後とも間断なく金融緩和を進めていきます。

緩和的な金融環境

では、今回の措置は、どういう波及経路で、経済・物価に影響し、「日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復することを確実なものにする」と考えられるのでしょうか。

まず、基金による買入れ額を大幅に増やし、0.1%以下の水準でも長期国債を買うということですので、市場金利にさらなる低下圧力を加えることになります。そのことは、金融機関の貸出金利の低下を促すとともに、各種の金融市場における金利形成に影響を与え、企業や家計等が直面する金融環境をより緩和的にします。この点は、包括緩和の2年の経験の中で、明確に確認できる効果です。

日本銀行による強力な金融緩和のもとで、わが国の金融環境は緩和した状態にあります。基金の導入以降、長めの市場金利は着実に低下してきています。国債の利回りをみますと、期間の短いものから長いものに波及するかたちで、既に3年程度の長さの金利まで、0.1%程度と極めて低水準で推移しています。5年物金利も0.2%程度まで低下しています。こうした市場金利の低下は、企業の資金調達コストの低下を促すとともに、資金調達に関する安心感の強まりにも繋がっています。企業に対し自社の資金繰りや金融機関の貸出態度について尋ねたアンケートの結果をみますと、このところ、2000年以降の平均よりも良い状態まではっきりと改善しています。CPや社債の発行環境は、総じて良好な状態が続いていますし、銀行の新規貸出約定平均金利は、短期・長期とも1%程度と、2000年代前半の量的緩和期をも下回る低水準となっています。こうしたもとで、企業の有利子負債にかかる平均支払金利は1%台半ばまで低下しています。これは企業の総資産利益率、すなわちROAが3%台前半であることと比べ、きわめて低い水準です。つまり、企業は現在、自身の収益力に比べてはるかに低い金利で、量的にも十分な資金を借入れることができる状態にあります。

このように、金融政策が実体経済に及ぼす影響のうち、第1段階である金融政策から金融環境への波及については、金融緩和の効果が十分浸透していると言ってよいと思います。日本経済にとって重要なことは、こうした緩和的な金融環境を活かして、企業や家計が、投資や支出を積極的に増やしていくことです。これによって、第2段階である金融環境から実体経済に対する波及も強まることになります。

緩和的な金融環境を活かすための取り組み

この点、現在、わが国の企業は、将来の収益環境に自信がもてないために、こうした緩和的な金融環境を必ずしも十分には活用できていません。ここで重要になるのは、日本経済の成長力強化に向けた取り組みです。実際に、成長力の強化が進み、日本経済の成長期待が持ち直していけば、企業の将来の収益見通しが改善したり、投資に関する期待収益率が上昇し、企業の投資など前向きな動きに繋がります。そうなれば、緩和した状態にある金融環境が一層力を発揮していくことになります。いったんこうした好循環が始まれば、需給バランスの改善を通じて物価上昇率も高まりやすくなると考えられます。

こうした成長力強化の動きにおいて、最も重要な役割を果たすのは民間の経済主体である企業であることは言うまでもありません。最近では、高齢者消費や再生可能エネルギー関連投資が増加してきているなど、日本経済が直面する課題を、新たな需要の掘り起こしに繋げている動きも次第に拡がりつつあるようにみえます。このような成長の芽を大切にし、より大きな市場へと育てていくことが大切です。その際、創業期を含めて企業活動に必要な資金を提供するという金融機関の役割や、規制緩和を進めるなど企業が活躍しやすい環境を整えるという政府の役割も重要です。日本銀行も、中央銀行としてなし得る最大限の貢献を行う観点から、2010年6月以降、「成長基盤強化を支援するための資金供給」という措置に取り組んでいます。

この措置は、日本経済の成長に資する投融資を行う金融機関に対し、日本銀行が長期かつ低利の資金を供給するものであり、制度全体の貸付枠は、現在、ドルを含めて5兆5,000億円に上っています。中央銀行の本来の役割からすれば、これは極めて異例な措置ですが、それでも敢えて実施するのは、この措置に、成長力強化に向けた「呼び水」としての効果を期待しているからです。実際に資金が供給されることもさることながら、成長力強化が重要だという認識を共有して頂くことの意義は決して小さくないと考えています。実際、この措置の導入以降、金融機関の中には、地域の成長事業を対象とした専用ファンドを組成するなど、成長基盤強化に向けた自主的な取り組みを進めている例が少なからずみられています。

こうした取り組みがさらに進み、現在の緩和した金融環境を民間企業が活用する動きが拡がっていくことで、金融緩和効果が一段と発揮されます。金融環境が緩和した状態にあるのは既に述べた通りですが、このように緩和的な金融環境の活用という視点に立てば、金融緩和がより大きな効果をもたらす可能性は十分に残されていると考えられます。

情勢判断と金融緩和のタイミング

以上で、今回の措置について、背景となる経済・物価に関する判断と狙い、具体的な措置の内容、想定している波及経路とそれを活かすための成長力強化の重要性といった大きな考え方を説明してきました。以下では、今回の措置に関連して聞かれるいくつかのご質問にお答えしたいと思います。

一つ目は、「なぜ今回の会合で金融緩和を行ったのか」という質問です。これは、「今までの景気判断が甘かったのではないか」という方向からの問いかけと、逆に、「10月初公表の短観や10月末の展望レポートでの点検を待っても良かったのではないか」という方向からの問いかけとがあり得ます。

この点、まず景気判断につきましては、ここ数か月、欧州債務問題の影響などを背景に、世界経済の減速した状態が続いてきていたことは、総裁の記者会見、講演、インタビューなどの機会に申し上げてきました。そうした中で、ここにきて多くの国・地域で製造業を中心に減速の度合いが強まり、それがわが国の輸出や鉱工業生産に明確に波及してきたことが確認されたということです。この間の世界経済の下振れは、企業マインド指標の悪化にも表れているとおり、私どもを含め大方の想定を超えるものであったと思います。

また、どういう場合に政策対応を行うかという点については、私自身、色々な機会を捉えて「経済・物価の見通しが下振れたり、見通しを巡るリスクが大きく高まるような場合には、追加的な金融緩和を実施することを躊躇しない」と述べてきました。日本銀行では、展望レポートを公表する会合に限らず、毎回の会合において、その時点までに得られる様々な情報に基づき、先行きの景気・物価について中心的な見通しとリスク要因を点検したうえで、金融政策を決定しています。今回の会合ではこうした点検の結果、これまで想定してきたシナリオが後ずれあるいは下振れていると判断しました。そうである以上、政策対応を先延ばしする理由はありません。このように、今回の決定は、これまで色々な機会に述べてきた考え方に沿った極めてオーソドックスなものです。今回決定した金融緩和の一段の強化は、これまでの措置の累積的な効果と相まって、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していくことを確実なものにすると考えています。そのうえで、10月末の展望レポートでは、その時までに加わる新たな指標や情勢を踏まえて、景気・物価の見通しとリスク要因を包括的に点検する予定です。

なお、市場などでは、このタイミングで一段の金融緩和に踏み切ったことについて、「日本銀行が、米欧の中央銀行に追随した」との解説もみられています。この点、各国の中央銀行は、常にそれぞれが置かれた経済・金融情勢に応じて最適の政策を行うよう努めており、他国が政策を行ったから自国も行うという考え方はとっていません。ただし、経済そのものがグローバルに連関している以上、各国・地域の経済が同時に下振れ、結果的に各国・地域の中央銀行が同じような時期に同じような対応をとる、ということは十分にあり得ます。今回については、世界経済の減速感が大方の予想を超えて強まる中で、主要な中央銀行がそれぞれの国・地域に関する情勢を点検し、それぞれ適切と判断される対応を選択したということだと思います。

この先の政策の構えとしましては、日本銀行は「引き続き適切な金融政策運営に努めるとともに、国際金融資本市場の状況を十分注視し、わが国の金融システムの安定確保に万全を期していく」という考え方を明らかにしています。これまでと同様、経済・物価の見通しとリスクを点検し、それに基づいて必要と判断される場合には、果断かつ柔軟に対応してまいります。

海外中央銀行との比較

海外中央銀行の緩和策との関係では、「FRBのように、上限や期限を設けない資産の買入れやゼロ金利を維持する期間の明示など、もっと大胆な金融緩和を進めるべきではないか」というご意見を頂くこともあります。

この点、やや繰り返しになりますが、中央銀行は、それぞれの国・地域の政策課題や金融・経済情勢等を踏まえて、最も効果的な政策手段や政策の枠組みを選択するよう努めています。FRBと日本銀行の政策運営には、様々な違いがありますが、目指すべき状態の実現に向けて中央銀行として最善を尽くすという考え方は共通しており、具体的な緩和方法の違いをもって、どちらが大胆かと論じるのは、適当ではないと思います。

やや具体的に3点ほど申し上げますと、第1に、政策課題との関係です。日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが重要な課題という認識のもとで、リスク性資産を含めて様々な資産を幅広く買い入れると同時に、成長基盤強化の支援という中央銀行としては異例の措置に踏み込んでいます。主要国の中央銀行は、それぞれ自らが向き合っている課題に即して政策対応を選択しています。

第2に、資産買入れの上限や期限についてです。日本銀行では資産買入等の基金に枠や期限を定めていますが、それらを累次にわたって拡大・延長してきており、当初は35兆円程度、期限2011年末として開始したものが、現在は80兆円程度で期限2013年末と、当初の予定をはるかに上回る大規模かつ長期の緩和政策となっています。予め上限や期限を決めておくかどうかに関わらず、政策目的の達成に不十分と判断されれば金融緩和を強化するという考え方は、どの中央銀行も同じです。

第3に、実質的なゼロ金利を維持する期間の示し方についてです。日本銀行は、2年ないし2年半先までの経済・物価見通しを示しながら、当面の「中長期的な物価安定の目途」である消費者物価の前年比上昇率1%が見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していくことを明確に約束しています。こうした方法は、ある時点の経済・物価見通しを前提にゼロ金利を維持する期間を具体的に示し、その後の見通しの変更に伴ってその期間を変えていくという、FRBの様な方式と、実質的な効果の観点からは、大きな違いはないと認識しています。

このようにみてきますと、主要国の中央銀行における政策運営については、具体的な運営方法には違いがあっても、基本的な考え方や効果には大きな違いはないように思います。

国債買入れと通貨の信認

最後に、今回国債の買入れを増額したことに関連して、「日本銀行による多額の国債買入れは中央銀行による財政ファイナンスであり、いずれ通貨の信認を維持できなくなるのではないか」というご懸念を頂くことがありますので、この点にも触れておきたいと思います。

日本銀行は、現在、2つの異なる目的に応じて、長期国債の買入れを行っています。1つは、経済の成長に伴う銀行券需要の趨勢的な増加に対応した長期国債の買入れです。この場合、銀行券需要の趨勢的な増加に対応している以上、短期の資産ではなく、長期の国債を保有することは合理的であり、また、その趣旨に照らして、銀行券発行残高に見合う額を買入残高の上限としています。もう1つの買入れは、本日繰り返し述べている基金を通じた長期国債の買入れです。こちらの買入れは長めの金利などに働きかけるという金融政策上の判断に基づいて決定しているため、買入れの規模について銀行券の範囲内という条件は設けていません。

こうした中、日本銀行が保有する長期国債の残高は、昨年末の約66兆円から現在約84兆円まで増加しており、銀行券の残高を上回るようになってきました。これは、強力な金融緩和を推進するもとで、基金を通じた国債の買入れが増加しているためです。今年末には、長期国債の保有残高は約92兆円まで増加する見込みですので、今年1年で約26兆円増加することになります。今年度の特例国債の発行額が約38兆円であることを考えても、日本銀行による国債買入れは既に相当な規模に達しているといえます。

こうした多額の国債買入れが、金融政策運営上の必要性から離れて、万が一にも財政ファイナンスを目的としていると受け取られますと、日本銀行に対する信認が大きく損なわれるとともに、長期金利が大幅に上昇する可能性があります。その場合、国債を発行する政府、国債を保有する金融機関に大きな影響を与え、金融システムや実体経済の安定を毀損するおそれがあります。日本銀行としては、そうした事態を避けるために、今後とも財政ファイナンスは行わないという考え方を市場にしっかりと伝えていくことが重要と考えています。また、市場が日本銀行の行動を常にチェックできるよう、基金による買入状況を引き続き透明な形で明らかにしていきます。

5.おわりに

以上、長らくお時間を頂戴して、世界経済と日本経済の現状と先行き、またそれらを踏まえた日本銀行の金融政策運営などについて、お話ししてまいりました。最後に、アジア経済と日本経済のこれからの展望についてごく簡単に触れて、締め括りとさせて頂きたいと思います。

日本経済は急速な高齢化に伴う成長力の低下という構造的な課題に直面し、その克服に向けて長らく苦心してきましたが、先ほども触れましたとおり、最近、これを新たな需要を掘り起こすチャンスと捉える動きも拡がってきています。そうした動きが、比較的堅調な内需を下支えする要因ともなっています。わが国において、こうした取り組みが続くことは、将来的にアジア経済全体にとっても大きな意味をもつものと考えられます。なぜなら、高齢化は、他のアジア諸国もそう遠くない将来に必ず直面する課題であるからです。アジアの新興国における所得水準が上昇するにつれて、高齢者向けビジネスの潜在的な市場規模は、飛躍的に拡大する可能性を秘めています。日本において、先行して課題に直面した結果として蓄積された、高齢者需要の掘り起こしに向けた取り組みの成果、言い換えれば、高齢化のもとでも経済の活力を維持・向上させていくための知恵の数々をアジア市場で活かしていくことは、日本の成長力を引き上げるのみならず、アジア各国における経済・社会の持続可能性を高め、アジア経済全体の利益に繋がるものと考えられます。こうしたことは、高齢化の問題だけに限らないと思います。様々な課題の克服に向けたわが国の取り組みが、グローバルな利益に繋がるという視点を持っておくことの意味は、今後ますます重要になると認識しています。

本日は、ご清聴ありがとうございました。