このページの本文へ移動

米国同時多発テロ直後の金融市場の動きと中央銀行の対応

2002年 3月28日
中曽宏
細谷真
清水季子

日本銀行から

マーケット・レビューは、金融市場に関する理解を深めるための材料提供を目的として、日本銀行金融市場局が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、日本銀行の見解を示すものではありません。

内容に関するご質問は、日本銀行金融市場局 清水までお寄せ下さい。

以下には、(要旨)を掲載しています。全文は、こちら (kmr02j03.pdf 54KB) から入手できます。

要旨

 2001年9月11日に米国を襲った同時多発テロは、国際金融市場の中枢であるニューヨークを一時的に深刻な機能低下に陥れた。ドル資金市場と株式市場では、短期的に大きな価格変動が観察され、米国債市場では、決済機能の中枢が被害を受けたため回復にやや時間を要した。ただ、市場関係者の懸命の努力により予想以上に早期に市場機能の回復が図られ、国際金融市場全体への深刻な影響は回避された。主要国の中央銀行は、テロによる金融市場の混乱を回避するため即日声明を発表し、機動的に市場への流動性供給を行った。システミックリスクの顕現化に繋がりかねない危機への対応は中央銀行の使命の一つであり、テロ直後の各国中央銀行の対応は、市場機能の早期回復に貢献したと考えられる。