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BIS支払・決済システム委員会と証券監督者国際機構専門委員会による報告書『「証券決済システムのための勧告」の評価方法』の公表

2002年11月13日
国際決済銀行

(日本銀行仮訳)

プレス・リリース

中央銀行と証券監督者が「証券決済システムのための勧告」の評価方法を公表

 本日、支払・決済システム委員会(CPSS)と証券監督者国際機構(IOSCO)専門委員会は、「『証券決済システムのための勧告』の評価方法」を公表した。本報告書は、BIS(www.bis.org)(外部サイトへのリンク)およびIOSCO(www.iosco.org)(外部サイトへのリンク)のホームページから入手可能である。

 証券決済システムは、国内およびグローバルな金融のインフラストラクチャーの構成要素として益々重要になってきている。こうした理由により、CPSSとIOSCO専門委員会は、証券決済システムの安全性と効率性に関する勧告を策定するため、1999年12月に「証券決済システムに関する作業部会」を設立した。

 2001年11月、CPSSとIOSCO専門委員会は「証券決済システムのための勧告」を公表した。この2001年11月の報告書は、証券決済システムが安全性および効率性を改善するために満たすべき最低基準を明らかにする19の勧告を設定し論じている。同勧告は、先進国や発展途上国で発行されるあらゆる証券のためのシステムや、国内およびクロスボーダー取引のためのシステムに当てはまるように策定されている。同勧告は、金融安定化フォーラムが取りまとめた「健全な金融システムに向けた主要基準」の一部となっている。証券決済システムの監督やオーバーサイトに責任を持つ各国当局は、各々が管轄する市場の勧告実現状況を評価し、必要な場合には実現に向けた行動計画を策定することが求められる。

 本報告書もまた「証券決済システムに関する作業部会」によって策定されたものであり、そうした評価に用いられる明確かつ包括的な方法を定めることを狙いとしている。評価方法は、主として各国当局の自己評価、あるいはそうした自己評価の相互検証のために用いられることを意図したものである。また、国際金融機関(国際通貨基金、世界銀行)により実施される金融部門評価プログラムや、世界銀行が行う改革努力への融資といった他の形の技術支援のためのガイダンスとしての役割を果たすことも意図されている。このため、国際金融機関はこの評価方法の策定作業に参加した。さらに、本評価方法は、勧告実現状況に基づいて証券決済システムの安全性と効率性を独自に評価しようとする民間の市場参加者にとっても有用であろう。

以上

報道機関のための注記

  1. 支払・決済システム委員会(CPSS)は、G10諸国の中央銀行が支払・決済の仕組みの動向をモニター・分析し、関連する政策課題を検討するフォーラムである。非G10諸国の中央銀行も、CPSSの活動への関与を深めている。CPSS議長は、ECB理事であるトマソ・パドア=スキオッパである。CPSS事務局は、BIS内に設けられている。CPSSの過去の報告書には以下のものがある。『証券決済システムにおけるDVP』(1992年)、『クロスボーダー証券決済』(1995年)、および『システミックな影響の大きい資金決済システムに関するコア・プリンシプル』(2001年)。CPSSの報告書一覧および最近発行された多くの報告書の全文(英文)は、BISのホームページ(www.bis.org)(外部サイトへのリンク)から入手可能となっている。
  2. 証券監督者国際機構(IOSCO)は、現在100を超える法域の証券市場監督者から組織されており、国内・国際証券市場の効率性・健全性を維持するため、高い基準の規制を協力して推進してきた。IOSCOの専門委員会の議長はオーストラリア証券取引委員会議長のデビッド・ノットが務めている。IOSCOは、以下のとおり証券決済に関する多くの報告書を発行している。『新興市場における支払・決済——1つの青写真(Clearing and settlement in emerging markets - a blue print)』(1992年)、『市場関係当局間の協調と破綻手続(Cooperation between market authorities and default procedures)』(1996年)。他のIOSCOの報告書は、ホームページ上(www.iosco.org)(外部サイトへのリンク)に掲載されている。
  3. 「証券決済システムに関する作業部会」では、米国連邦準備制度理事会アソシエート・ダイレクターであるパトリック・パーキンソンと、シンガポール通貨庁証券先物局次長であるシェーン・トレギリスが共同議長を務めている。作業部会の事務局は、CPSS事務局が務めている。
  4. これまで、CPSSとIOSCO専門委員会は、『証券決済システムのディスクロージャーの枠組み』(1997年)、『証券貸借取引:市場の発展とそのインプリケーション』(1999年)、『証券決済システムのための勧告』(2001年)という報告書を共同で作成してきた。これら報告書はBIS(外部サイトへのリンク)とIOSCO(外部サイトへのリンク)のホームページから入手可能であり、また冊子の形でBISまたはIOSCOから入手することができる。