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粘着価格貨幣経済モデルにおけるテイラー・ルール下の均衡の決定性とE-stability(要旨)

2006年 2月
黒住卓司*1

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。

なお、ワーキングペーパーシリーズに対するご意見・ご質問や、掲載ファイルに関するお問い合わせは、執筆者までお寄せ下さい。
無断転載・複製を禁じます。

以下には日本語の(要旨)を掲載しています。

なお、全文は英語のみの公表です

  1. *1調査統計局 E-mail : takushi.kurozumi@boj.or.jp

要旨

金融政策論における近年の研究では、マネーが存在しない粘着価格モデルにおいて、合理的期待均衡の決定性やE-stabilityを保証するという観点から、テイラー・ルールが望ましい性質を有していることが示されている。本稿では、マネーが効用関数に入った離散時間モデルにおいて、テイラー・ルールが均衡の決定性やE-stabilityに関する望ましい性質を保持しているか理論的に考察している。また同モデルを用いたこれまでの研究では、期間中のどのタイミングのマネーが効用関数に入るかについて期末と2種類のcash-in-advanceの設定があるが、これら3つの設定を用いて理論的考察を行っている。本稿で得られた主な結果は次の2つである。

  1. (i)消費とマネーに関する効用関数の非分離性の度合いが小さくても、テイラー・ルールがインフレ率だけでなく産出量や産出ギャップに反応するのであれば、合理的期待均衡の不決定性やE-instabilityを生じやすい。
  2. (ii)効用関数に入るマネーのタイミングにおける違いが、テイラー・ルールが均衡の決定性およびE-stabilityを保証する条件を大きく変える。