気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの運営に関する細目
決定 2021年 9月22日
1. 趣旨
この細目は、気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションに関する事務手続の明確化を図る趣旨から、「気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション基本要領」(令和3年9月22日付政委第55号別紙1.。以下「基本要領」という。)に規定する貸付対象先(以下「対象先」という。)の選定に関する事項ならびにわが国の気候変動対応に資する投融資(以下「対象投融資」という。)の基準および開示に関する事項を定めるものとする。
2. 対象先の選定基準等
- (1)対象先の選定に当っては、「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先の選定に関する細目」(平成29年1月31日決定)に基づいて選定された共通担保資金供給オペレーション(全店貸付)の貸付対象先および株式会社日本政策投資銀行から、対象先となることを希望する先を公募するものとする。
- (2)対象先については、(1)の公募に応じた先の中から、気候変動対応に資するための取り組みについて、次のイ、からハ、までをいずれも開示していると認められる先を選定する。
- イ、「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」(2017年6月)において提言されている次の(イ)から(ニ)までに掲げる事項
- (イ)ガバナンス(Governance)
- (ロ)戦略(Strategy)
- (ハ)リスク管理(Risk Management)
- (ニ)指標と目標(Metrics and Targets)
- ロ、投融資の目標(気候変動対応に資するものを含むものに限る。)
- ハ、気候変動対応に資する投融資にかかる実績
- イ、「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」(2017年6月)において提言されている次の(イ)から(ニ)までに掲げる事項
- (3)対象先の選定頻度
- イ、対象先は、原則として年1回の頻度で見直すこととする。
- ロ、イ、に加えて、対象先を追加する選定を随時実施することができるものとする。
3. 対象投融資の基準
「わが国の気候変動対応に資する投融資」は、対象先において、基本要領9.に定める次の(1)の基準に該当すると判断する投融資のうち、次の(2)の基準に該当すると判断する投融資とする。
- (1)「気候変動対応に資する」に関する基準
次のイ、またはロ、に該当すると対象先が判断する投融資とする。
- イ、次の(イ)から(ホ)までに掲げる国際原則または政府の指針に適合する投融資
- (イ)グリーンローン
- (ロ)グリーンボンド(サステナビリティボンドを含む。)
- (ハ)サステナビリティ・リンク・ローン(気候変動対応に紐づく評価指標が設定されているものに限る。)
- (ニ)サステナビリティ・リンク・ボンド(気候変動対応に紐づく評価指標が設定されているものに限る。)
- (ホ)トランジション・ファイナンス
- ロ、別紙に例示する投融資その他のイ、に準じる投融資
- イ、次の(イ)から(ホ)までに掲げる国際原則または政府の指針に適合する投融資
- (2)「わが国の」に関する基準
次のイ、からニ、までのいずれかに該当すると対象先が判断する投融資とする。
- イ、わが国の温室効果ガス排出量を削減するものその他の国内を実施場所とするもの
- ロ、サプライチェーンを通じてイ、に貢献するもの
- ハ、研究・開発向けの投融資であってその成果がイ、に貢献するもの
- ニ、海外を実施場所とするもののうち、二国間クレジット制度を通じてわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成に貢献するもの
4. 対象投融資に関する開示
対象先は、次の(1)または(2)の別に、それぞれ次の各号に掲げる事項を開示するものとする。
- (1)3.(1)イ、に該当する投融資
- イ、対象先が基準として用いた国際原則または政府の指針
- ロ、イ、への適合性の判断のための具体的な手続き
- (2)3.(1)ロ、に該当する投融資
- イ、対象先が定めた基準の内容
- ロ、イ、の策定およびイ、への適合性の判断のための具体的な手続き
5. 対象先の遵守事項等
- (1)対象先の公募に際しては、次に掲げる対象先としての遵守事項を明示するものとする。
- イ、正確かつ迅速に事務を処理すること
- ロ、本資金供給の実施に有益な市場情報または分析を提供すること
- (2)対象先が(1)に掲げる事項に著しく背馳した場合その他の本行が対象先との間で行う本資金供給の適切な運用を確保する上で支障が生じた場合には、対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
- (3)(2)に定める場合のほか、2.(2)、4.または「共通担保資金供給オペレーションにおける貸付対象先の選定に関する細目」2.に定める基準に鑑み必要と認められる場合には、対象先からの除外等の措置を講ずることができるものとする。
(別紙)
国際原則または政府の指針に適合する投融資に準じる投融資の例
- 資金使途がグリーンプロジェクト(国際原則または政府の指針に掲げるものをいう。)に該当する投融資
- 具体的な指標の設定や結果の定期的な開示等による投融資先への規律付けを伴うかたちで投融資先の気候変動対応を促進する仕組みを持つ投融資
- (例)ポジティブ・インパクト・ファイナンス(国連環境計画・金融イニシアティブが定める「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合するもののうち、気候変動対応に紐づく評価指標が設定されているものであって、投融資先のインパクト評価およびその結果の開示を行う仕組みの構築について第三者による外部評価を受けているものに限る。)