わが国のGDPのナウキャスティングに関する検討
2018年11月7日
近松京介*1
平形尚久*2
城戸陽介*3
大高一樹*4
全文掲載は、英語のみとなっております。
要旨
わが国のGDPの四半期速報値は速報性を重視して作成される一方、四半期速報値から遅れて公表される年次推計値は経済活動をより包括的に把握できる統計を用いて作成される。このため、本稿では双方についてのナウキャスティングを検討した。まず、四半期速報値のナウキャスティングでは、ハードデータ及びソフトデータの月次指標を用い、複数の混合頻度アプローチ(mixed-frequency approach)、すなわちブリッジ方程式、混合データサンプリング(Mixed Data Sampling、MIDAS)およびそれらのファクターモデルの比較を行ったほか、予測平均(Forecast Combination)の有用性も検討した。次に、年次推計値のナウキャスティングでは、Chow and Lin(1971)等の複数のベンチマーキング法を用いて、月次の供給側指標の有用性を検証した。本稿で得られた結果は次のとおりである。第1に、四半期速報値のナウキャスティングについては、混合頻度アプローチは、GDP成長率の期間平均と比べて、優れた予測精度を示すほか、モデル予測とエコノミスト等による予測を組み合わせることで予測精度が向上するとの結果を得た。第2に、年次推計値のナウキャスティングについては、供給側指標を用いたベンチマーキング法は、有用な予測ツールであることがわかった。
JEL分類番号
C53
キーワード
ナウキャスティング、予測平均(Forecast Combination)、混合データサンプリング(Mixed Data Sampling、MIDAS)、ベンチマーキング法
本稿の作成に当たり、原尚子氏、一上響氏、加藤直也氏、村越智文氏、武藤一郎氏、大山慎介氏、関根敏隆氏から有益なコメントを頂いた。ただし、あり得べき誤りは筆者ら個人に属する。本稿の内容と意見は筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。
- *1日本銀行調査統計局 E-mail : kyousuke.chikamatsu@boj.or.jp
- *2日本銀行調査統計局 E-mail : naohisa.hirakata@boj.or.jp
- *3日本銀行調査統計局 E-mail : yousuke.kido@boj.or.jp
- *4日本銀行調査統計局(現・総務人事局) E-mail : kazuki.ootaka@boj.or.jp
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