グローバル化が国内労働市場に与える影響
2025年2月27日
滝澤美帆*1
要旨
本稿では、グローバル化が国内労働市場に与える影響について、特に雇用および労働者のスキル構成に焦点を当て、90年代以降の日本の実証研究を整理・検討する。国内雇用に関しては、グローバル化が必ずしも負の影響をもたらすわけではなく、むしろプラスの影響を示す研究も存在する。一方で、スキル構成に関しては、グローバル化に伴うスキル偏向的技術進歩の影響を通じて、海外生産委託(オフショアリング)が賃金格差に影響を与える可能性が指摘されている。本稿では、企業レベルの実証研究を中心に、対外直接投資やオフショアリングが国内労働市場に及ぼす影響を整理し、特に日本の労働市場における雇用変動やスキル需要の変化に着目する。本稿の分析結果は、グローバル化が進展する中で国内労働者の賃金を向上させるためには、人的資本への投資を通じたスキル向上が重要な要素であることを示唆している。
本稿の執筆にあたり、討論者の冨浦英一氏をはじめ、第10回東大CARF・日銀調査統計局共催コンファレンス参加者の皆様から貴重なコメントを頂戴した。記して謝意を表したい。
- *1学習院大学 経済学部 E-mail : miho.takizawa@gakushuin.ac.jp
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