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企業物価指数(2015年基準)のFAQ

2017年12月

FAQの構成

物価指数のFAQの構成は、以下の通りとなっています。このページには、「2.企業物価指数(2015年基準)のFAQ」の質問一覧および回答一覧を掲載しています。

なお、企業物価指数(2015年基準)に関しては、FAQのほかに以下の解説があります。併せてご利用ください。

質問一覧

質問をクリックすると、質問に対する回答が表示されます。

企業物価指数の概要

企業物価指数の作成・利用方法に関するもの

基準改定、新旧指数の相違に関するもの

回答一覧

2-1. 企業物価指数とは、どのような物価指数ですか。

企業物価指数(CGPI:Corporate Goods Price Index)は、企業間で取引される商品(財)全般に関する価格の変動を測定するものです(ただし、土地・建物など取引額が推計できないものや、中古品などは対象から除いています)。原則として国内品は生産者段階における出荷時点の生産者価格を、輸出(入)品は通関段階における船積み(荷降ろし)時点のFOB(CIF)価格を調査しています。

企業物価指数は、日本銀行が1887年1月基準以降、継続的に作成している物価指数です(1897年に東京卸売物価指数という名称で公表を開始)。当時、日本銀行が自ら物価指数を作成することとした主たる目的は、日清戦争を契機とした物価の高騰が大きな社会問題となる中で、主要な商品(財)の需給動向を敏感に反映する取引価格を卸商から収集し、これを集約した物価指数を作成することを通じて、通貨価値を測定することにありました。その後、景気分析の材料やデフレーターとしての利用ニーズなどに応えつつ、統計精度の向上を図りながら、継続的に作成してきています。この間、1952年基準改定時に東京卸売物価指数から卸売物価指数へ、2000年基準改定時に卸売物価指数から企業物価指数へと統計名称を変更しています。

2-2. 企業物価指数は、どのように利用されていますか。

企業物価指数は、(a)景気動向を測る経済指標、(b)デフレーター、(c)企業間の値決めの参考指標などとして、主に、以下のように利用されていると考えられます。

(a)景気動向を測る経済指標

国内企業物価指数の総平均指数は、国内で生産した国内需要家向けの商品(財)について、原則として、生産者段階における出荷時点の価格動向を集約しています。速報値計数を翌月上旬に発表しているなど速報性も高いことから、景気動向ひいては金融政策を判断する上での経済指標の一つとして重視されています。

また、輸出物価指数からは、例えば、海外市場での需給動向や、為替相場の変動を踏まえた企業の価格戦略の一端がうかがえます。

輸入物価指数については、資源輸入国であるわが国の輸入インフレ圧力を測ることが出来ます。

このほか、参考指数の需要段階別・用途別指数については、需要段階別(素原材料、中間財、最終財)指数が、価格波及プロセスの把握など物価動向の多面的な分析に活用されているほか、用途別指数のうち消費財指数は、消費者物価指数(総務省作成)と対比して見られることが多いです。

(b)デフレーター

個々の品目や商品群などの指数は、『国民経済計算』(内閣府経済社会総合研究所作成)や『鉱工業指数』(経済産業省作成)において、デフレーター(金額計数から価格要因を除去して実質値の変動を抽出するための基礎データ)として、広く利用されています。

(c)値決めの参考指標

企業間での商取引における値決めの参考指標として利用されています。

2-3. 企業物価指数の公表時期やデータの入手方法、照会先について教えてください。

項目1-2をご参照ください。

2-4. 企業物価指数では、どのような指数が公表されていますか。

2015年基準企業物価指数では、以下の指数を公表しています。

基本分類指数
名称 内容
国内企業物価指数
  • 国内で生産した国内需要家向けの商品(財)を対象とし、生産者段階における出荷時点の生産者価格を調査。
  • 指数は、消費税を含むベースで作成。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
輸出物価指数
  • 輸出品を対象とし、原則、通関段階における船積み時点のFOB価格を調査。
  • 指数は、円ベースと契約通貨ベースを作成(消費税を含まない)。
輸入物価指数
  • 輸入品を対象とし、原則、通関段階における荷降ろし時点のCIF価格を調査。
  • 指数は、円ベースと契約通貨ベースを作成(消費税を含まない)。
参考指数 ~基本分類指数を組替え・加工することにより作成した指数~
名称 内容
需要段階別・用途別指数
(詳細は項目2-9参照)
  • 価格波及プロセスの把握などの分析ニーズに向けて、経済の循環過程における需要段階(素原材料、最終財など)や用途(建設用材料、資本財、消費財など)に応じて分類した指数。
  • 指数は、消費税を含まないベースで作成。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
連鎖方式による国内企業物価指数
(詳細は項目2-10参照)
  • 基本分類指数が依拠する「固定基準ラスパイレス指数算式」が有する特性を補完するため、「連鎖基準ラスパイレス指数算式」により作成した国内企業物価指数。
  • 指数は、消費税を含むベースで作成。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
消費税を除く国内企業物価指数
(詳細は項目1-7参照)
  • 消費税を含まないベースで作成した国内企業物価指数。
  • 参考として、「夏季電力料金調整後」の指数も作成。
戦前基準指数
(詳細は項目2-24参照)
  • 長期の時系列データを用いた分析ニーズに向けて、戦前基準指数の分類編成に組み替えた新基準指数を接続して作成した指数。
  • 基本分類の指数のうち、国内は消費税を含むベースで、輸出入は消費税を含まないベースで作成。特殊分類(用途別)の指数は消費税を含まないベースで作成。
乗用車(北米向け、除北米向け)
(詳細は項目2-11参照)
  • 輸出物価指数の商品群「乗用車」について、地域別(北米向けとそれ以外)に作成した指数。
  • 指数は、円ベースと契約通貨ベースを作成(消費税を含まない)。

2-5. 基本分類指数の「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」とはどのような指数なのですか。

基本分類指数は、企業物価指数の基本となる指数系列であり、対象範囲などが異なる「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」の3物価指数から構成されます。
基本分類指数では、『日本標準産業分類』、『工業統計』、『貿易統計』等に依拠しつつ、採用品目を分類しています。

なお、国内企業物価指数は、グローバル・スタンダードである「生産者物価指数」に概ね相当しています。

表 基本分類指数の「国内企業物価指数」、「輸出物価指数」、「輸入物価指数」
  国内企業物価指数 輸出物価指数 輸入物価指数
対象範囲 国内で生産した国内需要家向けの商品(財) 輸出品 輸入品
価格調査段階・時点・価格条件 原則、生産者段階における出荷時点の生産者価格 原則、通関段階における船積み時点のFOB価格 原則、通関段階における荷降ろし時点のCIF価格

基本分類指数の分類編成やウエイトに関しては、「2015年基準企業物価指数 基本分類指数 品目分類編成・ウエイト一覧」をご参照ください。

2-6. 企業物価指数の総平均指数から何がわかりますか。

企業物価指数の総平均指数からは、わが国の企業間で取引される商品(財)全般の物価動向を把握できると考えられます。
もっとも、企業物価指数の総平均指数については、平均的な企業が直面する商品(財)の組み合わせを固定したものではなく、この点、消費者物価指数の総平均指数が「家計の消費構造を一定のものに固定し、これに要する費用が物価の変動によってどのように変化するかを指数値で示したもの」と定義されるのに対し、理論的な定義付けには曖昧な面があります。
このため、消費者物価指数やGDPデフレーターなどと対比させて利用する際には、国内企業物価指数の総平均指数のほか、参考指数である「需要段階別・用途別指数」の「消費財指数」などを、併せて利用することが望ましいと考えられます(詳細は項目2-9参照)。

2-7. 企業物価指数に季節変動はみられますか。

企業物価指数の中には、比較的はっきりした季節変動を示す品目がみられます。例えば、国内企業物価指数では、夏季電力割増料金が適用される小類別「電力」の品目や、出回り初期には高めに設定した価格を出回り終期にセールなどで値下げする小類別「衣類」の品目などが該当します。しかし、こうした品目は全体からみればごく僅かで、総平均指数では、明確な季節性は観察されていません。このため、企業物価指数では、季節調整済指数を作成・公表していません。
ただし、夏季電力割増料金については、総平均指数への影響が相応にあるため、この影響を除いた「夏季電力料金調整後」の指数を2005年基準より公表しています(項目2-8参照)。

2-8. 「夏季電力料金調整後」の指数とは、どのような指数なのですか。

わが国の場合、電力会社の多くが夏場の電力需要の抑制を図るために、7~9月の期間、業務用電力に割増料金を適用します。従って、小類別「電力」や「総平均指数」の前月比は、他の条件を一定とした場合、7月はプラスに、10月は逆にマイナスとなります。このため、2005年基準より、参考系列として、以下の指数系列について、夏季の電力割増料金を控除した「夏季電力料金調整後」の指数を、作成・公表しています。これにより、夏場においても、関連する指数の変動を連続して捉えることが可能となります。

表 「夏季電力料金調整後」の指数
基本分類指数 国内企業物価指数 総平均、類別「電力・都市ガス・水道」、小類別「電力」
参考指数 需要段階別・用途別指数 国内需要財、中間財、国内需要財(国内品)、中間財(国内品)
連鎖方式による国内企業物価指数 総平均、類別「電力・都市ガス・水道」、小類別「電力」
消費税を除く国内企業物価指数 総平均、類別「電力・都市ガス・水道」、小類別「電力」

なお、参考系列として提供する「夏季電力料金調整後」の指数は、基準年=100となりませんので、ご注意ください。これは、割増料金が適用される時期以外(10月から翌年6月まで)の指数水準を、本系列である夏季電力料金を含むベース(注)の指数水準と一致させる扱いにしているためです。本系列と参考系列の水準を7~9月以外は一致させることで、「夏季割増」という料金体系が、より直感的に理解されるよう配意したものです。

  • 7~9月期に、実際に企業が直面する電力料金には、割増料金が適用されていますので、本系列はあくまでも割増料金適用ベースとすべきものと考えています。

2-9. 参考指数の「需要段階別・用途別指数」とは、どのような指数なのですか。

参考指数「需要段階別・用途別指数」は、価格波及プロセスの把握など物価動向を多面的に分析するため、経済の循環過程における需要段階(素原材料、最終財など)や用途(建設用材料、資本財、消費財など)に応じて、基本分類指数を組み替えた指数です。なお、指数は、消費税を含まないベースで作成しています。
やや詳しくみると、需要段階別・用途別指数は、国内向け(内需)か輸出向け(外需)かによって分類した「国内需要財」(国内品+輸入品)と「輸出品」から構成されています。このうち、「国内需要財」については、生産活動のため使用・消費されるもののうち、未加工の農林水産物や燃料などを「素原材料」、加工過程を経た製品を「中間財」とし、また、生産活動において原材料や燃料・動力として、さらに使用、消費されることのない最終製品を「最終財」として、需要段階別に分類しています。さらに、需要段階ごとに、それぞれ設定した用途別分類に応じて、細分類しています。例えば、「最終財」は「資本財」「耐久消費財」「非耐久消費財」の3つの内訳に分類しています。一方、「輸出品」については、国内での用途に準じた用途別にのみ分類しています。
需要段階別・用途別指数では、素原材料(例えば原油)の価格動向と、中間財(例えばナフサ)、最終財(例えばプラスチック製日用品)の価格動向を比べることによって、素原材料から最終財への価格に対する波及効果を分析することが可能です。
また、消費者物価指数との関係では、指数動向を対比してみる際、基本分類指数の総平均指数より対象範囲が近い「需要段階別・用途別指数」の「消費財」指数を使用することが、より適当です(下図のグレー部分)。ただし、国内需要財に含まれる輸入品は、輸入物価指数を使用しており、通関段階の価格を円価格に換算したものであるため、輸入品の国内販売価格の動向とは一致しないことには、ご留意ください。

需要段階別・用途別指数(国内需要財)の分類編成

  • 需要段階別・用途別指数(国内需要財)の分類編成図。国内需要財を、需要段階別に分類すると、素原材料、中間財、最終財に分類できる。素原材料を用途別に分類すると、加工用素原材料、建設用材料、燃料、その他素原材料に分類できる。中間財を用途別に分類すると、製品原材料、建設用材料、燃料・動力、その他中間財に分類できる。最終財を用途別に分類すると、資本財、消費財に分類できる。消費財はさらに耐久消費財と非耐久消費財に分類できる。

需要段階別・用途別指数の分類編成やウエイトに関しては、「2015年基準企業物価指数 需要段階別・用途別指数 品目分類編成・ウエイト一覧」をご参照ください。

2-10. 参考指数の「連鎖方式による国内企業物価指数」(連鎖指数)とは、どのような指数なのですか。また、基本分類指数の「国内企業物価指数」(ラスパイレス指数)との違いは何ですか。

基本分類指数の「国内企業物価指数」は、固定基準ラスパイレス指数算式により作成しています(ラスパイレス指数)。
ラスパイレス指数の特性としては、基準時以外のウエイトデータ収集が不要であることや、毎月の指数計算が比較的容易であることに加え、経済統計で重視される速報性に富んでいることなど、多くのメリットがあります。その一方で、ウエイトを基準時に固定しているため、(a)基準時から時間が経過するにつれ、各商品のウエイトと実際の取引シェアが乖離するほか、(b)個々の商品の総平均指数への影響度は、その商品の指数にウエイトを乗じた「加重指数」の大きさで決まってくるため、ある商品の指数水準が大幅に低下(上昇)した場合、同商品の価格変動が総平均指数に与える影響度が低下(上昇)する、というデメリットがあります。
企業物価指数では、他の政府統計と同様に、指数の基準年およびウエイトの算定年次を更新する基準改定を5年ごととしているため、上述のデメリットに加え、基準改定時には新旧基準指数の間で段差が生じます。
こうしたラスパイレス指数の特性を補完するために、企業物価指数では、参考指数として、「連鎖方式による国内企業物価指数」(連鎖指数)を作成しています。連鎖指数は、品目より上位の分類に連鎖基準ラスパイレス指数算式を採用しており、毎年ウエイトを更新し、1年ごと(毎年12月)に指数水準を100にリセットした指数の変化率を、基準年以降、掛け合わせることによって作成しています。言い換えれば、連鎖指数を用いれば、基準時以降のウエイトの変化を指数に反映することができるほか、指数水準の違いにより、総平均指数への影響度が変わるというラスパイレス指数のデメリットを回避できます。ただし、連鎖指数にも、指数の動きが上下変動を繰り返すような場合において、指数水準をリセットすることにより、より上位の分類の集計値がラスパイレス指数で算出した指数を上回るという、一般的に「ドリフト」と呼ばれるデメリットがあります。なお、連鎖指数の毎年のウエイト更新作業にかかる負担がかなり大きいほか、参照できるウエイトデータに制約があるため、現行の連鎖指数では、一部、簡略化した方法により、ウエイト算定を行っています。
連鎖指数に関する詳細な資料は、「『連鎖方式による国内企業物価指数』の公表 ―『連鎖指数』導入の意義とその特徴点―」(日本銀行調査月報2002年11月号)、「連鎖方式による国内企業物価指数」(日銀レビュー 2004年11月)をご参照ください。

2-11. 参考指数の「乗用車(北米向け)」「乗用車(除北米向け)」とは、どのような指数なのですか。

輸出物価指数の商品群「乗用車」について、「北米向け」と「除北米向け」に分割した地域別指数を作成しています。
これは、日本の輸出額の中で大きなウエイトを占める「乗用車」について、最大の輸出対象国である米国を含む「北米向け」と北米以外の地域向けである「除北米向け」における輸出価格動向の違いを把握し、為替レート変動に対する企業の価格設定行動や企業収益動向の分析に活用したいとのユーザー・ニーズに対応したものです。指数は、消費税を含まず、円ベースと契約通貨ベースを作成しています。

なお、2010年基準では、輸出物価指数の品目「普通乗用車」を「北米向け」と「除北米向け」に分割して、「普通乗用車(北米向け)」「普通乗用車(除北米向け)」として作成していたため、2015年基準の対象範囲とは完全には一致しません。

2-12. 消費者物価指数、商品市況指数(日経商品指数など)、貿易統計の価格指数とはどう違うのですか。

これらの各指数は企業物価指数とは指数作成方法などが異なるため、対象範囲など、各指数の定義を確認した上で、利用ニーズに合わせ、使い分けることが必要です。

表 各指数
  企業物価指数
国内企業物価指数 輸出物価指数、輸入物価指数
対象範囲 企業間で取引される商品(財)
国内で生産した国内需要家向けの商品(財) 輸出入品(財)
価格調査段階 生産者段階 通関段階
価格調査方法 品質が一定の商品の価格を継続的に調査
指数算式 ラスパイレス算式
表 各指数
  消費者物価指数
(総務省統計局作成)
貿易統計の価格指数
(財務省作成)
商品市況指数
(日経商品指数)
対象範囲 家計が購入する商品
(財・サービス)
輸出入品(財) 商品市場などで取引され、相場が需給関係に敏感に反応して変動する市況商品(財)
価格調査段階 小売段階 通関段階 市場取引段階
価格調査方法 品質が一定の商品の価格を継続的に調査 対象商品の平均単価 対象商品の平均単価
指数算式 ラスパイレス算式 フィッシャー算式 幾何平均算式

2-13. 企業物価指数は、かつて公表されていた卸売物価指数とは何が違うのですか。

日本銀行では、1952年基準(1954年12月公表)以来、卸売物価指数を作成してきましたが、2000年基準(2002年12月公表)から統計名称を企業物価指数へと変更しました。これは、2000年基準改定時に、価格調査段階の選定基準を一部変更した結果、卸売段階を調査対象とする調査価格の比率(ウエイトベース)が2割を下回る程度に低下したことから、統計名称を実態に合わせて変更したものです。なお、生産者段階の比率(ウエイトベース)は、2015年基準指数では95%に達しています。
基準改定ごとに、統計精度の向上のために価格調査方法や指数作成方法の見直しを行っていますが、指数の主たる目的や機能について変更はないため、企業物価指数は、従来の卸売物価指数と連続してご利用頂くことが可能です。

2-14. 指数の作成方法について教えてください。

項目1-3をご参照ください。

2-15. 企業物価指数のウエイト算定には、どのような統計を使用しているのですか。

企業物価指数は「企業間で取引される商品(財)」を対象としていますので、そのウエイトには企業間取引額を使用することが適当です。しかし、こうしたニーズに合致する統計は現状見当たらないため、企業物価指数のウエイト算定では、基本的に『工業統計』(品目編、経済産業省作成)の製造品出荷額や、『貿易統計』(財務省作成)の輸出入額をベースに日本銀行が推計しています。

なお、2015年基準改定では、新基準指数への移行を早期化するために、国内企業物価指数のウエイト算定方法を見直しました。具体的には、基準改定時点では、2015年を対象とするカバレッジの高い構造統計である『工業統計』(品目編)から金額を直接算定することができなかったため、上記統計に加え、『生産動態統計』(経済産業省作成)等の動態統計も使用しています。詳しくは、「2015年基準企業物価指数の解説」の「第8章 ウエイト」[PDF 2,106KB]をご参照ください。

また、非工業製品の出荷額の推計や、『工業統計』(品目編)や『貿易統計』のコード区分を細分化する必要がある場合には、他の官庁統計や業界統計等を使用しています。『工業統計』(品目編)、『貿易統計』以外でウエイト算定に使用している他統計の詳細は、「ウエイトデータ一覧」をご覧ください。

2-16. 企業物価指数で採用している品目は、どのように決めているのですか。

品目を採用する際には、(a)取引額が国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数ごとに設定している品目の採用基準額を上回っていること、(b)継続的な価格調査が可能なこと、の2点を重視しています。

採用基準額は、重要度の高い商品を選定する上での一つの目安として設定しているもので、原則として、ウエイト算定年次(2015年)におけるウエイト対象総取引額をベースに設定しています。
ただし、ウエイト算定年次における取引額が採用基準額に満たない商品であっても、先行き取引額の増加が見込まれる商品や、品目分類編成上のバランス等から必要な商品は、柔軟に品目として採用しています。一つの商品の取引額が採用基準額に満たない場合は、類似する複数の商品をグルーピングした広い範囲の品目を設定することもあります。例えば、プラグインハイブリッド車や電気自動車の普及を踏まえ、国内企業物価指数の「乗用車(クリーンエネルギー車)」は、クリーンディーゼル車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等をグルーピングして品目設定しています。
一方、取引額が採用基準額以上の商品であっても、品質一定の下での継続的な価格調査が極めて困難な商品や、年によって取引額の変動が激しく、採用が不適当とみられる商品は、品目として採用していません。
なお、国内企業物価指数、輸出物価指数、輸入物価指数において、同一の品目名称(あるいは上位分類名称)が設定されている場合は、いずれの物価指数においても、対象範囲が同一となっており、3つの物価指数間で価格動向の違いを比較することができます。
2015年基準指数における採用基準額、採用品目数は、次のとおりです。

採用基準額
  国内企業物価指数 輸出物価指数 輸入物価指数
ウエイト対象総取引額 2,154,485億円 685,050億円 738,754億円
ウエイト対象総取引額に対する比率 1万分の1 1万分の5 1万分の5
採用基準額 215億円 343億円 369億円
  <参考>2010年基準 214億円 301億円 285億円
採用品目数
  採用品目数
  <参考>2010年基準
国内企業物価指数 746 822
輸出物価指数 209 210
輸入物価指数 258 254
合計 1,213 1,286

2-17. 企業物価指数では、どのような取引段階の企業から価格を調査しているのですか。

国内企業物価指数では、原則として、生産者段階の価格を調査しています。ここでいう生産者段階とは、『工業統計』における出荷額計上ルールに従い、以下の取引段階としています。

  1. (a)自社工場で生産し、出荷する段階
  2. (b) 委託会社から無償支給された原材料を使用して、受託会社が生産し、委託会社が出荷する段階
  3. (c)受託会社(子会社を含む)が生産し、委託会社が買い取る段階

ただし、生産者段階での価格調査が難しい場合は、卸売段階の価格を調査しています。例えば、リベート(販売奨励金)が実質的な価格調整機能を担っていて、リベートを支払う側の企業(生産者)からはそれを商品ごとに調整した価格が調査できないケースが該当します。
詳しくは、「価格調査段階・調査時点一覧」をご参照ください。

2-18. 輸出入物価指数における貿易取引条件(FOBやCIF)に関する考え方を、教えてください。

項目2-5でみたように、原則として、輸出物価指数では、FOB(free on board、本船渡し)、輸入物価指数では、CIF(cost, insurance & freight、運賃・保険料込み)での価格を調査するようにしています。ただし、このような原則を設けつつも、企業間での商慣行や実務作業の負担等を勘案し、上記以外の貿易取引条件での価格を企業が報告する場合は、それを採用しています。
なお、類別ごとの内訳については、「輸出・輸入物価指数の貿易取引条件の内訳」をご参照ください。

2-19. 企業物価指数では、どのような価格を企業から調査しているのですか。

企業物価指数では、企業間で取引される財を対象として、現在、約8,600の価格(国内企業物価指数:約5,700、輸出物価指数:約1,300、輸入物価指数:約1,600)を調査しています。

価格調査にあたっては、原則として、国内企業物価指数では、生産者段階における取引価格を、輸出(入)物価指数では、通関段階における取引価格を、それぞれ調査しています。

価格調査では、取引量が多い売れ筋商品で、対象とする商品グループ全体の価格動向を代表するものを調査対象に選定します。品質の変化による価格変動を除去して、純粋な価格変動分のみを物価指数に反映させるために、品質を構成する属性条件(商品の内容、契約通貨建て、商品の販売先、用途、受け渡し条件<貿易取引条件>等)を必要な範囲で固定(特定)し、実際に取引された価格を調査することを原則としていますが((1)「銘柄指定調査」)、これが困難な場合は、取引の実態を極力反映するよう、品質一定の条件を損なわない範囲で品質の固定条件を一部緩めて、(2)「平均価格調査」や(3)「モデル価格調査」を採用しています。さらに、(1)~(3)いずれの方法でも価格調査を行うことができない場合は、(4)「建値調査」等を採用しています。詳しくは、「2015年基準企業物価指数の解説」の「第6章 調査価格」[PDF 2,106KB]をご参照ください。

なお、国内企業物価指数における類別ごとの調査価格の種類(価格の調査方法)の割合については、「調査価格の種類別集計値」をご参照ください。

2-20. 企業物価指数の調査価格の回収率はどれくらいですか。

調査価格の回収率は、速報(翌月の第8営業日、定期遡及訂正月<3月、9月>は第9営業日)時点で76%、確報(翌々月の同営業日)時点で約97%となっています(2010年基準、2016年11月実績)。速報の公表が早く、価格回収に充当できる期間が短いため、速報時点の回収率はやや低いですが、翌月の確報時点では、ほとんどの価格が回収されています。最新のデータは、「回収率実績」をご参照ください。

2-21. 企業から回答が得られない場合や、調査時点で取引がない場合は、どのような扱いをしていますか。

項目1-5をご参照ください。

2-22. 官庁や業界団体等が作成している統計は利用しないのですか。

項目1-6をご参照ください。
なお、外部データを採用している品目と外部データ内容については、「外部データ一覧」をご参照ください。

2-23. 消費税等の間接税は、指数を作成する上でどのように扱われていますか。

項目1-7をご参照ください。

2-24. 企業物価指数の動きを長期的な時系列で眺めたい場合は、どうすればよいですか。

企業物価指数の長期時系列データには、「2015年基準接続指数」と「戦前基準指数」の2種類があります。ただし、これらの指数は、採用品目や品目ウエイト、品質調整方法などの違いにより性格が異なる各基準の指数を機械的に接続したものであることに、ご留意ください。
「2015年基準接続指数」については、項目1-12をご参照ください。
「戦前基準指数」とは、2015年基準の基本分類指数および需要段階別・用途別指数の国内需要財指数を戦前基準指数の分類編成(基本分類12類別、特殊分類<用途別>5分類、1960年基準の分類編成に依拠したもの)に組み替え、2015年1月以降の指数を2014年12月までの戦前基準指数に接続したもので、1934~1936年の平均を1とした指数です。

2-25. どういう場合に過去の計数の訂正を行っているのですか。また、何を見ればわかりますか。

項目1-8をご参照ください。

2-26. 時系列データにNA という表示がありますが、これはどういう意味ですか。

項目1-4をご参照ください。

2-27. 輸出入物価指数における契約通貨別の構成比は、どのようになっていますか。

輸出・輸入物価指数の契約通貨別構成比」をご参照ください。

2-28. 円ベースの指数を作成する際にどのような為替相場を用いているのですか。

円ベースの指数を作成する際には、外貨建て契約の調査価格について、銀行の対顧客電信直物相場(仲値)の月間平均値により円価格に換算のうえ、指数化しています。したがって、例えば、企業において独自の社内為替レートを採用している場合などは、取引実態とは異なる為替変動が反映される可能性は残ります。
また、円価格に換算する際は、契約の有無にかかわらず、その月の為替相場の動きを一律に反映させるかたちで、円換算を行っております。したがって、その月に取引がなく、外貨建て価格(指数)が横這いの時でも、為替相場が変化すれば、円建て価格(指数)は変動するため、輸出入物価指数、需要段階別・用途別指数などをご利用になる際には、この点も認識した上で、ご利用ください。

2-29. 企業物価指数の「調査価格」とは、何ですか。また、どのように設定されているのですか。

調査先企業からは、商品の価格に加え、商品の内容など価格に影響を及ぼし得る様々な属性条件を併せて聴取しています。調査先企業から聴取する価格と属性条件をまとめて「調査価格」と呼んでいます。企業物価指数は、品質一定の商品を継続的に調査し、価格を指数化したものです。そのため、調査価格の設定に際しては、原則として、商品の内容のほか、次のような属性条件についても固定しています。

(a)商品の内容

『工業統計』などに準じて定義される品目範囲に該当する商品で、当該品目の価格動向を代表させるのに相応しい商品を選定しています。
素材、性能、規格等のほか、数量単位も、調査開始に当たって、あらかじめ固定します。

(b)商品の販売先

同一商品であっても、例えば、顧客との関係の濃淡などによって商品の販売先ごとに価格が異なる場合があるため、通常、(a)を固定した後、継続的な取引が期待される中で、もっとも取引金額や取引数量が多い商品の販売先に固定することを原則としています。ただし、販売先によって、価格動向が大きく異なる可能性がある場合には、一部の販売先に偏ることがないよう配慮しています。

(c)受け渡し条件・貿易取引条件

同一商品・取引先であっても、例えば、商品の受け渡し条件が工場渡しか持込渡しかによって、価格が異なる場合があるため、受け渡し条件(工場渡し、指定地渡し、持込渡しなど)を固定します。
輸出物価指数、輸入物価指数では、インコタームズ(Incoterms、取引条件の解釈に関する国際規則)、例えば、CIF(cost, insurance & freight、運賃・保険料込み)やFOB(free on board、本船渡し)などを固定します(内訳については項目2-18参照)。

(d)価格の調査方法

項目2-19項目2-30をご参照ください。

(a)~(d)のほか、取引する際の契約通貨も固定しています(契約通貨比率については項目2-27参照)。

2-30. 「平均価格調査」や「モデル価格調査」は、どのような場合に採用しているのですか。

企業物価指数では、項目1-10でみたように、品質変化の影響を除いた純粋な価格変動を把握するため、「調査価格」を設定した上で(項目2-29参照)、実際の取引価格を調査することを原則としています(銘柄指定調査)。
しかし、例えば、資本財などでは規格化された商品が少なく個別性が強い(オーダーメード型)商品が多いほか、多品種少量生産の進展に加え企業の価格設定・戦略が多様化するなど、わが国の取引慣行や商品の多様化によって、価格設定も複雑化しています。これに伴い、従来型の「調査価格」設定では実勢価格の動向を捕捉することが困難と考えられる商品を調査する場合、品質の固定条件を一部緩め、商品グループ(似通った商品や異なる取引条件・商品販売先などで括ったグループ)を対象とした「平均価格調査」や「モデル価格調査」を採用しています。詳しくは、「2015年基準企業物価指数の解説」の「第6章 調査価格」[PDF 2,106KB]をご参照ください。
なお、類別ごとの「平均価格調査」、「モデル価格調査」の採用状況については、「調査価格の種類別集計値」をご参照ください。

2-31. 消費財などでは商品の世代交代が頻繁に生じていますが、新商品の価格は調査されているのですか。また、調査対象としている商品の内容やその変更状況を教えてください。

品目未満の調査価格については、品目の代表性を確保することを目的として、その時々の経済・産業構造の変化を踏まえた構成に柔軟に調整するようにしています。
こうした観点から、調査対象商品の代表性が低下していることが判明した場合には、必要に応じて、調査先企業に対し、新しい調査価格の選定とデータの送付の依頼を行っています。さらに、指数精度の維持・向上を図るため、5年ごとに実施する基準改定作業において、調査価格の全面的な見直し作業も行っています。具体的には、基準改定後の新しい品目分類編成、すなわち、最新の経済構造の姿に合致するように新しい調査価格を開拓し、調査価格を入れ替えています。

2-32. 調査対象商品を変更する際に、新旧商品に質的な差がある場合、両者の価格差を、企業物価指数上でどのように処理しているのですか。

項目1-10をご参照ください。

2-33. ヘドニック法はどのような商品を対象に適用しているのですか。

企業物価指数では、新旧調査価格の品質調整(項目1-10参照)を実施する際、対象品目を限定しない方法であるコスト評価法等を多くのケースで適用していますが、商品の品質がそれを構成する複数の性能(=特性)に分解することが可能であり、かつ、個々の性能を定量的に示すデータを継続的に入手できる商品に対し、ヘドニック法を適用しています。具体的な適用対象商品は、以下の通りです。
実際に使用しているヘドニック回帰式は、「ヘドニック回帰式の推計結果」をご参照ください。

ヘドニック法の適用対象商品
適用対象商品 適用開始時期 推計頻度
スマートフォン 2015年1月 年2回(3・9月)
液晶テレビ 年1回(4月)
デジタルカメラ コンパクトデジタルカメラ 2001年1月 年2回(5・11月)
ミラーレス一眼カメラ 年1回(11月)
デジタル一眼レフカメラ
パーソナルコンピュータ パーソナルコンピュータ(デスクトップ型) 1990年1月 年2回(2・8月)
パーソナルコンピュータ(ノートブック型)
パーソナルコンピュータ(タブレット型) 2014年4月 年2回(3・9月)
乗用車 2015年1月 年1回(10月)

なお、乗用車については、車型(セダン・ワゴン、ミニバン、SUV、ハッチバック、ハイブリッド車)別に推計してきた方式を見直し、2017年10月から全ての車型をまとめて推計する方式に移行しました。この見直しにより、推計の安定性が向上したため、自動運転関連機能など新たに実用化された技術に関するものを含め、より多くの変数をヘドニック回帰式に取り込むことが可能になりました。

2010年基準までヘドニック法を適用してきた「サーバ」「ビデオカメラ」「印刷装置」については、作業負担の重いヘドニック法を適用することの費用対効果などを勘案して、2015年基準指数から、他の品質調整方法の適用に切り替えました。具体的には、ヘドニック法に代えて、「サーバ」については属性コスト調整法、「ビデオカメラ」と「印刷装置」についてはオンライン価格調整法を、コスト評価法など従来型の品質調整方法に加えて適用することとしております。この他にも、1995年基準までは「汎用コンピュータ」「磁気ディスク装置」、2005年基準までは「複写機」に対しても、ヘドニック法を適用していましたが、その後は他の品質調整方法を適用しています。
それぞれの品質調整方法の具体的な内容については、項目1-10、「2015年基準企業物価指数の解説」の「第7章 品質調整」[PDF 2,106KB]をご参照ください。また、2015年基準での見直しによる影響については、「企業物価指数・2015年基準改定結果―改定結果の概要と2015年基準指数の動向―」をご参照ください。

2-34. 2010年基準企業物価指数と2015年基準企業物価指数では、何が違うのですか。

2017年1月速報公表時より、企業物価指数は、2010年基準から2015年基準へ移行しました。主な変更点は、次のとおりです。

  1. (a)指数の基準年およびウエイトの算定年次を2010年から2015年に更新
  2. (b) 品目分類編成の見直し(採用品目の変更とそれに伴う調査価格の変更など)(項目2-35参照)
  3. (c)品質調整方法の見直し(ヘドニック法の適用範囲の拡大、新たな品質調整方法の導入)(項目2-33項目2-36参照)

この他にも、ウエイト算定方法の見直しによる新基準指数への移行の早期化や、定期遡及訂正時期の見直しも行いました。詳しくは、「企業物価指数・2015年基準改定結果―改定結果の概要と2015年基準指数の動向―」をご参照ください。

2-35. 2015年基準企業物価指数で新しく調査対象となった品目、調査対象でなくなった品目は何ですか。

2015年基準では、国内7品目・輸出10品目・輸入14品目を新しく調査対象(新規品目)とし、国内22品目・輸出2品目・輸入10品目の調査を取り止め(廃止品目)ました。 詳しくは、「企業物価指数・2015年基準改定結果―改定結果の概要と2015年基準指数の動向―」をご参照ください。

2-36. 2015年基準企業物価指数で新しく導入された品質調整方法について教えてください。

2015年基準では、調査先企業からの情報に極力依存しない品質調整方法として、「属性コスト調整法」「オプションコスト法」「ランニングコスト法」「オンライン価格調整法」の4つの新たな品質調整方法を導入しました。もっとも、実際に品質調整を行う際には、精度が高いと考えられる他の品質調整方法(例えば、コスト評価法、ヘドニック法)を優先的に適用し、その方法を適用することが妥当ではないと判断される場合に限り、セカンドベストな方法として、精度が劣後する他の品質調整方法(オプションコスト法、ランニングコスト法、オンライン価格調整法)の適用を検討する、といった優先順位をつけています。

それぞれの品質調整方法の具体的な内容については、項目1-10、「2015年基準企業物価指数の解説」の「第7章 品質調整」[PDF 2,106KB]をご参照ください。また、2015年基準での見直しによる影響については、「企業物価指数・2015年基準改定結果―改定結果の概要と2015年基準指数の動向―」をご参照ください。

2-37. 企業物価指数の2015年基準改定に関してまとめた資料はありますか。

2015年基準改定に関する資料としては、次のようなものがあります。