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物価指数全般(2010年基準、2011年基準)のFAQ

2017年1月

FAQの構成

物価指数のFAQの構成は、以下の通りとなっています。このページには、「1.物価指数全般(2010年基準、2011年基準)のFAQ」の質問一覧および回答一覧を掲載しています。

質問一覧

質問をクリックすると、質問に対する回答が表示されます。

回答一覧

1-1. 日本銀行で作成している物価指数にはどのような種類がありますか。

日本銀行では、企業間で取引される商品(財・サービス)を調査対象とする3つの物価指数を作成しています。
第一に、企業間で取引される財の価格を対象とする「企業物価指数」、第二に、企業間で取引されるサービスを対象とする「企業向けサービス価格指数」、さらに、製造業各部門における原材料などのコスト変動と製品の価格変動との比較分析などのニーズに合わせて、企業物価指数および企業向けサービス価格指数を組み替えた「製造業部門別投入・産出物価指数」を作成しています。

なお、日本銀行以外にも、総務省統計局が、消費者の購入する商品(財・サービス)を対象とする「消費者物価指数」を作成しています。
また、内閣府経済社会総合研究所が作成している『国民経済計算』において、別々に推計される名目付加価値額と実質付加価値額の比から事後的に計算される「GDPデフレーター」も、物価指数の一つです。

1-2. 公表時期や統計データの入手方法、照会先について教えてください。

企業物価指数、企業向けサービス価格指数、製造業部門別投入・産出物価指数は、月次で作成する統計です。
各指数の公表時期は、次のとおりです。また、先行きの公表予定については、本ホームページ上の「公表予定」でご覧頂くことができます。

表 各指数の公表時期
指数 公表時期 備考
企業物価指数 速報 翌月の第8営業日(注1) 計数の遡及訂正を年2回定期的に実施
(4、10月:3、9月速報公表時)
(対象は原則として、過去1年半分)
確報 翌々月の速報公表日
企業向けサービス価格指数 速報 翌月の第18営業日(注2) 計数の遡及訂正を年2回定期的に実施
(3、9月:2、8月速報公表時)
(対象は原則として、過去1年半分)
確報 翌々月の速報公表日
製造業部門別投入・産出物価指数 速報 翌月の第20営業日(注3) 計数の遡及訂正を年4回定期的に実施
(3、4、9、10月:2、3、8、9月速報公表時)
(対象は原則として、過去1年半分)
確報 翌々月の速報公表日
  1. (注1)定期遡及訂正の実施月は、第9営業日。
  2. (注2)月間の営業日数が短い場合には、若干繰り上げる場合があります。
  3. (注3)月間の営業日数が短い場合には、若干繰り上げる場合があります。

公表データは、次のとおり、入手することが出来ます。

表 公表データの入手先
日本銀行ホームページ 物価関連統計 公表日の午前8時50分
時系列データ

また、日本銀行が作成している物価指数に関するお問い合わせは、下記の照会先にお願いします。

表 物価指数に関するお問い合わせ先
内容 照会先 電話番号
指数全般にわたる照会 情報サービス局 統計照会窓口 03-3279-1111
調査統計局 物価統計課

1-3. 指数の作成方法について教えてください。

企業物価指数および企業向けサービス価格指数は、「統計法」に基づき、総務大臣に届出を行った上で実施している統計調査によって作成しています。

これらの物価指数は、品質が一定の商品(財・サービス)の価格を継続的に調査することを原則としています。このため、毎月の価格調査では、調査対象とする商品(素材、性能、規格など)のほか、取引条件(例えば、受渡し条件など)や取引先(販売する先)など価格に影響を及ぼし得る諸条件を特定したうえで、調査を行っています。この物価指数の基礎となる調査単位を「調査価格」と呼び、調査している価格内容を意味しています。
このように諸条件まで特定された「調査価格」は、消費者物価指数で用いられる「調査銘柄」に比べ、調査する価格内容をより幅広く設定した概念であると言えます。
各「調査価格」において、毎月、報告される価格を「比較時価格」、比較時価格を基準年において平均した価格を「基準時価格」と呼びます。この比較時価格を基準時価格で除した指数(基準年平均=100に換算した指数)を、「調査価格指数」と呼びます。

公表指数は、「調査価格指数」を基に作成しています。最小公表単位である「品目指数」は、原則、「調査価格指数」を単純平均することにより作成しています。また、類別指数など上位分類の指数は、それぞれの項目に属する「品目指数」を、各品目のウエイトで加重平均することにより作成しています。

採用品目は、各物価指数において定めている採用基準にしたがって、選定しています。各品目のウエイトは、各物価指数における調査対象商品の取引総額に対する比率に応じて算定していますが、「調査価格」については、品目内において、原則、均等ウエイトとしています。

1-4. 調査情報は秘匿されるのですか。

日本銀行で作成している物価指数は、「統計法」および「日本銀行法」に基づいて作成しています。このため、法令により規定されている条文に基づき、調査先から入手した調査情報については、外部に漏れることがないよう厳重に管理しているとともに、調査先から入手した調査情報を、物価統計を作成する目的以外に使用することはありません。

このほか、指数の公表に際しても、調査情報の秘匿措置を講じています。具体的には、品目指数の作成にあたり、品目を構成する調査価格は、原則として、複数調査先による3調査価格以上としています。これを満たさない品目については、調査先から当該品目指数を公表することの同意を得られた場合を除いて、非公表としています(一次秘匿)。また、品目指数を非公表の扱いとする場合は、当該非公表品目の指数が、上位分類指数と当該上位分類指数に属する他品目の指数を用いた逆算により明らかにならないように、非公表品目の属する上位の分類(商品群など)にある他の1品目の指数も、併せて非公表の扱いとしています(二次秘匿)。

なお、非公表の扱いとした品目指数については、時系列データでは"x"と表示することにしています。

1-5. 企業から回答が得られない場合や、調査時点で取引・契約がない場合は、どのような扱いをしていますか。

企業物価指数、企業向けサービス価格指数において、調査価格で設定した条件の下での取引・契約がない場合や、企業から回答が得られない場合は、原則、前月から価格は不変、すなわち、前月比は横這いとして扱っています(外貨建てで報告されている場合には、円価格に換算する際に、調査時点の為替相場の動きを一律に反映させています)。
ただし、一部の調査価格については、異なる対応を採用しており、具体的には、次のとおりです。

  1. (a)時系列データの変動から、明確な季節性があると判断した調査価格について、企業から回答が得られない場合
    季節性を考慮した補完(前年比による補完)を実施しています。
  2. (b)商品の出回り期が特定の時期に限定される商品について、非出回り期において取引・契約がない場合
    調査価格ごとに出回り期と非出回り期を設定した上で、非出回り期には、出回り期における価格の平均値で補完しています。
    例えば、品目「女子用スーツ・スカート類」で採用している「春夏物スカート」を対象とする調査価格において、2月から商品の取引が始まり、7月のセール販売をもって全取引を終了する場合には、取引終了後の8月から次の取引が始まる翌年1月までの間は、当年の出回り期(2月〜7月)の価格の平均値で補完しています。

1-6. 官庁や業界団体等が作成している統計は利用しないのですか。

企業物価指数、企業向けサービス価格指数においては、報告者負担の軽減を図るため、一部の品目において、官庁や業界団体等が作成している統計や外部データベース(以下、外部データ)を調査価格として採用しています。なお、外部データの採用にあたっては、指数精度の維持、データのカバレッジ、継続的な利用可能性等の観点から総合的に検討した上で、採用の可否を判断しています。

現在、外部データを採用している品目と外部データ内容については、「外部データ一覧(企業物価指数)」「外部データ一覧(企業向けサービス価格指数)」をご参照ください。

1-7. 消費税等の間接税は、指数を作成する上でどのように扱われていますか。

国内企業物価指数および企業向けサービス価格指数は、消費税を含むベースで作成しています。また、消費税のほか、酒税、揮発油税、たばこ税、産業廃棄物税等の個別間接税も、原則として含まれています。
もっとも、商品の需給動向の分析や国民経済計算等の算定に利用する観点から、消費税率変更の影響を排除した消費税を除くベースの指数へのニーズもみられるため、参考指数として消費税を除くベースの指数を作成・公表しています。
なお、輸出物価指数、輸入物価指数、製造業部門別投入・産出物価指数は、いずれも消費税を除くベースで作成しています。

1-8. どういう場合に過去の計数の訂正を行っているのですか。また、何を見ればわかりますか。

確報値の公表以降に判明した計数については、以下の遡及訂正方法に基づいて、事後的に指数に反映しています。

表 確報値の公表以降に判明した計数の遡及訂正方法
  定期遡及訂正 即時遡及訂正
事由
  • 計数に誤りが判明した場合(a)
  • 調査先からの報告が遅れた場合(b)
  • 価格交渉が後ずれした場合
  • 左記(a)、(b)を事由とした計数の訂正による影響が、総平均指数に及ぶ場合
  • 個別の品目、類別などにおいて、左記(a)、(b)を事由とした計数の訂正により騰落率が大幅に変化し、ユーザーの分析に支障を来たすと思われる場合
時期 項目1-2をご参照ください。 要訂正の事実が判明した都度、可能な限り速やかに実施
対象期間
  • 原則として過去1年半(18か月)分
  • 価格交渉が後ずれした場合の決着価格の反映や影響度の大きい訂正については、1年半(18か月)を超えて遡及訂正を行う場合がある。

なお、訂正を行った場合は、「企業物価指数の遡及訂正について」、「企業向けサービス価格指数の遡及訂正について」、「製造業部門別投入・産出物価指数の遡及訂正について」と題するお知らせを、各指数公表日に別途、公表しています。

1-9. 「年間指数」、「前年比」等はどのように算出しているのですか。

月間指数のほか、参考値として、「年間指数(暦年・年度)」「四半期指数」や、「前月比」「前年比」などの騰落率を公表しています。
「年間指数(暦年・年度)」「四半期指数」は、該当する期間の月間指数を単純平均し、小数第1位まで算出しています(すなわち、小数第2位を四捨五入)。また、騰落率は、これらの指数や月間指数を使用し、小数第1位まで算出しています。
接続指数における「年間指数」、「前年比」等の算出方法については、項目1-12をご参照ください。

1-10. 品質調整について教えてください。

一般に、物価指数では、品質が一定の商品(財・サービス)の価格を継続的に調査することを、原則としています。このため、日本銀行でも、予め設定した価格内容に基づいて、毎月、価格調査を実施していますが、商品の世代交代などが発生した場合には、調査価格の変更が必要となります。その際、新旧調査価格における品質の違いに伴う価格差を物価指数に取り込まないよう、新旧調査価格の差を「品質変化に伴う価格変化」と「品質変化以外の純粋な価格変動」の2つの要素に分け、このうち後者の「純粋な価格変動」相当分のみを物価指数に反映させています。このように、新旧調査価格における品質の違いを確認し、その「品質変化に伴う価格変化」相当分を調整する作業を、「品質調整」と呼びます。なお、企業間の価格を調査する日本銀行の物価指数における「品質」の概念には、商品のほか、取引条件や取引先など、新旧調査価格において価格差を生じさせ得る価格内容を含みます。

日本銀行で作成している物価指数では、現在、以下の5種類の品質調整方法を採用しています。

表 物価指数の品質調整方法
名称 内容
直接比較法
  • 新旧調査価格の品質が本質的に同一で、両者の品質差を無視し得るものと判断し処理する方法
単価比較法
  • 新旧商品は数量や容量こそ異なるが、新旧調査価格の品質は本質的に同一とみなされる場合において、新旧商品の単価比を価格比とみなし、価格指数を接続する方法
オーバーラップ法
  • 同一条件で一定期間、並行販売された2つの商品の価格比が安定している場合、同一時点における新旧調査価格の価格差を品質差とみなし、価格指数を接続する方法
コスト評価法
  • 調査先企業からヒアリングした新旧調査価格の品質変化に要したコストを、両調査価格の品質差に対応する価格差とみなし、新旧調査価格の価格差の残り部分を「純粋な価格変動」として処理する方法
ヘドニック法
  • 商品間の価格差の一部は、これら商品の有する共通の諸特性によって測られる品質差に起因していると考え、商品の諸特性の変化から「品質変化に見合う価格変動」部分を回帰方程式により定量的に推定し、残り部分を「純粋な価格変動」として処理する方法

1-11. 物価指数の基準改定について教えてください。

日本銀行で作成している物価指数は、現状、「固定基準ラスパイレス指数算式」を採用しています。これは、採用品目のウエイトを基準時点に固定し、そのウエイトによって、指数を加重平均する指数算出方法です。このため、(a)時間の経過とともにウエイト構成が実態と乖離していく、(b)基準時点において存在しなかった(ないし存在が小さかった)商品やサービスが現れた場合、その価格動向を反映することが出来ないなどの欠点があります。こうした欠点を最小限に止め、物価指数の精度を維持するため、一定の周期で基準改定を実施し、指数の基準年およびウエイト算定年次の更新や調査対象品目の見直しを行っています。

なお、日本銀行の作成する物価指数は、5年毎に基準改定を行っています。これは、1981年3月の統計審議会答申「指数の基準時及びウエイト時の更新について」および2010年2月の統計基準部会答申「『指数の基準時に関する統計基準の設定』について」において、政府統計を対象に指数統計の基準時とウエイトの改定は5年間隔で行う(基準時およびウエイト算定時は、原則として西暦年の末尾が0または5のつく年とする)との指針が示されたことを受けての対応です。

1-12. 基準改定を跨いで長期の物価指数の動向を分析する場合はどうすればよいですか。

品目指数などの主な指数については、新基準指数をベースに旧基準指数を接続した接続指数(月間指数)を作成・公表しています。また、企業物価指数では、過去の指数系列に新基準指数を接続した「戦前基準指数」も作成・公表しています(項目2-22参照)。これらの指数は、日本銀行ホームページの時系列統計データ検索サイトから入手することが可能です。

接続指数では、基準年が異なる(指数水準が100 となっている年が異なる)各基準の月間指数のレベルを調整することにより接続しています。具体的には、旧基準指数に「年次接続方式」によるリンク係数(=新基準指数における新基準年の暦年平均/旧基準指数における新基準年の暦年平均)を乗じて接続しています。2基準以上前の指数との接続においては、その基準の指数に各基準間のリンク係数を連乗しています。
接続指数では、過去の基準指数を新基準の分類編成に組み替えた上で接続していますが、各基準において採用品目や品目ウエイトなどが異なるため、利用にあたって、性格が異なる各基準の指数を機械的に接続したものである点には、注意する必要があります。

また、「年次接続方式」による接続指数では、旧基準指数の最終月の指数に、接続によるレベルシフトが混在する場合がありますので、その点についても、ご留意ください。このレベルシフトは、リンク係数を計算する対象年(新基準の基準年)において新旧基準指数の動きが異なる場合に見られる事象です。これに対し、「月次接続方式」(単月でリンク係数を計算する方式)による接続指数では、こうしたレベルシフトを避けることができますが、一方、リンク計数を計算する対象月の単月に生じた特殊要因が、接続指数全般のレベルに影響する場合があります。接続指数は中長期での指数分析ニーズに応えることを企図して作成しているため、単月のノイズより、暦年指数の水準を適正化できるメリットを優先し、日本銀行で作成している接続指数では年次接続方式を採用しています。

なお、企業物価指数の「総平均指数」、企業向けサービス価格指数の「総平均指数」、製造業部門別投入・産出物価指数の「製造業総合部門指数」については、接続指数についても「年間指数」や「前年比」等の参考値を公表しています(参考値については、項目1-9参照)。接続指数の騰落率については、各基準で算出した参考値をそのまま公表しています。また、指数については、各基準で算出した参考値を「新基準の基準年=100」に換算した値を公表しています。このため、接続指数の参考値では、指数から算出した騰落率と公表値の騰落率が一致しない場合がありますので、利用に当たってはご留意ください。

1-13. 物価指数が実勢から乖離しているのではないかと言われる時がありますが、その理由を教えてください。

物価指数も他の統計同様、一定のルールに基づいて統計を作成しているため、実勢から乖離せざるを得ない面があります。こうした乖離をもたらす一つの要因に、物価指数の計算方法(指数算式)があります。物価指数は、様々な商品(財・サービス)の価格を、一つに集約した指数です。したがって、指数を算出する際の各商品の「ウエイト」の与え方、あるいは計算方法によって結果は異なります。日本銀行で作成している物価指数では、採用品目のウエイトを基準時点に固定し、そのウエイトを用いて加重平均するという固定基準ラスパイレス指数算式を採用しています。このため、時間の経過とともにウエイト構成が実態と乖離していくほか、基準時点からの時間の経過に伴って各品目の指数水準に差が生じた場合、指数水準が低下(上昇)した品目については、物価全体の動向を表す総平均指数に与える影響が小さく(大きく)なってしまうという特徴があります。このような固定基準ラスパイレス指数算式の持つ固有の特性を補完する観点から、5年毎に基準改定を行っているほか(項目1-11参照)、企業物価指数では、「連鎖方式による国内企業物価指数」を参考指数として作成・公表しています(項目2-10参照)。

1-14. 物価指数に関する論点をまとめた資料はありますか。

日本銀行調査統計局において、物価指数に関する論点をまとめた資料としては、次のようなものがあります。