質問金融システムレポートとは何ですか?
教えて!にちぎん
回答
金融システムレポートは、金融システム全体の状況についての分析・評価を行うレポートで、原則年2回公表しています。わが国金融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について金融機関を含む幅広い関係者とのコミュニケーションを深めることを目的としています。
金融システムレポートは、金融システムの包括的な定点観測であり、マクロ・プルーデンスの視点を重視しています。レポートの主な内容は、以下のとおりです。
- (1)国内外の金融市場の動向を確認し、金融市場からみたリスクの所在について点検しています。
- (2)わが国の金融仲介活動として、金融機関(銀行・信用金庫)の金融仲介活動、機関投資家の資金運用動向、家計の金融資産運用動向、金融市場を通じる金融仲介の状況等を点検しています。また、これらの金融経済活動において行き過ぎた動きがないかも点検しています。
- (3)わが国の金融システムの安定性を様々な角度から評価し、マクロ・プルーデンスの視点からみたわが国金融機関の課題を示しています。そこでは、金融システム全体におけるリスクプロファイル(リスク蓄積の大きさやその速さ、分布・偏在)を確認し、それとの対比でみた金融機関の財務基盤の充実度(自己資本、資金流動性)を点検しています。また、具体的なストレス事象を想定して金融機関の自己資本の目減りを試算するマクロ・ストレステストにより、金融システムのストレス耐性の動学的な検証も行っています。
日本銀行は、金融システムレポートの分析結果を、日本銀行の金融システムの安定確保のための施策立案や、考査・モニタリング等を通じた金融機関への指導・助言に活用しています。また、国際的な規制・監督・脆弱性評価に関する議論にも役立てています。さらに、金融政策運営面でも、マクロ的な金融システムの安定性評価を、中長期的な視点も含めた経済・物価動向のリスク評価を行ううえで重要な要素の一つとしています。
このほか、2015年からは、特定のテーマや課題について掘り下げた分析、追加的な調査等を不定期に行い、金融システムレポートを補完するものとして、金融システムレポート別冊シリーズを公表しています。
参考
- 日本銀行のマクロプルーデンス面での取組み(2011年10月)