「補完貸付制度基本要領」の制定等について
2001年 2月28日
日本銀行
日本銀行は、本日開催した政策委員会・金融政策決定会合において、下記の諸措置を講ずることを決定しましたので、お知らせします。
このうち、1.については、平成13年2月9日の政策委員会・金融政策決定会合において決定のうえ対外公表を行った「流動性供給方法の改善策および公定歩合の引き下げについて」において示した方針に基づいた措置です。
また、2.から4.までの措置は、「「適格担保取扱基本要領」の制定等に関する件」(平成12年10月13日決定)において示した方針を踏まえ、政策運営上の意義が薄れている貸出制度を整理することとしたものです。
なお、5.の措置は、1.から3.までの措置の実施等のために講ずるものです。
記
- 補完貸付制度の新設
- (1)「補完貸付制度基本要領」(以下「基本要領」という。)を別紙1.のとおり制定すること。
- (2)基本要領5.(2)ただし書きに規定する上限日数および同9.に規定する特例的取扱いについては、総裁が決定し得ることとすること。
- 輸入決済手形制度の廃止
- (1)輸入決済手形制度を平成13年6月末限りで廃止すること。
- (2)輸入決済手形制度に基づき、平成13年6月末までに実行した手形貸付のうち、返済期限が同年7月以降に到来するものの取扱いについては、同年7月以降においても、なお従前の例によること。
- 商業手形割引の取扱い停止
- (1)商業手形の割引については、平成13年6月末限りで取扱いを停止すること。
- (2)平成13年6月末までに実行した商業手形割引のうち、割引いた商業手形の満期日が同年7月以降に到来するものの取扱いについては、同年7月以降においても、なお従前の例によること。
- 基準外貸付制度の廃止
基準外貸付制度については、本日限りで廃止すること。 - 「日本銀行組織規程」の一部変更
「日本銀行組織規程」(平成10年3月24日決定)を別紙2.のとおり一部変更すること。
以上
本件照会先
企画室企画第2課
高口<こうぐち>(03-3277-2800)
中島(03-3277-2813)
別紙1.
補完貸付制度基本要領
- 趣旨
この基本要領は、金融調節の一層の円滑化を図るとともに、金融市場の円滑な機能の維持および安定性の確保に資する趣旨から、本行が予め明確に定めた条件に基づき、貸付先からの借入申込みを受けて受動的に実行する貸付けに関する基本的事項を定めるものとする。 - 貸付先
- (1)貸付先となる条件は以下のとおりとする
- イ、金融機関(日本銀行法(平成9年法律第89号)第37条第1項に規定する金融機関をいう。ただし、整理回収機構および紀伊預金管理銀行を除く。)、証券会社(日本銀行法施行令(平成9年政令第385号)第10条第1項第2号に規定する証券会社および同項第4号に規定する外国証券会社をいう。)、証券金融会社(同項第3号に規定する証券金融会社をいう。)または短資業者(同項第5号に規定する者をいう。)であること
- ロ、本行本支店の手形貸付取引先であること
- ハ、自己資本の状況および考査等から得られた情報に照らし、信用力が十分であると認められること
- (2)貸付先は、この貸付けを受けることを希望し、本行が予め貸付先として承認した先とする。貸付先の承認は、原則として年1回の頻度で更新することとする。
- (1)貸付先となる条件は以下のとおりとする
- 貸付店
- (1) 本店(業務局)または支店とする。
- (2) 各貸付先は、自らが借入れを行う本行の本支店を予め1か店指定するものとする。
- 貸付期間1営業日とする。
- 貸付利率
- (1) 基準貸付利率とする。ただし、1積み期間(準備預金制度に関する法律(昭和32年法律第135号)第7条第3項に規定する1月間をいう。以下同じ。)において、この貸付けを実行した営業日数が累計で(2)に定める上限日数を超える貸付先に対しては、当該積み期間において上限日数を超えた日以降に実行する貸付けについて、基準貸付利率に年2.0%を上乗せした利率を適用する。
- (2) 上限日数は5営業日とする。ただし、本行が金融調節上必要と認める場合には、当該積み期間の営業日数の2分の1以下の範囲内で、5営業日を超える上限日数を定めることができる。この場合、適宜の方法により、公表するものとする。
- 貸付金額
貸付先が希望する金額とする。ただし、貸付金額は、7.の規定により貸付先が本行に対して差入れている担保の担保価額を上回らないものとする。 - 担保
- (1) 適格担保を貸付先から予め差入れさせるものとする。
- (2) 担保の取扱いは、「適格担保取扱基本要領」(平成12年10月13日付政委第138号別紙1.)の規定するところによる。
- 実行方法
- (1) 本行は、貸付先からの借入申込みを受けて、受動的に貸付けを実行する。
- (2) 貸付けの方式は、手形貸付とする。
- 特例的取扱い
本行は、金融調節の円滑な遂行の観点から特に必要と認める場合には、貸付金額の制限、貸付けの実行の拒絶等、2.、3.、6.または8.に規定する取扱いと異なる取扱いをすることができる。
(附則)
- (1)この基本要領は、平成13年3月16日から実施する。ただし、2.(2)に基づく貸付先の承認は、平成13年3月15日以前から行い得ることとする。
- (2)2.(2)に基づく貸付先の承認の初回の更新は、平成13年8月を目処に行うものとする。
- (3)7.(1)の規定にかかわらず、この貸付けのために貸付先から差入れさせる担保は、当分の間、本行が事務取扱いの観点から適当と認めるものに限るものとする。
別紙2.
「日本銀行組織規程」中一部変更
- 第13条第一号を横線のとおり改める。
一 金融市場調節の実施内容の決定(他の所掌に属するものを除く。)
- 第16条第三号を横線のとおり改める。
三 信用秩序の維持に資することを目的として行う手形の割引及び資金の貸付けの実施に係る具体的事項の決定及びこれに関連する事項に関する事務
(附則)
- (1)この変更は、平成13年2月28日から実施する。
- (2)(1)にかかわらず、金融市場局は、平成13年9月末まで、商業手形の割引及び輸入決済手形制度貸付の実施に係る具体的事項の決定及びこれに関連する事項に関する事務をつかさどるものとする。
以上