ロボットが普及する経済におけるインフレ動学
2019年6月21日
笛木琢治
*1
前橋昂平
*2
全文掲載は、英語のみとなっております。
要旨
本稿では、近年、世界的に急速に進展しているロボットによる労働代替(ロボット化)が、インフレ動学に及ぼす影響に焦点をあて、実証・理論両面から分析を行った。まず、18か国のロボット装備率(=ロボット稼働台数÷雇用者)を含むパネルデータを用いた実証分析を行い、ロボット装備率が高くなるほど、需給ギャップに対するインフレ率の反応が小さくなることを示した。そのうえで、ロボットとして解釈可能な労働との代替性の高い資本の存在を考慮したマクロ経済モデルを用いて、同資本の生産性が上昇すると、資本による労働代替が進み、需給に対する企業のコスト変動が抑制され、価格の調整が緩慢になるメカニズムを明らかにした。
JEL分類番号
E12, E22, E31
キーワード
ロボット、労働代替的な資本、フィリップス曲線、失われたインフレ
- *1日本銀行調査統計局 E-mail : takuji.fueki@boj.or.jp
- *2日本銀行調査統計局(現・金融機構局) E-mail : kouhei.maehashi@boj.or.jp
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