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「量的・質的金融緩和」導入以降の政策効果の計測
― マクロ経済モデルQ-JEMを用いた経済・物価への政策効果の検証 ―

2024年11月29日
井澤公彦*1
喜舎場唯*2
高橋悠輔*3
幅俊介*4
米山俊一*5

要旨

本稿では日本銀行の大型マクロ経済モデルであるQ-JEM(Quarterly Japanese Economic Model)を用い、2013年以降の日本銀行による「量的・質的金融緩和」導入以降の政策効果を推計した。具体的には、名目金利をはじめとする主要な金融変数やインフレ予想等に対して、金融緩和が実施されなかった場合の「仮想的なパス」を作成した。そのうえで、それらの変数が仮にこのパスを辿った場合の実質GDPや消費者物価等の推移について、Q-JEMを用いた反実仮想分析(カウンターファクチュアル・シミュレーション)を行い、実績値とシミュレーション結果の差を政策効果として試算した。試算によると、2013年の「量的・質的金融緩和」以降2023年4から6月までの期間において、政策効果により実質GDPの水準は平均的に+1.3から+1.8%程度、消費者物価(除く生鮮食品・エネルギー)前年比は+0.5から+0.7%ポイント程度押し上げられてきたとの結果になった。

JEL 分類番号
C53、E37、E43、E47、E52、E58

キーワード
金融政策、政策効果、大型マクロ経済モデル、シミュレーション

本稿の作成に当たり、青木浩介氏、上田晃三氏および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂いた。また、稲次春彦氏、亀井郁夫氏、柴田菜緒氏には、初期の分析や先行研究の調査等でご協力頂いた。ここに記して感謝したい。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。なお、本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行の公式見解を示すものではない。

  1. *1日本銀行調査統計局(現・大阪支店) E-mail : kimihiko.izawa@boj.or.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : yui.kishaba@boj.or.jp
  3. *3日本銀行調査統計局 E-mail : yuusuke.takahashi@boj.or.jp
  4. *4日本銀行調査統計局(現・企画局) E-mail : shunsuke.haba@boj.or.jp
  5. *5日本銀行調査統計局 E-mail : shunichi.yoneyama@boj.or.jp

日本銀行から

日本銀行ワーキングペーパーシリーズは、日本銀行員および外部研究者の研究成果をとりまとめたもので、内外の研究機関、研究者等の有識者から幅広くコメントを頂戴することを意図しています。ただし、論文の中で示された内容や意見は、日本銀行の公式見解を示すものではありません。
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