エッセイ / "おかね"を語る
AIとお金と小川と武道館
サンプラザ中野くん(ロック歌手)
お金はおっかない! と思って生きてきました。大人になってからです。大人になってまあまあの金額を手にして、子どもの心のまま使うと大変なことになります。お金の教室が必要です。お金の教師が、あるいは頼れるキャプテンやチームメイトが必要です。なので税理士と契約しています。しかし丸投げでしたので、毎年の申告時期に説明を受けるだけでした。
絵・江口修平
一昨年の終わりから、確定申告のための集計作業を自分でやることになりました。手間賃が大幅値上げとなったから。以前は領収書を茶封筒に投げ込んで会計事務所に送るだけでした。カードの明細や現金払いの領収書を丹念にまとめてスプレッドシート(表計算ツール)に打ち込む日々。これが交際費なのか消耗品費なのか、科目の判断に頭を使い、入力ミスを恐れ、ひたすら数字と格闘する。気がつくと半日が消えていた、どころか結局1週間近くかかりました。頭の中はこんとん。とても消耗しました。クリエイティブとは真逆の作業です。好きでもない数字と1週間にらめっこ、これが毎月繰り返されました。そんな折、クロードAIが降臨し、バイブコーディングブームが始まりました。「こんな雰囲気のプログラムを作って」とAIに伝えれば、素人でもアプリ開発ができるんです。
新しいことは大好きなので、YouTuberの教えに従って新境地に踏み出しました。そしてAIに一歩一歩手を引かれ導かれて、なんとか使える集計アプリを作り上げました。カードのCSVデータを投げ込むだけで、税理士事務所指定のスプレッドシートに落とし込んでくれる優れものです。領収書の写真をまとめて投げ込むだけでもいい。
苦手だからといって見ないようにしてきた、お金の流れの実態を垣間見るようになりました。心の重荷が一つおろせたような気がしています。そうしたらお金の流れをもっとちゃんと把握してみたくなった。それ以降、日々使ったほぼ全てを支払うたびスマホに書き込むことにしました。自分で打ち込むとお金とちゃんと向き合えている感じが味わえる。お金に対してゴミ屋敷だった頭の中が、徐々に整理されてきています。
お金が、えたいの知れないよどみから輝く小川の水のイメージに近づいてきています。人生、向き合い続けるといいことがある気がしてきました。
向き合い続けてきたと言えば、爆風スランプの仲間とファンの皆さんです。2024年に再結成し、今年8月11日、35年ぶりに日本武道館に立ちました。中高生のファンが今や中高年になりましたが、大きな玉ねぎの下で、君たちに会えて「ええじゃないか」と心も清らかになりました。
