家計の流動性制約、合理的無関心およびインフレ予想形成
2019年6月21日
一上響
*1
古賀麻衣子
*2
奥田達志
*3
尾崎達哉
*4
全文掲載は、英語のみとなっております。
要旨
本稿では、家計のインフレ予想形成について、情報収集の過程に焦点をあて、理論・実証両面から分析を行った。まず、家計が足許の価格情報と中央銀行が設定するインフレ目標の2つの情報に自らの関心を割り当てるという理論モデルを構築した。その中で、流動性制約がタイトな家計ほど、財の価格が先行き上昇した場合でも消費を前倒しすることが困難であるため、将来のインフレ率への関心が低く、インフレ目標よりも足許の価格情報をより重視することを示した。上記の理論的な予測について、わが国家計のミクロデータで実証分析を行ったところ、これを支持する実証結果が得られた。
JEL分類番号
E50, E21, E61
キーワード
合理的無関心、インフレ予想、アンカリング、流動性制約、オイラー方程式
- *1日本銀行調査統計局 E-mail : hibiki.ichiue@boj.or.jp
- *2日本銀行調査統計局 E-mail : maiko.koga@boj.or.jp
- *3日本銀行調査統計局 E-mail : tatsushi.okuda@boj.or.jp
- *4日本銀行調査統計局 E-mail : tatsuya.ozaki@boj.or.jp
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