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各地域からみた景気の現状(2023年1月支店長会議における報告)

2023年1月12日
日本銀行

今回の支店長会議における報告を総括すると、資源高の影響などを受けつつも、供給制約の影響が和らぎ、感染抑制と経済活動の両立も進むもとで、多くの地域で景気は持ち直している。前回の支店長会議開催時点(2022年10月)と比較すると、全9地域中5地域で総括判断を維持し、4地域で引き上げている(参考参照)。

需要項目等別にみると(注)公共投資については、国土強靱化関連の工事が継続的に発注されるもとで、横ばい圏内で推移しているとの報告があった。設備投資については、コスト高の影響で計画を見直す動きがみられるとの指摘もあったが、デジタル化・省力化や環境対応の投資のほか、新規出店や施設の改装など、感染症下で先送りされた案件の再開がみられるとの報告が多かった。個人消費(インバウンド需要を含む)については、冬場にかけての感染拡大に伴い、宴会需要が盛り上がりに欠けるなどの影響が指摘されたが、全国旅行支援の後押しもあって国内旅行需要が増加しているほか、外出機会の増加に伴い衣料品等の販売も増加基調にあるとの報告が多かった。また、水際対策の緩和以降、為替円安の影響もあってインバウンド需要が持ち直しているとの指摘が多かった。こうした中、コスト上昇を販売価格に転嫁する動きが広がりを伴いながら進展するもとで、相対的に低価格なプライベートブランド商品やセール品への需要シフトなど、消費者の節約志向の強まりを示す事例の報告があったものの、全体としては、値上げ後も売上げは堅調ないし底堅いとの報告が多かった。住宅投資については、取得価格の上昇などから注文住宅の購入を見合わせる動きがみられるとの報告があった。輸出・生産については、自動車関連を中心に半導体の調達環境は引き続き不安定との指摘があったが、総じてみれば供給制約の影響が和らぐもとで、基調として増加しているとの報告が多かった。ただし、スマートフォン・PC向けの半導体などについては、海外需要の減少を背景に生産調整が続いているとの指摘があった。こうしたもとで、半導体製造装置については、新規受注に減速感がみられるとの声も紹介されたものの、高水準の受注残に支えられて高操業を続けているとの報告が多かった。先行きについては、海外経済の減速などの影響を懸念する声が紹介された。

雇用面をみると、経済活動の改善が続くもとでサービス業を含めて人員の拡充が進んでいるとの報告が多かった。ただし、採用難から人員を充足できず、需要を取りこぼしているとの指摘も少なくなかった。賃金については、コスト高などによる収益面の厳しさを理由に賃上げは難しいとする声も紹介されたが、堅調な業績のもと、人手不足感の強まりや物価上昇を踏まえ、冬季賞与を増額した事例や、今春に向けてベアの実施や拡大を検討する動きが進んでいる事例についての報告が多かった。


(参考)

∇各地域の景気の総括判断と前回との比較
【22/10月判断】 前回との比較 【23/1月判断】
北海道 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
東北 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
北陸 基調としては持ち直している 右上がり 持ち直している
関東
甲信越
感染抑制と経済活動の両立が進み、供給制約の影響が和らぐもとで、基調として持ち直している 右上がり 感染抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している
東海 持ち直しの動きが一服している 不変 横ばいで推移している
近畿 感染症の影響が和らぐもとで、全体として持ち直している 右上がり 感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している
中国 緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
四国 一部に供給制約の影響がなお残る中、全体としては緩やかに持ち直している 不変 緩やかに持ち直している
九州・沖縄 緩やかに持ち直している 右上がり 持ち直している
  • (注)前回との比較の「右上がり」、「右下がり」は、前回判断に比較して景気の改善度合いまたは悪化度合いが変化したことを示す(例えば、改善度合いの強まりまたは悪化度合いの弱まりは、「右上がり」)。なお、前回に比較し景気の改善・悪化度合いが変化しなかった場合は、「不変」となる。