統計

ホーム > 統計 > 統計の概要および公表予定 > 統計に関する解説 > 「国際収支関連統計(IMF国際収支マニュアル第6版ベース)」の解説

「国際収支関連統計(IMF国際収支マニュアル第6版ベース)」の解説

2021年6月
日本銀行国際局

作成部署、公表方法

作成部署:日本銀行国際局国際収支課

本統計は「外国為替及び外国貿易法」(以下、「外為法」)の規定に基づき、財務大臣から委任を受けて、日本銀行が作成しているものです。

公表方法:インターネット・ホームページ

本統計は財務省と共同で公表しているものです。公表に関する情報は「国際収支関連統計」ページをご覧ください。

目次

1.国際収支統計とは

国際収支統計は、一定期間におけるわが国の対外経済取引を体系的に記録した統計です。居住者と非居住者との間で行われた取引の内容に応じ、(1)財貨・サービス・所得の取引や経常移転を記録する経常収支、(2)対外金融資産・負債の増減に関する取引を記録する金融収支、(3)生産資産(財貨、サービス)・金融資産以外の資産の取引や資本移転を記録する資本移転等収支、に計上します。

主な原資料は、「支払又は支払の受領に関する報告書」等、外為法に基づく諸報告です。詳しくは、「外為法に関する手続き」のページに掲載している「国際収支統計の作成に使用する主な報告書等」をご覧ください。

2.国際収支統計の計上方法

(1)計上原則

わが国の国際収支統計は、国際通貨基金(IMF)が2008年に公表した「国際収支マニュアル第6版」(以下、「国際収支マニュアル」)に準拠して作成しています。IMFは、IMF協定第8条第5項に基づいて、加盟国に対し国際収支統計に関する情報の提供を求めています。この国際収支統計作成の際の国際的な標準ルールを示すとともに、IMFへの報告のための様式のガイドラインを提示したものが、国際収支マニュアルです。

主要な計上原則は、次のとおりです。

居住性

居住性の概念は、国籍や法的な判断基準ではなく、取引当事者の「主たる経済利益の中心」を基礎としています。すなわち、国際収支マニュアルでは、ある国に拠点を持ち、長期間にわたって相当規模の経済活動を行う者をその国の居住者として扱うこととしており、基本的には「1年以上所在しまたは所在する意思があること」を運用上の基準としています。

わが国の国際収支統計は、主として外為法に基づく諸報告を原資料として作成しています。居住者、非居住者の定義については、外為法に規定があり、さらに、大蔵省通達(「外国為替法令の解釈及び運用について」)に居住性の判定基準についての規定があります(下の表をご覧ください)。

表 居住性の判定基準についての規定
  外為法における定義 通達における居住性の判定基準(例)
居住者
  • 本邦内に住所または居所を有する自然人
  • 本邦内に主たる事務所を有する法人
    — 非居住者の本邦内の支店等は居住者とみなす
  • 本邦人(原則)
  • 外国人(本邦内の事務所に勤務する者や本邦に6か月以上滞在している者等)
  • 外国の法人等の本邦にある支店等
  • 在外日本公館
非居住者
  • 居住者以外の自然人および法人
  • 外国人(原則)
  • 本邦人(外国にある事務所に勤務する者や、2年以上外国に滞在する者またはその目的で出国した者等)
  • 本邦の法人等の外国にある支店等
  • 在日外国公館、国際機関、在日米軍等

複式計上

国際収支統計においては、複式計上の原理に基づいて各取引を貸方、借方それぞれに同額計上します。原則として、貸方の項目の合計と借方の項目の合計が一致します。

財貨・サービスの輸出、所得の受取、資産の減少、負債の増加は貸方に計上し、財貨・サービスの輸入、所得の支払、資産の増加、負債の減少は借方に計上します。例えば、非居住者に財貨を現金と引換えに売却した場合、輸出を貸方に、現金(金融資産)の増加を借方に計上します。

評価

原則として取引価格で評価します。

計上時期

取引を計上する時期は、原則としてその取引が発生した時点です。

換算方法

わが国の国際収支統計は、円建てで作成、公表します。外貨建ての取引は、原則として市場実勢レートで円に換算します。この際使用される為替換算レートは、大きく2つの場合に分けることができます。

報告者が外貨建ての取引を円建てで報告する場合

報告者が外貨建ての取引を円建てで報告する場合に使用する換算レートについては、「外国為替の取引等の報告に関する省令」第35条に定められており、「当該報告に係る取引、行為若しくは支払等が行われた日又はその日の属する月の末日における実勢外国為替相場を用いて換算する方法」と「財務大臣が定めるところに従い、日本銀行が公示する相場(「報告省令レート」)を用いて換算する方法」があります。

外貨建てで報告された取引を日本銀行が統計作成時に円建てに換算する場合

日本銀行が円建てに換算する場合に使用する換算レートは、対象となる月の市場実勢レートです。

(2)構成項目

わが国の国際収支統計の構成項目は国際収支マニュアルに基づいています。すなわち、同マニュアルの「標準構成項目」をベースにしつつ、分析研究の利便に配慮して主要項目についてネット(収支尻)を設けるほか、より詳細な内訳項目も合わせて公表しています。具体的な公表項目については、「国際収支関連統計」ページをご覧ください。

わが国の国際収支統計の構成(概要)

  1. 経常収支
    • 1.A 貿易・サービス収支
      • 1.A.a 貿易収支
      • 1.A.b サービス収支
    • 1.B 第一次所得収支
    • 1.C 第二次所得収支
  2. 資本移転等収支
  3. 金融収支
    • 3.A 直接投資
    • 3.B 証券投資
    • 3.C 金融派生商品
    • 3.D その他投資
    • 3.E 外貨準備

項目別計上方法

国際収支統計 項目別の計上方法の概要 [PDF 613KB]をご覧ください。

(3)地域別

国際収支統計のデータは相手方の国別に集計し、「地域別国際収支」として公表します。国別の分類基準は原則として以下のとおりです。

表 国際収支統計のデータ
  輸出・受取 輸入・支払
経常収支 貿易収支 最終仕向け地 原産地
サービス収支
第一次所得収支
第二次所得収支
取引相手の国 取引相手の国
資本移転等収支
表 国際収支統計のデータ
  資産 負債
金融収支 直接投資
金融派生商品
その他投資
債務者の国 債権者の国
証券投資 取引相手の国

地域別の公表区分については、「国際収支関連統計」ページをご覧ください。

(4)季節調整

経常収支項目については、米国センサス局法X-12-ARIMAにより季節調整を行った季節調整済計数および季節要素も公表します。詳しくは、季節調整替えの際に本ホームページに掲載する見直し等のお知らせをご覧ください。

3.その他の関連統計

(1)対外及び対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)

クロスボーダーの証券投資について、速報性を重視し、予め財務大臣が指定する主要金融機関のみを報告者とする統計です。財務省が週次および月次の計数をそれぞれ公表しています。対外、対内それぞれの取得、処分およびネットにつき、商品(株式・投資ファンド持分、中長期債および短期債)別に計数を公表します。

(2)本邦対外資産負債残高

本邦対外資産負債残高とは、居住者が非居住者に対して有する金融資産(対外資産)と居住者の非居住者に対する負債(対外負債)について、ある時点における価額と構成を表す統計です。国際収支マニュアルに基づいて作成します。資産と負債に区分し、その差額は対外純資産(負債)となります。残高の項目は国際収支統計の金融収支と同じ基準で分類し、資産、負債とも、直接投資、証券投資、金融派生商品およびその他投資の区分を設け、さらに資産サイドに外貨準備を設けます。

評価方法および原資料

国際収支マニュアルでは、残高の評価方法について、株式等の持分、債券、金融派生商品等は市場価格または市場価格相当額で、貸付/借入、預金、貿易信用・前払等は名目価額(すなわち、債務者が債権者に対して負っている未払残高)で、それぞれ評価することとしています。わが国の対外資産負債残高の原資料と評価方法は以下のとおりです。なお、四半期末の残高については、原則として、前期末残高にその後のフローと為替・市況変動を反映して推計します。

直接投資については、株式資本と収益の再投資において、上場・非上場を問わず投資先企業の帳簿上の自己資本額を利用します。原資料は、企業から提出される投資残高に関する報告書のほか、「支払又は支払の受領に関する報告書」です。なお、参考として、時価ベースに基づく直接投資残高推計値(主要な上場企業について市場での取引価格(いわゆる時価総額)を用いて時価推計値を算出したもの)を作成、公表します。

証券投資および金融派生商品については、金融機関から提出される投資残高に関する報告書などを基に原則として時価(すなわち、市場価格または市場価格相当額)で評価します。

その他投資については、国際収支統計と共通の資料を主に利用します。貸付/借入等については、未収利子を含まない名目価額で計上します。

外貨準備については、財務省の資料を利用します。

残高変動の要因分解

本邦対外資産負債残高の変動要因は、(イ)取引要因、(ロ)為替要因、(ハ)その他要因に分けます。

イ.取引要因

当期中の国際収支統計の金融収支に該当します。

ロ.為替要因

残高統計を作成するために外貨建ての項目を統計の表示通貨に換算する際には、期末時点の為替相場を用いますが、国際収支統計を作成するための換算には、取引時点の為替相場を用います。従って、同じ資産であっても取引時点の為替相場と期末時点の為替相場が異なれば、フロー統計の計数と残高差は一致しません。また、期中取引がなかった項目でも、各期末時点での為替相場を用いて換算するため、為替相場の変動を反映して残高が増減することになります。

ハ.その他要因

為替以外の市況変動

残高統計は、原則として対外金融資産負債を期末時点における市場価格で評価し直して作成します。このため、為替相場と同様に、株価や債券価格等の市況変動も残高差の一因となります。

その他量変動

取引にも再評価にもよることなく生じた残高の変動です。具体例として貸倒償却を挙げることができます(債務者の破産等による償却です。債務免除は取引に該当するため含みません)。当事者の居住地変更に伴う残高変動も含みます(例えば、海外の金融機関に預金を持つ居住者が海外に移住した場合、わが国の金融資産が減少します)。このほか、対外資産負債残高の総額には影響しないものの個々の項目に影響を与えるケースとして、分類替えがあります。例えば、外国企業の株式の追加購入に伴う証券投資から直接投資への項目間移動があります。

わが国では、当期末と前期末の残高差のうち(イ)取引要因を除いた部分について(ロ)為替要因を推計し、それ以外を(ハ)その他要因とします。

(3)対外債務

対外債務は、ある時点における非居住者に対する債務総額の価値と構成を、市場価格を基準に体系的に記録した統計であり、四半期の頻度で、部門別、期間別および借入手段別に細分化して作成、公表します。対外資産負債残高の負債側と比較すると、(1)負債性金融商品、すなわち、将来のある時点で元本や利息を支払うことを要する金融商品のみを対象とする(従って、株式・投資ファンド持分や金融派生商品は対象外)、(2)借入部門別の対外債務負担や流動性など、対外資産負債残高とは別の切り口から情報を提供する、といった特徴があります。

(4)銀行等対外資産負債残高

銀行等対外資産負債残高は、わが国にある銀行(邦銀と外銀の在日支店)のバランスシート(銀行等が提出する資産負債状況報告書)に計上されている、対外資産負債の残高を集計した統計で、資産・負債別、中長期・短期別および外貨建て・邦貨建て別に区分して作成します。

照会先

国際局国際収支課国際収支統計グループ

E-mail : boj-bop@boj.or.jp

Tel : 03-3277-1381