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決済と決済システムを理解するためのキーポイント《基礎編》テーマ5.決済と銀行

この章のキーワード:
「銀行間決済」、「中央銀行当座預金」
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私たちは、なぜおさつや預金を使って決済することができるのでしょうか。そこでは、銀行と中央銀行が重要な役割を果たしています。

おさつと銀行

預金がおかねとして広く利用されている理由のひとつは、預金がいつでもおさつに換えて引き出せるからだと考えられます。

銀行は、中央銀行に預金口座(日本では、日本銀行当座預金 がこれに当たります)を持っていて、必要に応じていつでもおさつを引き出すことができます。銀行は、中央銀行当座預金と、人々から預かっている預金という2つのものを使って、中央銀行と私たちとの間におさつを行き来させています。

個人・企業、銀行、中央銀行の間のおさつの流れを表すイメージ図

預金と銀行

次に、私たちが銀行預金という決済手段を使う場合の銀行の役割について見てみましょう。

取引の当事者(AさんとB社とします)が、X銀行という銀行に銀行口座を持っている場合、AさんがB社におかねを支払うときは、X銀行にあるAさんの預金口座からB社の預金口座に振り替えを行うだけですみます。

ところが、AさんがX銀行に、B社がY銀行に口座を持っている場合には、X銀行がAさんの預金を減らし、Y銀行がB社の預金を増やすことによってAさんとB社の間の決済が行われます。つまり、X銀行は、預金者から銀行をまたがった預金の振替を指示された場合、今度はY銀行との間で銀行間の決済を行わなくてはなりません。

中央銀行への預金

銀行はどのようにして銀行間決済を行うのでしょうか。銀行間決済は金額が大きいので、銀行がよその銀行と決済をおさつで行うことはほとんどなく、ふつうは預金(多くの場合、銀行が中央銀行当座預金)の振替で行っています。その理由は、主に3つ考えられます。

  1. (1)絶対に破綻しない中央銀行への預金は安全確実な決済手段だから、
  2. (2)中央銀行は中立的な存在なので、多くの銀行が中央銀行を共通の銀行として利用しようとするから、
  3. (3)万一、決済が滞りそうになった場合には、中央銀行は、必要により機動的に銀行に巨額のおかねを貸すことができるから(これを、中央銀行の最後の貸し手機能といいます)。