中国における住宅の資産効果―機械学習を用いた世帯の特徴による異質性の推計―
2024年5月10日
平野竜一郎*1
佐武恵梨*2
崎山登志之*3
要旨
本稿では、中国家計のパネルデータを使い、一般化ランダムフォレストという機械学習の手法による分析を通じて、住宅の資産効果を推計した。本稿の分析からは、中国においても、住宅価格上昇(下落)が家計の消費額を無視しえない規模で増加(減少)させる効果が確認された。また、こうした住宅の資産効果は、世帯によって相応に異なっており、資産に占める住宅の比率のほか、世帯人員、世帯主の年齢が、資産効果の異質性を説明するうえで重要度の高い属性であることが明らかとなった。すなわち、資産に占める住宅の割合が高い世帯や、世帯人員が多く先行きの世帯人員の減少が見込まれる世帯において、住宅の資産効果が大きいことが確認された。これは、資産効果の波及経路としては、住宅価格の変動を恒常所得と捉えて消費を増減させるという経路が強く働いていることを示唆している。
- JEL 分類番号
- C49、D12、E21
- キーワード
- 住宅の資産効果、世帯属性、異質性、一般化ランダムフォレスト
本稿の作成に当たっては、沖本竜義氏、開発壮平氏、平田渉氏、松永美幸氏、三木翔太氏、および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。ここに記して感謝したい。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。なお、本稿で示されている内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。
- *1日本銀行国際局 E-mail : ryuuichirou.hirano@boj.or.jp
- *2日本銀行国際局(現・鹿児島支店) E-mail : eri.satake@boj.or.jp
- *3日本銀行国際局 E-mail : toshiyuki.sakiyama@boj.or.jp
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