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預金保険機構に対する資金の貸付けの実施要領の改正に関する件

1999年8月17日
(議決日 1999年7月9日)
日本銀行政策委員会

日本銀行は、預金保険法等の法令に基づき、預金保険機構(以下「機構」という。)に対して資金の貸付けを行い得ることとなっている。こうした機構向けの貸付けについて、日本銀行では、機構が業務上必要とする資金は民間からの調達を優先したうえで、なお不足する場合に、信用秩序維持の観点から日本銀行が一時的なつなぎ資金を供給する、との考え方で対応してきている。最近における機構の資金調達額の増大に鑑み、このような機構向け貸付けに関する考え方を一層明確化するとともに、日本銀行による機構向け貸付けの長期固定化を回避する趣旨から、本委員会は、平成11年7月9日、機構に対する資金の貸付けの実施要領を、以下のとおり改正することを決定した。

  1. 機構に対する資金の貸付けに関し、従来の実施要領(下記参照)を改正し、別紙1~3のとおりとすること。ただし、既に実行された貸付けについては、その返済時まで、なお従前の例によることとし、当該貸付けの金額は、別紙1~3の区分に応じ、それぞれの要領の下で実行する貸付けの金額に加算したうえで、当該要領における貸付金額の範囲に関する規定を適用すること。

  1. (1)預金保険法第42条第2項に基づく貸付けの実施要領
    (平成10年11月10日決定。日本銀行政策委員会月報(以下「月報」という。)平成10年11月号参照、なお本ホームページにも掲載)…別紙1
  2. (2)預金保険法附則第20条第2項に基づく貸付けの実施要領
    (平成10年3月24日決定。概要は月報平成10年3月号参照、なお本ホームページにも掲載)…別紙2
  3. (3)金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第65条第2項に基づく貸付けの実施要領
    (平成10年10月22日決定。月報平成10年10月号参照、なお本ホームページにも掲載)…別紙3
  1. 別紙1中2.(2)ただし書に定める特段の事情があることの認定は、総裁が行う扱いとすること。

別紙1

預金保険法第42条第2項に基づく預金保険機構に対する資金の貸付けの実施要領

1.貸付方式

手形貸付

2.貸付金額

  1. (1)預金保険機構(以下「機構」という。)が預金保険法(以下「法」という。)第42条第1項に規定する業務を新たに行うために必要とする資金については、機構の資金繰りを勘案し、機構が業務の遂行に要する必要最小限の金額を、本行の貸付金額とする。
  2. (2)機構が既往の借入れの返済(発行済債券の償還を含む。以下同じ。)のために必要とする資金については、機構が、あらかじめ法第42条第3項に定める金融機関その他の者からの借入れのために実施した入札の結果不足する金額があるときに限り、当該不足金額を、本行の貸付金額とする。ただし、本行以外の者からの既往の借入れの返済に要する資金の貸付けは、本行が特段の事情があると認める場合を除き、行わない扱いとする。
  3. (3)本行による上記(1)の貸付け(以下「新規資金貸付け」という。)および上記(2)の貸付け(以下「借換資金貸付け」という。)の合計額は、法第42条第1項の規定により政令で定められた機構の借入れの限度額の範囲内とする。

3.貸付期間

直近の機構の保険料収納時期を返済期限とする。ただし、貸付けが6月初日からその直近の保険料収納時期の間または12月初日からその直近の保険料収納時期の間に行われる場合には、機構が直近の保険料収納時期において期限を迎える全ての借入れにつき保険料収入等の余裕資金による返済をなし得ると見込まれるときを除き、貸付実行後2度目に到来する保険料収納時期を返済期限とする。

4.担保

担保の差入れは貸付けの条件としない。

5.貸付利率

  1. (1)新規資金貸付けについては、基準貸付利率のうち「その他のものを担保とする貸付利率」とする。
  2. (2)借換資金貸付けについては、基準貸付利率のうち「その他のものを担保とする貸付利率」に年0.25パーセントの割合を加算した利率とする。

別紙2

預金保険法附則第20条第2項に基づく預金保険機構に対する資金の貸付けの実施要領

1.貸付方式

手形貸付

2.貸付金額

  1. (1)預金保険機構(以下「機構」という。)が預金保険法(以下「法」という。)附則第20条第1項に規定する業務を新たに行うために必要とする資金については、機構の資金繰りを勘案し、機構が業務の遂行に要する必要最小限の金額を、本行の貸付金額とする。
  2. (2)機構が既往の借入れの返済(発行済債券の償還を含む。以下同じ。)のために必要とする資金については、機構が、あらかじめ法附則第20条第1項に定める金融機関その他の者からの借入れのために実施した入札の結果不足する金額があるときに限り、当該不足金額を、本行の貸付金額とする。
  3. (3)本行による上記(1)の貸付け(以下「新規資金貸付け」という。)および上記(2)の貸付け(以下「借換資金貸付け」という。)の合計額は、法附則第20条第1項の規定により政令で定められた機構の借入れまたは債券発行の限度額の範囲内とする。

3.貸付期間

  1. (1)新規資金貸付けについては、直近の機構の特別保険料収納時期を返済期限とする。ただし、貸付けが6月初日からその直近の特別保険料収納時期の間または12月初日からその直近の特別保険料収納時期の間に行われる場合には、機構が直近の特別保険料収納時期において期限を迎える全ての借入れにつき特別保険料収入等の余裕資金による返済をなし得ると見込まれるときを除き、貸付実行後2度目に到来する特別保険料収納時期を返済期限とする。
  2. (2)借換資金貸付けについては、貸付実行日の翌日から起算して13か月の期間内(ただし、貸付実行日が各年の4月初日からその直近の特別保険料収納時期までの間の場合には、貸付実行後3度目に到来する特別保険料収納時期までとする。)で、上記2. (2)の入札による機構の金融機関その他の者からの借入れにかかる返済期限と同一日を返済期限とする。

4.政府保証および担保

  1. (1)本行に対する機構の当該借入金債務について法附則第20条第2項の規定に基づく政府による保証がなされることを貸付けの条件とする。
  2. (2)担保の差入れは貸付けの条件としない。ただし、上記(1)の政府による保証に代えて、法附則第19条の4第2項の規定に基づき機構に交付された国債を担保として差入れさせる取扱いができることとする。

5.貸付利率

  1. (1)新規資金貸付けについては、基準貸付利率のうち「国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利率」とする。
  2. (2)借換資金貸付けについては、同一日を返済期限とする上記2.(2)の入札における落札加重平均利率(年利建てパーセント単位で小数点以下第3位以下切捨て。)とする。

別紙3

金融機能の再生のための緊急措置に関する法律第65条第2項に基づく預金保険機構に対する資金の貸付けの実施要領

金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(以下「法」という。)第65条第2項に基づく預金保険機構(以下「機構」という。)に対する資金の貸付けのうち、機構が法第65条第1項に規定する金融再生業務(ただし、法第60条第4号および第9号に規定する業務を除く。以下同じ。)を行うために必要な資金の貸付けについては、次の要領により取扱う。

1.貸付方式

手形貸付

2.貸付金額

  1. (1)機構が金融再生業務を新たに行うために必要とする資金については、機構の資金繰りを勘案し、機構が金融再生業務の遂行に要する必要最小限の金額を、本行の貸付金額とする。
  2. (2)機構が既往の借入れの返済(発行済債券の償還を含む。以下同じ。)のために必要とする資金については、機構が、あらかじめ法第65条第1項に定める金融機関その他の者からの借入れのために実施した入札の結果不足する金額があるときに限り、当該不足金額を、本行の貸付金額とする。
  3. (3)本行による上記(1)の貸付け(以下「新規資金貸付け」という。)、上記(2)の貸付け(以下「借換資金貸付け」という。)、およびこの要領の実施前に既に実行済の機構が法第60条第9号に規定する業務を行うために必要とする資金の貸付けの合計額は、法第65条第1項の規定により政令で定められた機構の借入れまたは債券発行の限度額の範囲内とする。

3.貸付期間

  1. (1)新規資金貸付けについては、次の区分により返済期限を設定する。
    1. イ.各年の1月初日から3月末日までの間に貸付けを実行する場合においては、その同年8月の最初の営業日(銀行営業日で、かつ日本銀行の営業する日をいう。以下同じ。)を返済期限とする。
    2. ロ.各年の4月初日から6月末日までの間に貸付けを実行する場合においては、その同年11月の最初の営業日を返済期限とする。
    3. ハ.各年の7月初日から9月末日までの間に貸付けを実行する場合においては、その翌年2月の最初の営業日を返済期限とする。
    4. ニ.各年の10月初日から12月末日までの間に貸付けを実行する場合においては、その翌年5月の最初の営業日を返済期限とする。
  2. (2)借換資金貸付けについては、貸付実行日の翌日から起算して13か月の期間内で、上記2.(2)の入札による機構の金融機関その他の者からの借入れにかかる返済期限と同一日を返済期限とする。

4.政府保証および担保

  1. (1)本行に対する機構の当該借入金債務について法第66条の規定に基づく政府による保証がなされることを貸付けの条件とする。
  2. (2)担保の差入れは貸付けの条件としない。

5.貸付利率

  1. (1)新規資金貸付けについては、基準貸付利率のうち「国債、特に指定する債券または商業手形に準ずる手形を担保とする貸付利率」とする。
  2. (2)借換資金貸付けについては、同一日を返済期限とする上記2.(2)の入札における落札加重平均利率(年利建てパーセント単位で小数点以下第3位以下切捨て。)とする。