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歳入金等の電子納付の実現に向けて

2003年 5月27日
日本銀行業務局

 本稿は2003年 5月22日に開催されました日本マルチペイメントネットワーク(注)運営機構総会における日本銀行業務局参事役・山下朗裕の説明要旨です。

  • (注)マルチペイメントネットワークとは、金融機関が収納する公共料金、地方公金、国庫金等に関するデータを電子的に授受・処理するネットワークです。金融機関や公共料金収納機関等により検討が進められ、既に運用が始まっています。今後収納料金の範囲等の拡大が見込まれています。

 只今、ご紹介いただきました日本銀行の山下です。

 はじめに、日本マルチペイメントネットワーク運営機構の平成15年度通常総会がかくも盛大に開催されましたことを心からお祝い申し上げますとともに、ご挨拶の機会をいただきましたことに対し、御礼を申し上げます。

 さて、本日、皆様方には、「平成15年度は仕上げの年であると同時に、始まりの年である」というお話を申し上げたいと思います。

 まず第一に、平成15年度は仕上げの年である、という点ですが、皆様ご承知のとおり、マルチペイメントネットワークは、来年(16年)1月以降、国庫金の納付について稼動を開始します。残すところ半年強となりましたが、それまでの間、様々な準備作業の仕上げを行っていく必要があります。とくに、システムに関連するテストは、ネットワーク全体の安定的な稼動のために極めて重要です。各金融機関におかれましては、それぞれのテストを着実に消化され、官庁や日本銀行と連携したネットワークの接続テストに万全を期して臨んでいただきたいと思います。何分、参加者が多数にのぼるテストとなりますので、各関係先における慎重な準備や日程管理が大変重要になると思います。私どもでは、そうしたテストの結果も踏まえて、電子収納に関する金融機関との契約等の手続を行うことにしております。

 次に、本日申し上げたいことの2番目、平成15年度は始まりの年でもあるという点です。政府では、先週、小泉首相を本部長とするIT戦略本部が、わが国のIT基本政策見直しに関する「e-Japan戦略II(案)」を公表しました。その中では、『「第一期:IT基盤整備」から「第二期:IT利活用」への進化』とのスローガンに見られるように、電子政府の利用促進の時期が始まったことが明確に謳われています。マルチペイメントネットワークも、いよいよ本格的な利用の時期が始まり、如何に活発に利用されるかがこれからの課題となります。具体的に申しますと、(1)預金者に対する広報、(2)民間企業、地方公共団体などの収納機関の拡大、(3)電子納付をする国民に何らかのインセンティブが与えられるか、(4)政府のインターネット・ポータルサイトとの連携が工夫できるか、といった点が重要なポイントだと思います。運営機構会員の皆様が、こうしたネットワークの利用拡大に向けた課題に向け、より一層、積極的・主体的に、また政府や私ども日本銀行とともに、取り組んでいかれることを期待いたします。

 最後になりますが、マルチペイメントネットワークは、金融機関の皆様方が、ITの活用による利用者の利便性向上、事務の効率化という高い理想を掲げ、ここまで推進してこられたものです。皆様方のこうしたご努力に心から敬意を表しますとともに、皆様方が一体となったさらなる取り組みにより、マルチペイメントネットワークがわが国の決済インフラとして一層の発展を遂げられることを祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

以上

本件に関する照会先

日本銀行業務局総務課

秋山 03-3277-2250(直) osamu.akiyama@boj.or.jp