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産業特有のトレンドの経済成長への含意

English

2024年4月8日
代田豊一郎*1
土田悟司*2

全文掲載は、英語のみとなっております。

要旨

本稿では、わが国のGDP成長率の長期的な低下傾向が、すべての産業に共通する要因、あるいは個々の産業特有の要因にどの程度起因されるかを考察した。1958~2019年の産業別データを用いて分析した結果、以下のような結果が得られた。第一に、共通の要因が日本の長期的なGDP成長率の変動の約6割を説明する。この結果は、米国での結果——共通の要因がGDP成長率の長期的な変動の約3割しか説明しない——とは対照的である。第二に、しかしながら、個別の産業の影響を無視してよいということにはならない。特に、過去20年間に着目すると、機械産業に特有の要因の寄与が大きい。最後に、個々の産業から経済全体への波及効果は、産業連関ネットワーク内における各産業の立ち位置に依存しており、わが国では、機械産業や建設業などの投資関連産業の影響が大きい。

JEL 分類番号
C32、E23、O41
キーワード
長期趨勢的GDP成長率、産業連関ネットワーク、成長会計

代田はJSPS科研費No.21K01396からの助成を受けて、本研究および関連する研究を行った。心より感謝したい。また、本稿の作成にあたっては、青木浩介氏、上野陽一氏、陣内了氏、中島上智氏、永幡崇氏、福永一郎氏、法眼吉彦氏、および日本銀行のスタッフから有益なコメントを頂戴した。記して感謝の意を表したい。ただし、残された誤りは筆者らに帰する。なお、本稿の内容や意見は、筆者ら個人に属するものであり、日本銀行を含む筆者らの所属の公式見解を示すものではない。

  1. *1青山学院大学経済学部 E-mail : t25733@aoyamagakuin.jp
  2. *2日本銀行調査統計局 E-mail : satoshi.tsuchida@boj.or.jp

日本銀行から

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